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虫系異族のギラファさん  作者: 神在月
第三章 神州
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第八十七話 湯上りの二人

貴方と二人のこのひと時を

少しでも長く深く感じたい

だから私は一歩を踏み出す

(要約:恋人らしく)


 湯船を上がり、体に残ったお湯を真水で洗い流す。


 この辺り、流さない方が良い事もあるらしいのだが、自分としては一度流した方がサッパリする。


 タオルで体をふいて、浴衣を(ドスケベ)の方で着てドライヤーで髪を乾かす。途中フィーネが差し出した術式陣を髪に翳すと、乾かした後も髪がしっとり整いちょっと衝撃、この術式後で教えて貰おう。


 と、そんなこんなで暖簾をくぐれば、やや先に上がって居たであろうギラファの姿が目に映った。


 挿絵(By みてみん)

「お待たせしたっす、ギラファさん!」


 駆け寄り、抱き着くように彼の腕へと身を寄せる。色々とがってる部分はあるが、そこを避けて抱き着けるくらいには慣れて来た。


 挿絵(By みてみん)

「なに、私も今上がった所だとも。」


 肌に感じる温たかさで、彼の言葉が嘘では無いとわかる。見ればギラファの手には自販機で購入したであろうフルーツ牛乳の瓶が握られていた。


 その視線を感じたのか、彼が口元に近付けていた瓶を此方へ差し出し、


 挿絵(By みてみん)

「飲むかね?」


 頷き、けれど自分は瓶を受け取らず、彼の腕に手をかけ、そこを支えに身を伸ばす。


 彼の足に乗る様に身をうごかし、そっと唇を重ねる。彼の体に残る湯の温もりと、口元の湿りのひんやりとした感覚を味わい、ほんの僅かに舌先を出して拭い取る。


 離れ、口元を軽く押さえて彼を見上げれば、目を見開いた様に固まる姿が目に映った。


 挿絵(By みてみん)

「――ん、ご馳走様でした。」


 自分でも自分の行動に驚いているが、折角の旅行で温泉なのだ、これくらい積極的になっても罰は当たらないだろう。


 挿絵(By みてみん)

「――まったく、君にはいつも驚かされるな。」


 挿絵(By みてみん)

「……嫌だったすか?」


 すこしわざとらしくそう問いかければ、自分の腰に彼の腕が回され、抱き抱えられる。


 そのまま今度は彼の方から口付けを返され、僅かな間を持って離された。


 挿絵(By みてみん)

「これで伝わったかね?」


 軽く小首を傾げて問うのはずるい。


 挿絵(By みてみん)

「あはは……自分がされると中々照れるっすね。」


 挿絵(By みてみん)

「それ見せられてる私達の気持ち考えてくださいますこと?」


 挿絵(By みてみん)

「えーと、お二人の仲が睦まじいのは大変よろしいのですが……」


 挿絵(By みてみん)

「つーかそういう事は部屋でやれ!」


 なんか外野が騒いでるっすけど、こっちは今は無敵時間なので何も聞こえないっすー。



  ●



 階段をのぼり、三階へ戻る。


 休憩スぺースを抜け、左右に二部屋ずつならんだ部屋の右奥へ。オオゲツヒメから渡された解錠術式を翳して中へと入れば、踏込と前室を挟んで広い和室が目の前に広がる。


 先にオオゲツヒメの蚕にお願いしていた通り、和室の大きな座卓の上には全員分の豪勢な夕飯が所狭しと並べられている。


 挿絵(By みてみん)

「おおう、ちょっと予想してたより大分豪華っすね!?」


 挿絵(By みてみん)

「本当ですわね……五人分とはいえ机が完全に埋まってますわ。」


 食事は一部屋でとることを伝えていたので、全員分がここに用意されている訳だがちょっと想定外。ギラファさんの分は飲み物以外無いと言うのに八人掛けはありそうな座卓の天板が殆ど見えなくなっている。


 挿絵(By みてみん)

「あら?」


 フィーネが視線を向けた先、天板の隅に止まっていたオオゲツヒメの蚕が前足を掲げて術式陣を表示していた。


 挿絵(By みてみん)

『――――!』

 

 触覚がピコピコしてるのがなんだか可愛いと思いつつ、掲げられた術式陣を覗き込めば、映し出されていたのは自室と思われる背景で此方を見つめるオオゲツヒメだ。なんかデスクトップ型のPCっぽい大型通信端末やカメラ、人の頭部を模した録音機器などが置かれている辺り、あ、これガチな奴だと直感する。


 挿絵(By みてみん)

『ふふふ、湯加減はどうだったかしらぁ? 本当は直接おもてなしするべきなんだけどぉ、ちょっとこの後配信あるからごめんなさいねぇ? お料理や飲み物の追加はその子に言えば用意するから、ゆっくり楽しんでねぇ?』


 そう言って通信が切れたが、その間際に「はーい信者のみんなぁ、今日も私の吐き出し配信に来てくれてありがとぉ。」とか聞こえて来たのは考えない事にする。ちょっと俗っぽ過ぎないだろうか神州の神格達。


 挿絵(By みてみん)

「ていうか、この料理もオオゲツヒメが出した食材なんすかね?」


 別に嫌な訳では無いのだが、今の配信案件を聞いた直後だとまた別の感覚があると言うか……。


 と、天板の蚕が新しい術式陣を掲げた。


 挿絵(By みてみん)

『お食事の食材』『市販の物』『経済回す』『大事』

 

 おう、大分的確な回答が来たが、もしかしてこの蚕、かなりしっかりした自我をお持ちで?


 挿絵(By みてみん)

「おやおや、もしかして会話もできるのでしょうか、お蚕様。」


 フィーネの問いかけに、蚕は掲げていた術式陣を触覚の振りで解除し、代わりに聞こえてくるのは高めの女性の声色で、


 挿絵(By みてみん)

『できるよ――』


 まじすか凄いなこの蚕!


 挿絵(By みてみん)

「ふふ、ではお料理で分からない物があったら、お聞きしてよろしいですか?」


 挿絵(By みてみん)

『バッチコーイ。献立は此処に書いてあるよー』


 お品書きを持ったしゃべる蚕と囲む食卓とは一体――と思ったけどよく考えたら既にギラファさんが居たので割と普通な気がするっすね、うん。

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