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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
116/529

116 ポーションの取引

僕たちはギルド長の部屋をあとにして、受付嬢について階段を降りた。

「でもびっくりです。いらしてすぐにCだなんて。ベテランさんでよほどの腕でも最初はDからスタートなのに。すごいです!」

「はあ。ありがとうございます。」

笑顔の素敵な受付嬢さん。名前はサーシャさんというそうだ。手続きをしている時に、教えてくれた。


「今度は販売したい作品ができたら、ぜひお持ちください。サキさんの腕なら、きっといい値段が付くでしょうから。」

「ありがとうございます。…そうだ。炭を買いたいのですが、ありますか?」

「ええ。ありますよ。木の銘柄指定はありますか?」

さすが、プロは炭も樹木指定らしい。

「できれば「はじまりの森」のトレントがいいですね。」

「え、トレント…それはさすがに…」

「あ、ですよねー。」

「ありますが、少ないですよ。」

「あるんですか。」

むしろあるって聞いて驚いた。

「炭は材木にした残りの端材でしか作りませんから。すごく少ないのです。」

「そうなんですね。…わかりました。普通の樹木の炭ならいろいろあるんですか?」

「ええ。杉、檜、樫、楓いろいろ揃っておりますよ。こちらへどうぞ。」

それから炭の倉庫でいろいろな炭を見せてもらい、幾種類かを購入した。

亜空間収納に入れたので、サーシャさんには驚かれたが、広めないでくださいね、といったら、守秘義務があるので大丈夫です、と言われた。


「ほかにご用はありますか?」

「あ、はい。実は簡単な薬やポーション類も、作ったのがあるんですけど。買い取りはできますか?」

「もちろんです。鑑定料を差し引いてのお値段になりますが、いいですか?」

「たとえばポーションだとどうなりますか?」

「上中並のポーションの場合、鑑定料は100本までは1本につき一律200ルビです。それ以上の数であれば少しお値引きがあります。ただしこちらのギルドにそのままお売りいただくのであれば、鑑定料は半額になります。同じく当ギルドで指名する治癒術師にお売りいただくときも、同じく半額の100ルビです。つまり、鑑定書が必要な外部にお売りになる時だけ200ルビということです。」

「なるほど。」

下のポーションは、ここでは並というのか。鑑定は1本ずつ行うのだな。結構厳密だ。


「では中級ポーションだと買い取り価格は?」

「容器はお持ちですか?」

「あ、そうか。容器代も必要ですよね。」

「はい。…当ギルドでは一律同じ容器に統一しております。これは王国内であればどこでも使えるものです。底の色と蓋の色が透明なのが並ポーション、赤が中級、青が上級です。

容量は並が大きいですね。中級、上級は同じ容量で、並の半分です。価格は並が100ルビ、中級と上級は200ルビです。いずれも割れにくい魔法陣が底に切ってあります。」

と容器を見せてくれる。魔法陣込みか。すごいな。瓶は使い回しなんだな。だから魔法陣がある割に安いのだろう。蓋はコルクではなくガラス。モレないよう、内側に粘着性のものが塗ってある。濃縮スライム液だな。なるほどね。


「ポーションの買い取り価格は、変動しますが、今ですと容器代と鑑定込みで並が700ルビ。中級は5,000ルビ、上級が4万ルビですね。」

ほう。ポーションのグレードで、かなり価格差があるんだな。

ギルドに売るなら、並は中身が500ルビ+鑑定100ルビ+瓶100ルビ、中級は中身が4,700ルビ+鑑定100ルビ+瓶200ルビ、上級は中身が39,700ルビ+鑑定100ルビ+瓶200ルビ、という内訳だ。


「相場を知らない田舎者なので教えてください。小売り値は今どれくらいですか?」

「並が1,000ルビ、中級が6,000ルビ、上級が5万ルビですね。」

上級だと50万円相当か。

「わあ、高いんですね。」

「それでも当ギルドの値段は良心的なんですよ。ほかの薬店を覗いてみてください。ぜったいもっとお高いですから。」

「そうなんですね。えと、各ポーション、需要はどうなんですか?足りてるのか、不足しているのか。」

「はい。一番納品数も出荷数も多いのは並ですが、中級、上級はいつも不足気味で。もし納品していただけるなら、お値段の交渉はギルド長ならできると思いますよ。」

とのこと。

「どれくらいが理想的ですか?たとえば中級ならひとつきに何本?」

「中級を月に10本も納品していただけたなら、ものっすごくありがたいです!上級はその半分もあればもう!」

「じゃあ、まず中級と上級を、数本ずつ納品してみます。それで合格なら、まとまった数を考えますね。」

「ありがとうございます!」


「えーと、ちなみに、エリクサーとかは…」

「え!?作れるんですか!?」

「え、いやいや、そういう訳では。ただ目標としてですね。はは。」

僕はあわてて否定する。


「そ、そうですよね。エリクサー作りは薬師の憧れですものね。

エリクサーは、買値はおよそ800万ルビ。売値は約1000万ルビです!年間1本納品できれば、もう特級薬師です!宮廷お抱えです!ギルドランクならSかSSですね!」

「あ、はい。ですよねー。」

受付嬢を興奮させてしまった。すみましぇえん。

シンハがまたぐるぐると笑っている声がした。

うるさいでしゅよ。おいぬさま。


エリクサー1本、1億円かぁ。

まあ、たしかに手足が蘇り、蘇生も3分以内なら可能というなら、1億円でも安いといえば安いか。

僕にとっては、愛用の栄養ドリンクなんだけど…。


一応ポーション用の瓶は、中級用20本と上級用10本を購入した。

それから時間を取って申し訳なかったが、薬草を少しギルドに納品した。冒険者ギルドよりも、高品質なものの買い取り価格が良かったからだ。

試しにメルティアを10本×3束だけ売ってみた。

またエッレさんがふっとんできて、ちょっとこいと。


「これ、どこで採取したんだい?」

「えーと、企業秘密です。」

「ふん。いいだろう。もしこの品質なら、通常の5倍で引き取るよ。ただし今日のと同じように、採りたてならね。」

「わかりました。心がけます。」

それ、いつ採取したかわからんくらい前のやつだけど。シンハの洞窟の前の広場の雑草だけど。


ちなみに鑑定すると「「はじまりの森」産のメルティア。採りたての状態を保持。どこで採取したかはサキ・ユグディオしかしらない。」と出るもの。

まあ「はじまりの森」は、ヴィルドの場合、目と鼻の先の森だから問題ない。浅いところでもメルティアは採れる場合もあるからね。

だが、「森の奥産」と出て困っていた。しかし最近、じーっと鑑定していると、ほわんと表現が変わった。どうやら鑑定能力があがると、嘘でない範囲で自分の都合のよい表現になるようだ。鑑定さん、ありがとう!


というわけで、僕はこのあとなんども生産者ギルドに出入りするようになった。そして鍛冶やアクセサリー作りに必要な材料を買ったり、薬調合に必要な道具を買うなどし、売るのは中級ポーションと上級ポーション、少しのメルティア、この辺で採れる大量の薬草、が多くなっていく。


刀剣類については、全く請け負っていない。製作は自分の作業場を確保してからになるだろう。

まずはゲンさんのところで、少し基礎を学んでからにしたいと思っている。

ゲンさんの作業場には、2回目に行った時から、すぐに入れてもらった。

僕が「ゲン師匠」から基礎を習う代わりに、ゲン師匠には僕の製作工程を見せたり作品を見せたりすることで、ウィンウィンの取引となったのだった。


生産者ギルドでも、自分の中の常識が、世間の非常識であることを思い知るサキなのでした。

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