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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
135/529

135 6階層 宝探し

謎の地図を手に、僕たちは現在地と思われる場所から一番近い印のところに移動する。

そこはザアザアと水が落ちていく滝だった。

よく見ると、どうやら滝の裏側に洞窟があるようだ。


「此処だね。」

『いかにも宝箱がありそうなところだな。』

「うん。地図には古代文字で小さく書いてある。『無益な殺生は慎むべし。番人には礼儀を持って接すべし』だって。」

『なるほど。ではなにか生き物がこの奥に居て、そいつに対して礼儀正しくしろと言っているのだな。』

「そうみたい。古代文字が読める人でないと、この地図は使いこなせないようだね。」

『普通はそれで手詰まりなんだがな。』

「ふふ。そうだね。世界樹様に感謝だね。」

この世界の言語は、書けるかどうかは努力が必要だけど、読んだり聞いて理解したりはできる仕様で転生させてもらったからね。神様、ありがとう!


シンハと僕に結界を張り、フライで滝を潜って滝の裏側の洞窟にあっさり到着。水濡れも無し。

洞窟の突き当たりには案の定、宝箱があり、その上に白い蛇が居座っている。


「偉大なる白き守りの君、我、宝物の地図にたどり着きし者なり。今ここに、汝の守りし宝箱を開ける許可を賜りたく、伏しておん願い申し上げ奉りまするぅ。」

と、古代語で格調高く言って、古代中国風に両手を前で重ね恭しくお辞儀をしてみた。すると、ヘビは素直に宝箱の上から退いてくれて、そのまま消えてしまった。

古代中国風は、ノリで思い付いただけですが。


『ふむ。あやつ、相当な手練れだったようだ。どうやら、対応を間違えると、ここでかなりの戦闘になるはずだったようだぞ。命拾いをしたな。』

「うん。僕もそう思う。僕もあの白蛇サマの強さを感じたよ。」


無事に開けることができた宝箱には…

自分の重力だけでなく、敵対者の重力を意のままにする『重力の指輪』が入っていた!

「うほっ!すごいや!」

『ジュウリョク?なんだそれは?そんなに良い物なのか?』

「もちろんだよ!ちょっと見てて。フライ!」

僕は指輪を付けると、フライすなわち飛行魔法を使った。

洞窟の中なので、それほど高くは飛べない。けれど、もう自由自在に空中を飛んだりくるりと回転したり。


「シンハもフライ!」

『お、おう。』

もちろん、以前から、短時間の飛行は可能だった。だが、魔力消費が酷かった。

けれどこの指輪を付けると、ほとんど魔力を使わなくて済む。かなり効率よく飛べるのだ!

「フライが簡単にできる!しかも、敵対する奴を地面に這いつくばらせることもできるよ!エイ!」

空中から、洞窟の地面に向けて魔法を打つと、案の定、ビシッ!と地面が広範囲にへこんだ。

『今、何をした!?岩だらけの地面がへこんだぞ。』

「これが重力操作だよ。敵を見えない力で押しつぶすこともできるし、見えない重りで足止めすることもできる。魔力の多い僕には、いろいろ使える、すごい宝物ってわけ。」

『なるほど、戦いにも使えるとは!まさに宝の指輪だったということだな。』

「うん!!」


こうなると、ほかの5ヶ所の印も気になる。

ということで、さっそくフライを駆使してあちこち飛び回る。

しかし、残り5ヶ所のうちすでに3ヶ所は、他の人に見つかっていて、空の宝箱が転がっているだけだった。


残り2ヶ所のうちのひとつ。

宝箱はあった。

だが、開けてみると

「…エリクサーか。」

すでに僕が製作できるものだ。

『普通なら大当たりなのだろうがな。まあ、それだけ、お前がとんでもない奴だということだ。』

「むー。僕は普通の魔術師です!」

と拗ねながら、最後の宝箱探しへ。


地図最後の場所。

宝箱は、きれいな池の中らしい。

「うーん。よし!決めた。」

僕は魔力を練ると

「水よ、あがれ!」

と唱え、重力魔法を発動。

するとザアァ…!と池の水が、そのままの形で、上空に上がった。

びちびちと、池の底では水を失った魚たちが暴れている。


「シンハ、いこ。」

『お、おう。』

さすがのシンハも、これにはちょっと驚いてくれたみたいだ。

『重力魔法、恐るべし、だな。』

「ふふ。そうだね。急ごう。せっかくだから、魚も獲っていこう。」


魚たちには僕達の食糧になってもらおう。久しぶりの新鮮なお魚だ。恐いキラピアもいるが。

道すがら、適当に魚をぽいぽいと岸辺に投げ上げておく。これも重力魔法の応用。

僕とシンハはすっかり乾いた岩や泥の上を、魚を乱獲(?)しながら、普通に歩いて池の中央へ。そこには、半分土に埋まった宝箱があった。

僕は宝箱を抱えると、そのままシンハとともにフライで池のほとりに戻る。

そして重力魔法を静かに解除。

ザザァァ…と水音を立てて、池は元通り。

岸に上げた魚を収納。魚は全部獲り尽くしてはいないし、もしそうしたとしても、此処はダンジョン。いずれどこからか湧いてくる。


「さて。宝箱、オープン!」

中にあったのは…

「…『幽霊のマント』?」

鑑定して出てきた名前に一瞬引いたが、その性能を見て驚いた。

「幽霊のマント。着用した者は、透明化して見えなくなる。また、幽霊のように壁もすり抜けることができる。」

なん、だと!?

「うわぁ!名前はアレだけど、透明になれるなんて!これも大当たりだぁ!」

『まったくお前は、まさに強運だな。』

「えへへ。きっとこれも世界樹様のご加護だよねぇ。ぐへへ。」

『こほん。妙な笑い方をするな。下品だぞ。』

「えへへ、まあいいじゃない。」



宝物も一通りゲットしたので、先に進もう。

ボスはキングトレント、つまりエルダートレントだった。

動き回る樹木の上位種ね。

これは僕が雷を帯びた氷の矢を口にぶち込んで退治。

キングトレントの枝と実は高価で取引されるはずなので、これもゲットだ。

もちろん、まるっと幹も持って帰るよ。絶対高価だもん。

ドロップ報酬は…なしでした!

でもエルダートレント自体が報酬ということだろうな。

6階層では本当に儲けさせてもらいました。




サキとシンハのダンジョン攻略。案の定ぶっちぎりの超速です。


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