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虫系異族のギラファさん  作者: 神在月
第二章 円卓
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間話 とある男女の動向

貴方が決めた場所ならば

私は何処でもついていく

(要約:あの時からずっと)



 時間は少しさかのぼり、蜜希達が城塞都市へと入った翌日。


 荷の積み降ろしを追え、新規の乗員を乗せた女神の遺骸はこれより、キャメロットから進路を北東に向けて航行する。


 その後端、指先である後部加速器上の甲板に立ち、城塞都市を見下ろす姿が二人。


 挿絵(By みてみん)

「蜜希のお嬢ちゃん達は、あそこで仲良くやってるのかしらね?」


 ワイシャツにズボン姿のエルフの女性は、横に立つ鎧を外した相方の男に声を掛ける。


 挿絵(By みてみん)

「ん? どうした、あっさり別れた割には気にかけてんのか?」


 当たり前でしょ、と自分は返す。


 挿絵(By みてみん)

「湿っぽい挨拶なんて柄じゃないもの。私達みたいなフリーの傭兵は一期一会、その場その場での出会いを大切に、たとえ以前は敵でも後腐れなく、ってね。」


 挿絵(By みてみん)

「それはそれとして後悔はするってか、お前通信のゲームに金突っ込む時と似たようなこと言ってるぞ?」


 挿絵(By みてみん)

「そ、それとこれとは関係ないでしょ!!」


 叫ぶような自分の言葉に、しかし相方は退かずに返して来た。


 挿絵(By みてみん)

「いーや、いい機会だから言わせてもらうぜ。金突っ込むなとは言わないが、出るまで回しておきながら後で叫ぶのは止めろ。」


 挿絵(By みてみん)

「うぐぐぐぐぐ……」


 挿絵(By みてみん)

「……ったく、お前この前の期間限定キャラ出すのに幾らつぎ込んだよ?」


 問いに、自分は一度空を見上げ、右を向き、そして唸りながら左を向いて、


 挿絵(By みてみん)

「……先月の報酬の三分の一」


 挿絵(By みてみん)

「生活費と設備投資費除いてほぼ全部注ぎ込んでんじゃねぇか!! ――まて、確かお前一昨日もなんか通信端末でゲームしながら叫んでたよな?」


 それを言われると痛い。自分の居た里はエルフたちの中でも少々特殊と言うか超閉鎖的で、百年前に普及した魔力ネットワークを拒み、その使用を禁止していたのだ。


 そこからとある事件で彼と出会い、半ば強引に里を出たのだが、外に出た結果反動として娯楽にハマった、それはもう酷い勢いで。


 特にオタク系と言うか、地球側から流れて来るものや、こちらだと神州が本場の漫画やアニメ、そこから更に通信端末系のゲームにのめり込み、今では立派な廃課金勢だ。


 挿絵(By みてみん)

「…………ねえ、一つ取引しない?」


 挿絵(By みてみん)

「いやな予感しかしねぇが、言うだけ言ってみ?」


 促しに対する答えは、酷くサッパリした笑顔と共に口を出ていた。


 挿絵(By みてみん)

「今回のワイルドハントの臨時報酬、私の取り分多くならない?」


 挿絵(By みてみん)

「スゲー笑顔で言いやがったなこいつ!!」


 そう言いつつ、相方は表示した術式陣を放り投げてくる。共有設定のされたそれは眼前で止まり、こちらの通信端末に装填された。


 挿絵(By みてみん)

「……なにこれ!? 普段の半年分くらいの額振り込まれてるんだけど!?」


 挿絵(By みてみん)

「今回のワイルドハント、異常事態が多すぎたってんで、かなり多額の臨時報酬出されてたんだよ、その上で俺たちは親玉の居た激戦区に居たから、その分で追加で報酬出てる。」


 ――それから、と相方は言葉をつづけ、


 挿絵(By みてみん)

「ギラファの旦那が、蜜希の嬢ちゃんを守ってくれた礼にって自分の分の報酬置いていったんでな、一番の貢献者旦那だってのに、有無を言わさぬ勢いだったぜ。」


 挿絵(By みてみん)

「いやはや、流石にありがたさより申し訳なさが先に来るわね、今度会ったらお礼言わないと……」


 挿絵(By みてみん)

「流石に通信のアドレス交換する程親しくないからなー……まあ、ウェールズ行ったらアージェ店主辺りに言伝頼むのもありか。」


 そうねぇ、と相槌を打っていると、新しく表示された術式陣が此方に差し出される。


 挿絵(By みてみん)

「ん? 神州行きの搭乗券? これあれよね、神皇竜の眷属がやってる超高速旅客便、世界の裏でも一日中に到着するってやつ。」

 

 挿絵(By みてみん)

「今回のワイルドハントで、守備隊が被害過多で再編成されるらしくてな、次の停泊地のノリッジで俺達フリーの傭兵も契約更新の是非が来たから、一旦そこまでで契約解約して来た。――んで、それは婚前旅行の行き先な。」


 挿絵(By みてみん)

「へーー……」


 ん?


 挿絵(By みてみん)

「は!? 婚前旅行!?」


 挿絵(By みてみん)

「残念だが旅費は全部俺が出すから行き先の決定権はお前には無い。と言うか神州なら異議無いだろ、お前がやってるゲームもそっち本国なんだからよ?」


 違うそうじゃない。確かに神州には一度行きたかったし、多額の報酬が出た今なら本やグッズを買い漁れるが……


 挿絵(By みてみん)

「いや行き先に不満は無いけど、婚前旅行とか急に言われても心の準備が……と言うか私達正式に付き合いだしたの一昨日じゃない!」


 挿絵(By みてみん)

「……駄目か?」


 バカ、急に不安そうな顔見せないでよ、こっちは五年前にアンタが私を里から連れ出した時から、ずっとこうなる事を待っていたのだから。


 挿絵(By みてみん)

「そんな不安が生じない程度には、私は貴方に頼って来たつもりなんだけど?」


 挿絵(By みてみん)

「いや、お前の場合こっちを何かあった時に養ってくれる存在みたく思ってる節が大分あったからな……」


 それについては何も言い返せない。いやその、外の仕組みとか全然知らなかった事もあるが、傭兵としての登録手続きとか依頼の受注とか全部相手に任せていたので、うん。


 挿絵(By みてみん)

「けど大丈夫? いくら臨時報酬あるからとは言え、キチンと結婚するならお金は節約しておくべきじゃない?」


 挿絵(By みてみん)

「貯金残高ほぼ皆無のお前と違って、こっちはお前とコンビ組み始めてから毎月報酬の四分の一と臨時報酬全額貯金してるんでな、それ以前からの分もあるし、婚前旅行で散財するくらい問題ねーよ。」


 ちょっと待ってそれ初耳なんだけど。

オマケの解説 

「八大竜皇」

 地球側の神話に依存しない、原初の女神の時代からこの世界に君臨する最強種たる竜族の八体の皇。竜皇となった個体には寿命と言う概念が無くなる。

 八体それぞれが独自の眷属を従えており、極稀に代替わりをする。理由は何らかの戦闘で先代の竜皇が死亡した場合や、竜皇自らが時代に合わせて後代を選ぶこともある。

 基本的に竜族はかつて女神と交わした盟約により、人類側から攻撃を受けぬ限り人と敵対することは無い。

 竜皇となった個体は孤高を好む傾向にあるが、今代の焔皇竜と神皇竜は率先して人に関わりに行く。


・焔皇竜

 蜜希が加護を貰った竜皇。熱を司り、それに伴い力の加圧を得意とする。

 五百年前に先代と一騎打ちの末打倒し竜皇の地位を得る程の強者であり、当時はその事から尊大で自信家だったが、蜜希の祖母である希にシバかれて以後大人しくなった。

 希に相対すると舎弟見たいな態度になるので小物臭いが、並の神格なら歯牙にもかけない程の実力を持ち、戦闘力なら竜皇の中で№2。オス


・海皇竜

 水を司る竜皇。氷も行けるので頑張れば疑似的な絶対零度を作り出せる。気高く孤高を好み、人前には眷属含めて滅多に姿を見せないため、積極的に人と関わる焔皇竜とは少し反りが合わない。メス


・嵐皇竜

 大気を司る竜皇。のらりくらりと掴みどころがない性格をしているが、実は結構律儀。いやほら、大気って季節ごとにキチンと管理しないといけないんで……。こいつがその気になると人類全員死ぬ。オス


・岩皇竜

 大地を司る竜皇。自身はあまり動かないが、代わりに眷属が竜族の中で最も多い。竜皇の中で唯一飛べない。蜜希が最初に襲われた岩蜥蜴はこいつの眷属から零れ落ちた堕竜(自我を持たない獣)。メス


・光皇竜

 光を司る竜皇。疑似的に亜光速での移動が可能な竜族最速。ただしスタミナが無いスプリンター。基本温厚。メス

 

・影皇竜

 暗闇を司る竜皇。一定以上の暗さの影や闇を距離を無視して移動する。竜族の中では唯一眷属含めて戦闘嫌い。メス


・骸皇竜

 冥府を司る竜皇。各神話が持つ冥府の統括としての死後の世界を管理している。関係としては骸皇竜が管理する物が大型商業施設で、各神話がその中の出店店舗のような形。ひたすら忙殺されてる苦労人。メス。


・神皇竜

 神たる竜の皇では無く、女神に仕える竜の皇。ただ一体原初の女神の時代から生き続ける存在であり、文句なしの最強の竜皇。

 その身体は女神の武装と同質の物質に転化しており、眷属もまた機械の様な姿をしている。眷属たちは人の長距離移動を助ける航空機的な役割を担っており、そこそこ高額ではあるが通常最速での輸送を実現している。真面目で視野が広いので事故も少ない。

 未だ女神を慕い続け、それ故に女神が護った人類を愛している。オス

 


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