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救いの手

4話目です。

悠人視点です



「助かった」


 無事に助かった事で安堵のため息が出る。

 安堵のあとに周りを見渡すと周りは木、木、木、木、木、木……森じゃねーか。

 森の奥は暗く危険な感じを漂わせているが、幸いなことに俺たちのいる場所は、広場のようにぐるっと円を描いて木を抜いたかのように開かれていて、森の奥のような気配はしなかった。

 太陽が真上辺りで照り輝いているため、この世界の今は昼と理解した。

 太陽の位置から、時間は元の世界とは微妙というレベルでズレているようで時差ボケの心配はなさそうだ。

 それよりも…ひとまずは、


「おお〜い、無視しないでおくれよ。私だって人間なんだぞぅ。繊細な心の持ち主なんだから、無視とか虐めとか嫌なんだょ〜」


 先程から返事の無いこちらに怪しげな視線と言葉を送ってくる恩人(仮)にお礼をいうべきか?


「すみません、先程は(?)助けていただきありがとうございます。俺は、悠人。こっちに寝転がっているのは陣です。貴方はいったい…?」


 多分助けてくれたであろう人に対しては敬語で話すべし。生まれてから此の方、この対応にハズレはない。

 たとえ異世界であろうとも通用すると思い反応を伺う。


「やっとか〜。私はウィリアム。この森には変な魔力反応を感知してね。中心部に来てみたら君たちが落ちてきているようだったから、少し助けただけさ。というかなんで空から?魔法による飛行手段の確立は未だだし、飛行魔術が見つかったなんて聞いたこともないぞ…?」


 ふむ。

 色々と謎ワードが出てきたが、それについては後回しにする。

 先ずやることは…


「起きろ!多数決の時間だ!」


 隣の陣を手段を選ばす起こすことだ。

 まずは一発お腹に拳をゴー!


「グフッ!うおっ!ん?何処だ此処?というか何やってんだ悠人?」


 おかしい。腹という柔らかい部分を殴ったはずの俺の拳が鉄を殴ったかのように痛み出す。

 そして被害者は声は上げたものの、(いた)んでる様子はない。

 ナニコレ?


「プリーズ、現状」

「落下中に目の前の人に助けられて今後の行動決め中」

「オーケー、なるほど。目の前の人に助けを乞うに1票」

「だよなぁ。すみません。というわけで助けてください」

「うん、ごめん。話が途中で吹っ飛んでる気がするのだけれど!?というかいいのかい!?そんな急に僕に助けを求めて」


 そう言われても俺と陣の意思伝達速度は、陣の直感が加わっているため常人の10倍の速度で行われる。


「こいつが助けを求めたら、それが最善の選択なんで」

「と言われても…」


 むっ、この流れは不味い。

 そこで俺はこの流れを変える最初で最期の切り札を切る。


「お願いします。俺たち異世界から来たんですよ。だから右も左もわからないので助けてください!」

「お願いしゃっす!この通り!」


 俺の意図を察したのか、陣が追従してお願いをして、2人一緒に土下座をする。

 土下座とともに出した異世界ワード。

 この言葉の真偽を疑いはすれど、空から落ちるなんて通常ではあり得ないと先程呟いていたことから、異世界から来たなんて言われたら絶対に信じない、通常は。

 ただ、空から落ちる俺たちを見た後なら、突拍子のない言葉でも納得しやすくなる。

 ソースは俺。

 陣が公園に何がありそうと言って、見に行ったら宝くじが落ちていてそれが1等だったことがある。

 その翌日に嫌な予感がすると言われたから学校休んだら、まさかのテロリストによる学校占拠。

 その時から陣の予感には素直に従うことにした。

 ちなみに宝くじは野犬に襲われ、紛失。

 そして学校占拠のテロリストは面白そうと言って、わざわざ捕まりに行きやがったことに俺を巻き込んだことは今でも根に持っている。


「えぇ…。うーん、たしかに"空からの落下”や”異世界"という内容は気にはなるし、此処で見捨てるというのも心苦しいし…。………よし!わかったよ。付いて来てくれ。君たちの右も左も判らないという言葉を信じよう」


 ヨシ!

 これが日本のコミュニケーションの力だ!オラッ!



 ……嘘です。多分異世界ワードが4割、土下座が6割の成果です。

 土下座は異世界にも通用するかも?

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