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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
134/529

134 転移陣実験、3階層~6階層

まず魔力を陣にそそぐ。そして二重目の呪文に場所をダンジョンに入ってすぐの広間に指定した。

そしてその場所を頭の中で思い浮かべる。

「エヌ・レッセ・ヤーフェ…○△◇…オムニス。」

すると、一瞬、自分たちが光ったかと思うと、空気が変わった。


「!」

目を開くと、そこは入り口の広間。

「やった!成功だ。」

足元をみると、あの魔法陣の布はちゃんとあった。

しめしめ。使い捨てではない。これは使えるぞ。


「シンハ。これで転移ができるようになったみたいだよ。」

『おお!ではさっそくワイバーンのところへ!』

「んー。それはどうかな。」

『何故だ。』

「こういうのって、一度行ったことがあるところでないと、行けないっていう制約があったりするもんだし。」

『む。そうなのか?』

「とにかくやってみようか。確か25階層だったよね。」

「ああ。」

僕たちはまた布に乗り、二重目を25階層入り口、にして魔力を流してみた。

だが、案の定、発動しなかった。

「あー。やっぱりね。」

『ちっ。ワイバーンが狩れると思ったのに。』

「ふふ。地道に行かないとね。でも一回いけば、あとは楽だよ。」


このダンジョンは一度踏破しておけば、踏破した階まではいつでも行けるシステム。僕たちは初潜りだから出現していないが、5階まで達すると、この広間にも「転移陣」が現れるという。それを使えば、踏破した階層まで飛べるという仕様だ。

まったくもって不思議空間だよ。ダンジョン。

「よし。実験は成功。じゃあ、さっきのところまで戻るよ。」

『判った。早く行こう。』

「ふふ。あわてないあわてない。」


呪文を唱えると、無事にさっきのところに戻ってきた。

「さてと。此処は三階。ゴブリンの巣だ。なるべく多く狩るよ。気を引き締めて行こう。」

『ああ。』

ダンジョン内のゴブリンは、スタンピードでなければ外へは出てこない。

だがダンジョンだから次々湧いてくる。

ゴブリンは徹底的に減らすべきだと、僕は思っている。

アリーシャやマリン、そしてユリアを知ったあとでは、そう思うのも当然だ。

僕は狩って狩って、狩りまくった。

シンハも同じ思いだったようで、此処では次の階にいくのを遅らせて、徹底的に狩った。

ダンジョン内のゴブリンの場合、討伐報酬はないので、耳のお持ち帰りは必要ない。

報酬は暗緑色の魔石だけ。この魔石の使い道は動力系とか、緑系の色なので、細かく砕いて植物の育成促進に使われるらしい。


ここのボスはメイジの巨大ゴブリンだった。

魔法を多少使うが、たいしたことではない。

僕が落雷で牽制し、シンハが爪で引き裂いて終わった。

弱い。弱すぎる。

でも、シンハもだいぶ暴れられたので、ストレス発散にはなったようだ。


ボスを倒すと、はじめて宝箱が出た!

「生涯初の宝箱~♪なにが出るかなぁ」

まずはミミックかどうか鑑定。

うむ、大丈夫らしい。魔物が化けたものではない。

でも中身まではわからない。開けてみないと。

『ワナがある場合もある。開けた途端に毒矢が飛ぶとかな。だから、真正面から開けるなよ。』

「なるほど。爆発系もあるかもね。なら、結界して、と。」

ぱか。…シーン。

何のワナも無かったようだ。

「だいじょぶみたい。」

『そのようだな。…中身はなんだ?』

「指輪。…えーと、『命の指輪』?」

『効果は?』

「『1度だけ即死回避。発動すると全ステイタスが100パーセント回復。』だって!大当たりじゃん!」

『そのようだな。』

「わーい!」

使い捨てらしいが、いざ決戦!という時はこれをつけよう。


「しかし、たった3階でこんな大当たりが出るものなの?」

『ここのダンジョンは難易度と宝箱の中身の価値は比例しないと書かれていなかったか?』

「あー、確かに。だから人気なのか。」

『そういうことだ。』

「決めた!今後宝箱のものは、なるべく売らないようにする。たいしたことはないものでも、魔力を帯びているようだから、素材としてそれなりに使えそうだしね。」

『まあ、好きにしろ。』


4階層。

ここにはオークが出る。

オークは食用なので、僕はまじめに倒した。

オーク肉のシチューは美味い。マーサさんとジルベルトさんの得意料理。

この世界のオークは豚の魔物で、二足歩行する。この肉を食うのかと思うとちょっとグロいが、まあ兎だって鶏だって、捌く時はやっぱりグロいから、仕方がない。

僕は亜空間が捌いてくれるから、まだいいけどね。

此処のキングはオークキング。腕力自慢なだけで、たいしたことはなかった。

シンハがやりたいというので、僕はサポートにまわり、好きにさせた。

あっという間に喉笛をかみ切って終わり。

シンハ強すぎ。

魔石や肉以外のドロップ報酬は…なし!

「ドロップなしなんてこともあるんだな。」

良い勉強になったと思うことにしよう。ちぇ。


5階層。

階段を降りたところに、「転移陣」があった。

「やっぱりあったか。「転移陣」。」

二重目が空欄になっており、まるで僕が布に描いたものと同じだった。

「ありゃ。此処のを転写すれば簡単だったか。」

と思ったが、まあいいや。どうせ一部加工は必要だったし。

陣の傍に解説プレートがあった。

『行きたい場所を思い浮かべて魔力を流せ。』

と言っても、初心者には選択肢が少ないけどね。


此処ははじめてアンデッドのいる場所だった。

聖魔法を使う者がいないと踏破できない。

あるいは聖魔法が使える魔導具がないとね。

聖魔法は、光魔法の一種。

清めとか、治癒魔法とかがアンデッドには有効だ。

雑魚敵はスケルトン兵と吸血アンデッドコウモリ。

此処では剣に聖魔法を纏わせて斬ってみた。

するとその場で速攻、光の粒になって消えた。

もちろん、シンハが倒しても次々に光の粒になって成仏する。

さすが神獣さまだ。


面倒になって、あとはエリアハイヒール。

これで全滅。

魔石を風魔法で回収。

ほどなくボス部屋に到達した。


ボスは5メートルを超えるスケルトンキングだった。

「此処は僕がやるよ。」

『任せた。』

少し強い魔法になると、呪文が必要だった。

僕は聖魔法を使う。

「汝、すでに時を止めし者よ。大地に還れ。メガヒール!!」

キングはフォォォォォォ!!と雄叫びと共に、塵のようになって消えていった。

同時に光の粒が、天へと昇っていった。


ここでも宝箱が出た。

中にあったのは『影魔法中級』という本。

僕も使える「影渡り」だけでなく、一瞬で周囲を闇にする「黒影」、影から刃を出す「影刃」、人の影に入ってその人を操る「影使い」の魔法が記されていた。

闇魔法は、ケリスさんに借りた基本3冊本にも全く載っていなかったので、僕としてはかなりの収穫だ。もっとも、闇魔法の素質を持った者自体、希有らしい。

「僕にとってはアタリだな!ラッキー♪」


キングが居た場所の向こう側に、いつものように階段が現れる。その隣にもまた魔法陣があらわれた。

なるほど。5階層ごとに、入り口と出口に陣が出るのか。

ただし、入り口の二重目は白紙だが、出口にあるものはしっかりダンジョン入り口の広間が指定されているようだ。

帰還のための陣ということだろう。

なかなか親切設計だな。

と魔法陣を横目で見つつ、僕たちは6階に降りた。


6階層。

此処ははじめての木や草花の魔物たちだった。

人食い花のデス・フラワーとか、キラー・オニバス、蔓草のピオニーアシッドレインとかが雑魚だった。

僕は嬉々としてそれらを退治しては、毒液や株を採取。薬の材料になるからな。うん。

ついでにそのへんに生えている植物も鑑定。役に立つものは毒草でも薬草でも、手当たり次第に採取。

でもあまり夢中になると、敵よりシンハがイライラし始めるからな。そこは適当に。


此処にも、誰もわからないよねという藪の中に、宝箱発見!

中身は上級ポーション。HPとMPを同時に80パーセント回復というもの。でも僕のより精度は低い。そして僕のように非常識な数値のHPとMPの場合、この上級ポーションではどちらも1万程度しか回復しない、ハズ。


『おまえにとってはハズレだな。』

「そんなことないよ。ダンジョン産のポーション、はじめてだ。これも分析のためにキープっと。」

『ふふ。なんでも前向きなのはいいことだ。』

「ん?そう、かな。そうかもね。」

別にハズレじゃないと思うけど。まあ、価値観の違いだろう。

あとでゆっくり解析しよう。


「ん?もう一つ、底に何かあるよ。」

箱の底だと思っていたのは、何か紙が敷いてあるようだ。

端っこをつまんで取り出すと、それは魔羊皮紙でできた紙を折ったもの。

開くと地図だった。

「!おそらくこの階層の地図だ。印があわせて…7つある。もしかして…宝箱の位置とか!?」

『そうかもしれんな。どうする?』

「一ヶ所だけ行ってみよう。それでなにかわかるかもしれないから。」


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