冥府魔道をも
最終話です。
宗茂は目を開いた。
そこは地獄と呼ばれるあの世であった。
灼熱地獄の釜の下には、業火が燃え盛り、真っ赤な血の湯がぶくぶくと沸騰している。
全身を浸かり、その耐えがたい熱さに、釜の中、宗茂は顔を歪めた。
「ぐっ!」
宗茂はその苦痛に思わず、言葉を発する。
(我が所業・・・当然か・・・)
自虐的な思いが浮かぶ。
・・・・・・。
・・・・・・。
気づく。
右手のぬくもりを・・・隣を見やると誾千代の姿があった。
「誾千代!」
「お前様!」
苦痛は死を越えるほどであったが、共にいる喜びはそれすらも超越した。
笑みをお互い見せる。
「誾千代、苦しゅないか?」
「なんのお前様こそ」
「なんのなんの」
「ほほほほ」
宗茂は目を閉じる。
「のう、誾千代」
「はい」
「ワシは嬉しい。地獄でもお前と一緒で」
「それは私も」
「じゃが」
「でも」
夫妻は目を見開き、思いを馳せる。
「こんな冥府魔道でも」
「地獄でも」
「2人でおれば、何も恐れることはなし!」
2人がそう叫ぶと、地獄は消え世界は一変した。
光あふれる素晴らしい常世。
2人は手を繋ぎ、どこまでも歩き続ける。
完
なろうらしい完結をと意気込んだものの、む~、いかがでしたでしょうか(笑)。
いろいろ思うところはありますが、無事宗茂公の生涯を自分なりに書くことが出来て、ほっとしています。
書きはじめたのは、連載する半年くらい前でしたか、宗茂公を書くぞと、意気込んだのはいいのですが遅々として書けない現状に思いきって連載することに決めました。
やはり、読んでいただいているというのは励みになるもので、多少の波はあったものの楽しく取り組めました。
おかげ様で無事ゴール出来ました。読んでいただいた皆様には重ねて感謝でございます。