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虫系異族のギラファさん  作者: 神在月
第二章 円卓
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第六十一話 聖剣解放

聖剣とは己の心を映す鏡なり

その有様は己と共に移り行く

ならば汝は我が刃に何を見る

(要約:やりたい放題)



 聖剣同士の激突は、更に苛烈さを増していく。


 衝突の衝撃波は大地を揺らし、数キロ離れた城塞都市の鎧戸を震わせる。


 挿絵(By みてみん)

「どうした馬鹿弟子! この程度で息切れしていないだろうな!?」


 下から斬り上げる様に振るわれた光剣。その巨大さ故に大地へと刃先が食い込みながらも、意に介さずに切り裂き、砕き、爆圧を持って抉り取る。


 対するは、同様に巨大な光槌を振るう初老の男。光剣の切っ先を見切り、身を半身にして回避すると同時、その剣の腹を殴り付けて弾き飛ばした。


 挿絵(By みてみん)

「昔から体力だけは負けたことが無いぞ師匠! そちらこそ五百年ぶりの戦闘で鈍っているのではないか!?」


 挿絵(By みてみん)

「はぁ!? 誰がババアだ! 殺すぞ!?」


 挿絵(By みてみん)

「一言もいっとらんし理想郷で年とるのか? ん?」


 アーサー王が一度大きく光槌を振りかぶる。


 その動きに合わせて肘から後ろに伸びた円柱状の機構が伸長する。


 挿絵(By みてみん)

「オオオオオオ!!」


 震脚。


 地を砕くほどの踏み込みに合わせて振るわれた光槌が、先代の持つ光剣へと激突する。


 瞬間、円柱部分が一瞬で元の位置へとスライドすれば、その衝撃が拳を通して光剣へと叩き込まれる。


 挿絵(By みてみん)

「ぐううっ!?」


 衝撃に先代の体が後方へと弾け飛ぶ。着地の擦過は数十メートルにわたる轍を大地に刻み付けた。


 挿絵(By みてみん)

「おい! なんだその面白機能!?」


 停止と同時に身を飛ばし、お返しとばかりに放たれた横薙ぎの剣閃は、盾の様に構えた光槌に受け止められる。


 挿絵(By みてみん)

「はっはっはっ! パーシヴァルから借りた書物で見かけてな、面白いから採用したのだ! カッコイイだろ!!」


 挿絵(By みてみん)

「くっそー! 理想郷ではこっちの娯楽は確認できんからなー!!」


 挿絵(By みてみん)

「羨ましかろう? ――こんな使い方もできるぞ!」


 円柱が再度伸長、狙う先は自身の後方だ。


 踏み込みと同時にインパクトを炸裂させれば、その身は砲弾の如く射出される。


 向かう先は先代の横十メートル地点。踏み込み込みでも斬撃が届くまでラグのある場所へ至ると同時、衝撃を大地に放つ。


 挿絵(By みてみん)

「ちょこまか動くな、バッタかお前!?」


 挿絵(By みてみん)

「こんな平行方向に動くバッタがいるかの?」


 身を回し、再度着地と共に身を弾く。先代の周りを只回るようでありながら、確実にその速度は増していき、


 挿絵(By みてみん)

「――! これだけ見れば軌道は読めるぞ!」


 先代がこちらの行く先を見切り、次の地点を予測し斬撃を放ってきた瞬間、ほんの一瞬打撃のタイミングを遅らせる。


 挿絵(By みてみん)

「――貴様!」


 先代が斬撃の軌道を強引に修正し、こちらを捉えるまでの時間は僅か数瞬。


 だが、それだけあれば拳を振りかぶるには十分足りる。


 挿絵(By みてみん)

「ぬぅおおおおおおおあぁッ!!」


 空中で強引に構え、大地へと叩きつける筈であった光槌を、自分を両断せんと迫る光剣の腹へと振り下ろす。


 拳は水蒸気爆発の白霧を纏い、光剣を上から叩き伏せる様に着弾。同時に伸縮機構による衝撃を叩き込む。


 幾度にも重なった加速による速度は威力に直結する。本来強度的には拮抗している筈の聖剣同士だが、それを強引に超えてゆく。


 挿絵(By みてみん)

「何――――ッ!?」


 破砕音が響き、先代の持つ光剣が中腹から砕けて散った。


 


   ●



 挿絵(By みてみん)

「叩き折っただと!?」


 後ろへ身を弾き、距離を取りつつ思考を加速する。


 もともとアリスとしては、正直負けてもいいとは思っていた。


 なにせかつては自分が命懸けで守った国だ。今はワイルドハントや災厄の影響で敵対中とは言え。出来る事なら失わせたくない。


 だが、


 挿絵(By みてみん)

「ああ、ダメだな、これはダメだ。――楽しすぎる。」


 挿絵(By みてみん)

「あ、やばいな?」

 

 馬鹿弟子の懸念は正解だ、最早自分で自分を制御出来ん。


 心の底から湧き上がる喜々とした感情が隠せない。


 自分の光剣が折られるなど、それこそ五百年前すら無かった事だ。しかもそれを為したのが嘗て自分に手も足も出なかった弟子の一撃と来れば、もう我慢など出来る筈も無い。


 挿絵(By みてみん)

「すまんな、アーサー。本当なら此処で負けてやるのが一番良いんだが。無理だ、もう抑えられん。使うぞ!」


 折れた光剣を、正眼に構え、告げる。


 挿絵(By みてみん)

「――聖剣、解放。」


 光が、嵐の如く吹き荒れる。


 まず初めに起こった変化は、自身の手足に現れた。光剣を掴む腕が、大地を踏みしめる足が、聖剣から溢れ出した光に包まれる。


 各部位が弾け、新たな武装が現れる。それは手甲であり、足甲であり、けれど本来の手足のサイズを遥かに超える。長さで三倍、太さは五倍は下らない。


 変化は手足に留まらない。背に纏った光は刃を組み合わせた翼に変わり、その身を宙へと浮かばせる。


 折れた光剣は更に巨大に、更に分厚く。剣身は十メートルを軽く超え、実体を伴う刃の周囲に風を思わせる光を纏う。


 挿絵(By みてみん)

「ああ、久しぶりだ。――実にいいな、戦闘は!」


 軽く、聖剣を横薙ぎに振り払う。


 たったそれだけの動作で生じた剣圧が、光の刃となって大気を切り裂き飛んで行く。

 

 扇状に広がった光刃はその幅を五百メートル程に伸長、そのまま数キロを突き進み、城壁に当たる直前、砕けた。


 挿絵(By みてみん)

「ほう、モルガンか、はたまたギラファか分からんが、この程度では城壁にも届かんか。」


 宙に浮き、佇む様に告げる自分の耳に、弟子の呟くような言葉が届く。


 挿絵(By みてみん)

「――聖剣、解放!」


 弟子の周囲に光が集まる。先程の自分と同じように各部を聖剣の光で拡張し、その武装は強大さを増すことだろう。


 その最中を攻撃するような無粋はしない。そんな趣味は無いし、仮に行ったとしても聖剣の光風に遮られてまともに通るものでは無い。


 挿絵(By みてみん)

「ん?」


 おかしい、自分と同じであれば、光が形創るのは聖剣を振るうための手足と空を征くための背部のみの筈。しかし見据える視線の先、弟子の体は爪先から頭の天辺に至るまで残らず光に覆われている。


 そのまま光は大きさを増し、直径六メートルはある繭のような光球を形成。一瞬の間を置いて、弾けるように砕け散った。


 挿絵(By みてみん)

「な――――――ッ!?」


 中から現れたのは、全身を光り輝く聖剣の輝きで形作られた、全高五メートルはある光の全身甲冑(フルプレートメイル)


 先程までの臨界形態の光槌を両腕に備え、それを支える大きく上に張り出した肩。地を強く踏みしめる両足は各部に加速器の様な噴出孔を備え、その巨体を宙に浮かべている。


 頭部、左右斜め後ろに張り出した衝角を持つ兜の下から弟子の声が響く。 


 挿絵(By みてみん)

『聖剣巨神、カリバリオン! 降・臨!!』


 派手にポーズを決めた弟子に、思わず叫ぶ。


 挿絵(By みてみん)

「くっそおおお!! 発想で負けた!!」


 正直すごく悔しい。クソが!

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