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三、秀吉東国を平定し、天下をおさめる

 立花宗茂、伊達政宗、真田信繫は同い年生まれです。


 天正18年、ついに秀吉は天下統一に王手をかけた。

 敵対する北条氏への小田原征伐である。

 宗茂は秀吉の信任厚く、前年に官位と羽柴の名字を名乗ることを許された。

 

 秀吉の陣中を見舞うべく、柳川を発った宗茂率いる立花軍は、岩槻や江戸での戦いに参陣活躍する。

 ある日の評定で、秀吉は居並ぶ諸大名の前で、声高らかに言った。

「皆の者、あと少しで天下は統一される。諸将よ、戦働きをする機会はもうしばらくないぞ、心して戦え。ワシには東の本田忠勝、そして西の立花宗茂、東西無双の武者がここにおる」

 秀吉は突然、家康配下の本田忠勝と宗茂を褒めちぎった。

「ワシには過ぎる者達よ。あと少しじゃ、あと少しで天下泰平の世が日の本に訪れる」

 彼の言葉に諸将が湧きたった。


 東国平定に向けて秀吉軍の快進撃は続き、ついに北条氏の居城小田原城へと到達する。

 諸将を配置し、一切の抜け場の無い周りを包囲する。

 秀吉は即座に、敵城を見渡せる石垣山に巨大な城を築くと、連日連夜、茶会や酒宴を開き大騒ぎをはじめた。

 北条方に自軍の余裕と脅威を与え、天下まとめの総仕上げに秀吉はご満悦だった。

「のう見てみい、宗茂」

 秀吉は眼下に見える小田原城を軍配で指す、人の逃げ場がない完璧な軍の布陣に、傍らの家康は唸る。

「まさに太閤様の御威光は、天に届かんばかり」

「然り」

 家康の言葉に宗茂はただ頷くほかなかった。

「ふぉっ、ふぉっ、ふおっ、これも家康殿・・・それに宗茂たちの粉骨砕身の功じゃて」

「なんと畏れ多い」

 家康は慇懃に手を振った。

 宗茂は頭を垂れる。

「ふぉっ、ふぉっ、ふおっ」

 秀吉の甲高い笑い声が、青空に響き渡る。


「申し上げます!」

「なんじゃ佐吉」

「はっ、伊達政宗が参陣しました」

「・・・来たかっ!遅い、遅いぞ、どうしてくれようかっ!」

 秀吉は肩を怒らせて、陣幕に戻った。

 宗茂と家康は互いに顔を見合わせ、後に続く。


 領国統治の為、遅参したという伊達政宗は、白装束という死を覚悟した出で立ちで秀吉の前に現れた。

「フン」

 一瞥する石田三成は、配下の者に目配せをし、秀吉に平伏した。

「これより、敵城攻略へ向かいます。いくぞ信繁(真田幸村)」

「はっ」

 真っ赤な甲冑を着た若武者は、三成の後に続いた。

 政宗の横を通り過ぎる際、信繁はちらりと政宗そして宗茂を見て退出する。


「・・・・・・」

 宗茂は、三成たちの去ったあとをしばらく見ていたが、視線を奥州の勇者へと向けた。

(・・・男・・・ではない)

 ぽよよん、ぼよよんと白装束からはみださんばかりの白乳がゆさゆさとしている。

「・・・これは」

 家康は思わず呟いた。

 政宗は秀吉の前に慇懃にかしづいて膝まずいた。

「政宗、政宗、政宗よ!って・・・うほう!」

 秀吉はその圧倒的な巨乳に言葉を失う。

「はっ」

 深々と頭をさげる政宗。

 ゆさり、ゆさり。

「そちは、此度の遅参、なんと申し開く!」 

「この政宗!太閤殿下に二心などござらぬ。だが、わが国に不穏な動きがあったため到着が遅れ申した」

 ぷりん、ぷるん。

「再三の帰参の申し出を断ったのは・・・うほっ」

 秀吉は眼光鋭くぎょろりと睨みつけたが、視線が胸へとうつると鼻の下を伸ばす。

「それもまた、国の動乱により、政宗、身動きがとれなかったのでござる」

「ふむ、口八丁か」

「そんなことはござらん」

 政宗は、身を乗り出すと、ぽよん、ぼよよんとたおやかな胸が、あっとちょっとはみででてしまいそうに揺れる、揺れる、揺れておどる。

「もうよい!」

 秀吉は軍配をぶんぶんと政宗の前で振った。

「その古今無双の胸に免じて、此度は許そう・・・じゃが」

 秀吉は軍配を投げ、すらりと黄金の太刀を抜いて、政宗の胸の谷間で止める。

「次はないと思え。貴様の自慢の胸をもってしても、この秀吉は甘くない」

「はっ、しかと肝に銘じます」

「よかろう。じゃ、ひと揉み・・・よいか」

「・・・はっ」

「よいではないか、よいではないか」

 戯れようとする秀吉に、

「こら、秀吉様!」

 美しい姫が睨みをきかせる。

「茶々~冗談じゃ冗談」


 場が一気に和み、笑い声が広がる。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 宗茂と政宗は思わず視線があう。

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべる政宗に、宗茂はゆっくりと目を伏せた。


 その後、圧倒的力の前に小田原城は陥落し、秀吉は天下統一を成したのであった。



 ・・・ということは・・・。

 

 次月もよろしくお願いします。

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