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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
141/529

141 新たな契約

翌朝。

ピチチチチ、という小鳥たちの声で起きた。

ふあーあ。

なんだか騒々しいような。

メエエエ。

ん?羊さん?

ああ、丁度いいやお乳もらおうかな。

コケッコッコッコッコ!

おや、魔鶏さんもきてる?

卵もらおう。

「サキ。起きて。サキ。」

誰だ?呼ぶのは…。

!湖の精の声!?

「サキ!王様!起きてー」

「「起きて-」」

あれは妖精たちだ!

それでようやく、ここはあの懐かしい森の洞窟だと思い出した。

がばと起きる。みんなに会いたい!

とりあえず、僕は急いで自分にクリーン魔法をかけて洗顔とハミガキを一瞬で終わらせると、洞窟から顔を出した。

そこには、コマドリやカッコウだけでなく、魔羊、魔鶏、それから久しぶりのアラクネ女王とアラクネさんたち。湖の精、魔蜂までブンブン飛んでいる。妖精達もいる…。

「おはよう!みんな!久しぶりっ!…って、みんなそろってどうしたの?」

きょとんとする僕。

シンハがふあーあとあくびをしながら、僕の足元から顔を出す。

「サキ、王様、おかえりなさい!」

と湖の精。

「「おかえりなさーい!」」

メエメエ、コケッコ、ピイピイ…

「やあ!みんな!ただいま!元気だった?」

とご機嫌で挨拶。

でもすぐに、湖の精が恨めしそうに言った。

「「元気だった?」じゃないわ。すっごく待ってたのよ!なのにサキったら、酷いわ。帰ったなら真っ先に、知らせてくれたっていいじゃない。」

「あー。ごめんごめん。昨日いろいろあってさ。夜になっちゃったから。」

「それに…。私たちになんの相談もなく、フクロウとコウモリと先に契約するなんて!」

「本当にそうよ。私だって、契約したいのに。ガマンしてたのよ。サキ。」

とアラクネ女王。

「「俺たちだって!」」

「「そうよそうよ!」」

「ばぶ!」

と妖精たち。グリューネやトゥーリ、土の一番くんもいる。ああ、懐かしい。でもなんだかみんな怒ってる?なぜゆえ?

「え?な、なに?どういうこと?契約、したかったの?僕と?」

「当たり前じゃない!昨夜のこと、もう我々はみんな知ってるのよ。貴方が私たちより先にフクロウやコウモリと契約したこと。」

「えーと…。怒らせちゃったのなら謝るよ。…ごめんなさい。こほん。でも彼らには此処の見張りをお願いしないといけなかったから。夜目の聞く種族の長にお願いして眷属になってもらったんだ。別に君たちをないがしろにしたつもりはなかったんだけど…。」

「だったら。いいわよね。私たちも眷属になっても!」

「そうよそうよ。ずーっとサキの眷属になりたかったの。だって貴方の魔力、とってもおいしいんだもの。香りでわかるわ。」

「そうよそうよ。ねー。」

「「ねー。」」

メエメエ、ブンブン、ピロピー、コケコ…とにぎやかだ。

というか、みなさんバンパイアに見えてきたんですが。

「ええー。みんな?…どうしよう。シンハ。」

『うーん。…まあちと多いようだが…いいのではないか?』

「え。」

『お前の魔力はかなりのものだ。少しきゃつらに与えたとて、そう困るものでもなかろう。あいつらの言い分ももっともだ。契約してやれ。サキ。我も何かと都合がいい。』

「えー。…まあ、シンハがそういうなら、いいけど。でも…人数多くない?」

「あら。いやなの?私と契約するのが。」

「まさかそんなこと、ないわよねえ。サキ。」

「どうなの?」

「えっいや、そ、そんなことはっ、ないです。はい。」

特に人間語を話せる湖の精とアラクネ女王と魔蜂女王が恐い。

女性ってなにかと怒らせると恐いからな。

さっそく契約の儀式を行うことに。

ただし、僕と直接契約するのはそれぞれの長だけにしてもらった。

キリがないからね。

皆それで仕方ないと納得してくれた。


「妖精たちは…どうしようか。」

「妖精達も、それぞれ属性の一番と契約すればいいんじゃない?そうすれば、みんなも納得だと思うわ。」

と湖の精。

妖精たちも、うんうん、と頷いている。

「水は女王である私。火は王様のサラマンダ。土は一番くん…緑は」

「オレだ!」

「あーグリューネね。了解。」

本当に一番なんだな。

「本当の緑の一番は世界樹のユグディアルなの。それを除けば、まあ、グリューネで間違ってはいないわね。実力差はありすぎるけど。」

と湖の精がこっそり教えてくれた。

「風とか光、闇は?」

「風の女王は行方不明なの。でも、シンハ様が風の王様みたいなものだから、契約する必要性は薄いわね。それから闇は、たぶん呼んでも来ないわ。人見知りが激しくてね。あとは光ね。彼女は教会のエライひととすでに契約してるから、今は無理ね。でも、私も治癒魔法に関係しているし、それにサキ自身が光妖精みたいなものだから、無理に契約しなくともいいと思うわ。」

「いや僕、妖精じゃないし。」

「なに言ってるの。ユグディアルの愛し子なんだから、光妖精より強力よ!」

といかにもそれが此処の常識デス的な笑顔でさらっと言われた。

シンハを見ると、うむうむと頷いているし。

みんなも、そうだと頷いている…。

そんなものなのか?

まあ、属性すべての妖精と契約しなくとも、別に僕は構わない。

ていうか、属性すべての妖精と契約できる魔術師なんか、いるのかなあ。



湖の精の言葉で、他にも気になることがある。

光の一番は、教会の上層部の人と契約していること。光は聖魔法、治癒魔法のもとでもある。教会が欲しがるのは納得だ。

それから、風の女王が行方不明というのが気になる。あとで湖の精に事情を教えてもらおう。


さて。誰と契約するかがようやく決まった。

さっそく契約の儀式に入る。名前をつけて、魔力を少しあげればいいらしい。


まずはアラクネ女王から。

「女王陛下。我が眷属となっていただけますか?」

「承知いたしますわ。」

「ありがとうございます。では命名します。…ラプンツェル。通称ツェル。」

「いい名前だわ。ありがとう。どんな意味が?」

「古い童話にある、髪の長いお姫様の名前。糸を出すでしょう?それを考えていたら、長い髪を思い出したんだ。」

「なるほど。素敵なお名前をありがとう。サキ。…んふ。魔力、おいしいわあ。」

お願いですから、そろそろ抱きしめるの、やめていただけません?うっく首、舐めないでえ!


次。湖の精。

「名前は…メーリアブルー。通称メーリア。湖と青という言葉の古い言語だよ。」

「ありがとう。サキ。…本当に美味しい魔力ねえ。…あはん、くらくらしちゃう。」

だから、いちいち抱きつかないでよう。お胸、当たってますよう。ほっぺちゅーはしないで。


こほん。気を取り直して…次は魔蜂の女王。名前はシェルビーネ。通称ビーネ。羽音と蜂beeからの発想デス。

「あら、本当に美味しい魔力ねぇ。よろしくね。坊や。」

「は、はいっ!」

ビーネ様はすっかり蜂の姿だから、さすがにハグやキスはされなくて済んだ。ほっ。


次はサラマンダ。名前は本人がそのままがいいというので、仰せの通りに。

「クエー!」

相変わらず言葉はしゃべらない。でも意思疎通は出来ている。喜んでくれてなにより。今後もよろしくね。


それから妖精たち。まずはグリューネ。

「名前はグリューネのままでいいかな?」

「ああ!それがいい!」

僕と契約できて、すっごくうれしそう。

「良かったわね。」

ととなりでトゥーリが笑っている。

「トゥーリは…契約しなくてもいいの?」

僕が訊ねると、

「私は大丈夫。サラマンダ様がもう契約してるから、いつでも呼んでくれればサキのところに飛んでいけるわ!」

とあっけらかんとしている。全然大丈夫みたい。

そういうものなのか。

妖精システムは、よう解らぬ。


そして土の一番くん。

「名前はグラント。大地の意味から取った名前だよ。これからもよろしくね。」

「ばぶ!」

答えはいつもとおんなじだけど、すっごくうれしそう。気持ちがダイレクトに伝わってくる。

僕もうれしい。君とはこれからもグリューネと一緒に、いろいろ薬草研究とか農作物改良などに、協力してもらいたいから。


それから魔羊、ヤクー。

魔鶏はヘム。

コマドリはロビン。

カッコウはクルックとした。

特にロビンとクルックには、此処の昼間の巡回をお願いした。


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