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二、連貞不覚

 連貞不覚。

 

 江戸にて機会を伺う宗茂主従は宝祥寺で寄宿蟄居生活を送っていた。

 悠然と構える主人に、老将の由布惟信、真面目一徹の十時連貞はやきもきしながらも、主にひもじい思いをさぬと、その日の暮らしの日銭を稼いでいた。

「心配するな。小野(加藤家に仕えた小野鎮幸)からも仕送りがある」

「それだけでは足りませぬ」

 惟信はふるふると首を振る。

「殿っ!江戸で動くと言ったではありませんか!」

 連貞からツッコミが入る。

「待て、待て、まだ時ではない」

「しかし」

 食い下がる連貞に、

「さてと、ワシは行水でもしてくるか・・・のぞくなよ」

 宗茂は話を遮り立ち上がる。

「のぞきません!」と、惟信、連貞(怖いから)。


「殿は一体、何を考えておられるのか」

 十時連貞はぶつぶつと言いながら、最近の日課となっている虚無僧の格好をして托鉢をしていた。

 得意の尺八を吹いて、わずかばかりの銭を町人から受け取ると、深々と頭をさげその場を後にする。

 歩いていると、

(つけられているな)

 と、何者かの気配を感じた。

 走って逃げるかとも考えたが、何故俺が逃げる必要があると思いとどまり後ろを振り返った。

「何か御用ですかな」

 連貞の言葉に男3人のゴロツキが睨みをきかせ連貞に凄んで近づいてきた。

「お前、ウチのシマで勝手に金を恵んでもらっていたな。ショバ代払ってもらおうか、あん!」

「それはすまないことをした。しかし、拙者、虚無僧にて・・・」

「嘘つけ!そんなにガタイのいい虚無僧がいるかっ!」

「では、どうしろと」

「金を置いていけって言っているんだよ!」

 肩をいからせて3人は連貞を取り囲む。

 キラリ。

 白刃を煌かせた。

(しまった!)

 連貞は後悔していた。宗茂からは動くなと言われている、こんなことで面倒ごとになるのは非常に都合が悪いのである。

「すまない。ここは退いてくれないか」

「退くだあ~。男が一度、刀を抜いたからには生死は覚悟の上なんだよ!」

 3人は一斉に飛びかかった。

「そうか、止む無し」

 連貞は背後の男に後ろ足で金的、続いて左隣の男には左の肘鉄を食らわし、正面の男には、刹那の手刀で、手首を一閃、刀を落としたところを、素早く拾い上げ、瞬く間に3人を斬りつけた。

「しまった!」

 思わず連貞は天を仰いだ。



 も・・・。

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