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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
136/529

136 7階層~10階層

「ダンジョン、なんだか楽しいー!」

『ふふ。初潜りだしな。6階層の宝箱は幸運だったな。』

「うん!珍しい魔獣を倒すのももちろん興味深いけど、やっぱり宝箱は、これぞダンジョンの醍醐味って感じ。」

『ああ。だが気を引き締めろよ。此処から先は、さらに上位種が出るはずだからな。』

「うん。そうだね。…ところで、今何時だろ。」

と時計を見ると、まだようやくお昼を過ぎたところ。

「あらま。もっと時間が経ったと思っていたのに。」

『早朝から潜っていたし、結構飛ばしたからな。少し休憩するか。』

ということで、6階層のボス部屋で昼食休憩。

ゴブリン階とこの6階で時間を取ったが、それでもそれぞれ約1時間だったようで、他は各階爆速で駆け抜けてきた計算だ。

でも目標が25階だからね。がんばらないと。


さて、休憩もそこそこに、気を引き締めて7階層。

此処は沼地で、足元が悪い。

此処では僕が発明・製作した、スライムゴム製の魚屋さんオーバーオール(胴付き長靴)が大活躍。

さらに、泥の上に透明な板(滑らないやつ)を魔法で出現させ、それを足場にして戦った。

泥だらけになりながらも、雑魚敵のヌーボーフィッシュや変異スライムを退治。

同時に沼地産の珍しい薬草や美味いと評判の大沼エビや、この世界の住人は食べないというウナギもゲット。ウナギはちゃんと鑑定さんが「美味!」と教えてくれたよ。

ボスは鯰の魔獣のキングキャットフィッシュだった。

これも珍味だとシンハが言ったので、僕が雷魔法で退治しようとしたが、雷には耐性があった。此処は沼地。水や土にも耐性がありそうだ。ということで、今回はシンハと一緒に風魔法で真空斬り。

生きたままズバズバ切り身にして一丁あがりだった。

ドロップ報酬は、『帯電防止靴』!

って、ゴム長じゃん。

まあ、素材に興味があるからいいけど。これは研究材料だな。


8階層。

今度は火山だ。

さすがに暑いので、暑さを遮断する結界を発動。

さらに万一に備えてシンハにも急遽氷魔法でブーツをこしらえて、地熱に耐えられるようにした。

氷魔法のブーツは冷たすぎるので、黒龍の革や魔兎の毛皮を駆使して、冷たさが通らないようにした。

帰ったら、シンハ用の特製ブーツをちゃんと作ろうかね。

此処の雑魚敵は鬼火と火ネズミ。ネズミと言ってもでかくて、この毛皮は高価だ。

此処の雑魚敵はこれまでと違い、倒すとすぐに姿を消す。そして何かをドロップする。

鬼火は一定時間維持するたいまつ。ってあんまりいらない気がするけど。

火ネズミは火ネズミの革を落とす。

これがなかなかいい値段で取引されているらしい。

此処のボスはなんと火猫だった。

猫も数メートルとでかくなると、可愛げがなくなるものだ。

毒性のある爪がやばいのと、すばしっこいのが特徴だが、僕もシンハも、森で動体視力は鍛えられているから、攻撃をかわせないことはなかった。

爪の攻撃が来る前に、よけることができた。

だがそればかりでは勝てないので、僕は例の魔剣を取り出して、猫の前足を両方とも斬り飛ばした。

そして痛がる化け猫の喉笛をシンハが爪で掻き切る。

まだあばれようとするので、僕が剣で心臓をひとつき。戦闘終了だった。

『うーむ。もっと骨のあるやつはおらんのか。これでは森のほうが、よほど強い奴がいたぞ。魔兎だって、もっと強かったぞ。』

確かに、まだ魔兎も出てきていない。

意外に強かったんだな。魔兎。


火猫のドロップ報酬は、『消えない火』???

よくわからん。

突然現れたサラマンダが欲しがったので、食べさせたら、イモリみたいな体が光り出し、ステゴサウルスのような、背中に堅い突起が何個もある爬虫類みたいに変化した。

「おっとー。進化したの?」

クエー!

なんか強そうになった。色も赤を通り越して、光っている。

だがそれも数秒で、やがて今まで通りのイモリになった。

僕にすごく感謝しているみたいで、ほっぺをぺろっと舐められ、そして消えた。

ん?

ステイタスに「火妖精王の加護(大)」が現れた。

それをシンハに言うと

『まあ、今後は火魔法がさらに扱いやすくなるということだろう。』

と当たり前のように言われた。


9階層。

ここは水中生物だ。沼地ではなく海だ。

大海原が広がっている。

いけどもいけども砂浜と、少しの岩場が断続的に続いている。

波まであるし。


「ダンジョンに海があるなんて。すごいな。」

『海はこの国にもないから、なかなか珍しい光景だな。海の魚はどれも美味い。楽しみだ。』

「なるほど。」

『海の魚は美味いぞ。』

シンハが二度言った。

「ふふ。じゃあ、がっちりとらないとね。そういえば、海の魚はこの世界ではまだ食べてないや。あ、最初に川で獲ったシャケ以外は、だね。」

そういえば、海は遠いのにシャケは居たなあ。

『シャケ?』

「ほら、卵がいっぱい詰まったやつ。」

と映像をシンハに送ると

『ああ。サムンのことか?珍しい魚ではあるが、あれは川の魚だぞ。海には居ない。』

「え、そなの!?今更ながらにオドロキ。さすが異世界。」

『ふむ…。で、此処では魚をどうやってとる?』

「んー…。蚊帳、使うか。」

『おお。あの薄い布か。あれならアラクネ製だから丈夫だしな。』


僕は洞窟から持ってきていた、蚊帳を取り出した。

アラクネ糸でつくり、自分で染めたものだ。

ちょっと網にするのは勿体ないが、あとでよーく洗えばいいだろう。

「じゃあ、地引き網をするぞー。」

僕とシンハは、蚊帳の縁に重しになる小石を適当につけたあと、風魔法を使って、網を遠くまで飛ばしながら広げ、海に落とした。

待つこと十分。

「よし。あげてみよう。」

地引き網の要領で、うんうんとあげてみる。

すると、中は鯖とかアジとかブリとか…中型魚を中心に、大量に入っていた。


『おお!さすがダンジョン!大漁だな。』

「うん!…おや。何か光ったよ。」

網の一部から光が漏れている。

なんだろうと見てみると。まるで占い師が使う水晶玉の中でも大きな、直径30センチはあろうという真珠玉だった。

真珠って、貝の中で成長するんじゃないの?なんで水中にあるのさ。

わからん。でもとにかく、真珠玉だった。


此処のボスは大蛸で、文字通り大蛸なだけだった。

一般にはその締めつけがやばいらしいが、僕とシンハには目の前に大きな食料があるように見えただけで、なんの脅威でもなかった。

電撃でおしまい。


スパスパと足はぶつぎりにして、収納。あとで刺身で一杯やりたい…おっと、僕はまだ未成年だった。

スミは魔法陣を書く時の魔術用高級インクになるそうだ。

意外だったのが、キングの魔石。大きな真珠だった。直径25センチくらい。

さっきの真珠より少し小さいだけで、豪華な真珠だ。

まんまるの真珠…また真珠!?

ってことは、あの海中から出たのは、先代のボスの魔石だったのかもしれない。

以前倒した人は何故とりそこねたのか。

つうか、何故ダンジョンに吸収されなかったの?

謎だ。


『おそらく、海底に着く前に、貝かなにかの中に入ったのかもしれんな。』

なるほどね。

ドロップ報酬は、宝箱にナミナミに入った、イカ墨。

実は高値で取引されているんだって。

木炭と混ぜて、魔法陣を書いたり、魔術師には必須のものだ。僕は魔法陣を書くのにたくさん使うから、売らないよ。たぶん。インクに加工すれば匂いもなくなるし。

その前に、今度イカスミスパゲティを作ろうかな。


10階層。森と草原の階層だ。

ここでようやく雑魚敵として魔兎が出てきた。

でも毛皮は馬鹿売れしたから、今は少し僕のせいで値下がり気味だ。

肉もたっぷりストックあるしなあ。

森産の方が魔力が濃いので、味も濃縮した感じがすることは、町で食べ比べて知ってしまった。

ダンジョン産はそれはそれで美味いのだけれど。


それよりもうひとつの雑魚敵の火狐がちょっと魅力的。

狐の毛皮、ないんだよね。

食べるのはあまり美味くない肉らしいんだが、火狐の毛皮は魔兎なみに高価だそうだ。

そういえば、森にはいなかったな。

「どうして森には火狐がいないんだ?」

『昔は居たんだが、黒龍があの黒い山に住み着くようになって、姿を見なくなった。

たぶん縄張りを変えたんだな。食べてみたかったのか?あまり美味くはないぞ。』

「いや、別に食べたかった訳じゃないよ。ただ毛皮には少し興味がある。」

『そうか。森ならかなり遠くまで行かないと会えないが、せっかく此処にたくさんいるんだ。少し狩っていこう。』

「まあ、ほどほどにね。僕は食料以外の狩りはあまりやる気にならないんだよね。火狐が人族に悪さするなら狩るけど。ゴブリンみたいにさ。」

『なるほど。お前らしいな。まあ、あの毛皮は俺も嫌いじゃない。それに、適当に間引いておかないと、スタンピードであちこち火をつけられても面倒だ。適当に狩っていこう。』

「そういう理由もあったな。判った。」

という残酷な会話をしつつ、僕たちは数減らしのために狩りをした。


此処のボスは、兎のでかいのかと思ったら、狐のほうでした。

三尾の狐。

九尾じゃないんかい、と思ったが、もっと長命になると、尻尾の数は増えていくらしい。

三尾でも相当なワルだという噂。

戦ってみると、フェイントをかけてくるし、すばしっこいし、確かに正攻法ではつらい相手だろう。

だがこっちにはシンハがいる。

僕とのコラボの氷と風の饗宴で、凍った風刃で尻尾を切断すると、とたんに弱くなり、あとは心臓をひとつきで終わった。

この毛皮はなかなかだ。

ふかふかしてほこほことあったかい。ギルドには売らずに使うことにする。

尻尾は襟巻きにしよう。

ドロップはなし!



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