表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虫系異族のギラファさん  作者: 神在月
第二章 円卓
52/260

第四十八話 女神の力

果てなく強固な障壁も

決して通らぬ隔たりも

道理を超えて穿ち抜く

(要約:相性有利)


 パーシヴァルが光槍数十本を用いて構築した大規模移動用破城杭。最大で数十キロを移動できる程の推進力を持つそれで大広間へと突貫した蜜希は、破城杭から飛び降りながら状況を再確認する。


 挿絵(By みてみん)

 大体状況は通信で見てたのと同じっすね……。


 アグラヴェイン卿には感謝しないといけない。彼が大広間に乗り込む直前から、映像通信で内部の情報が送られてきていた。


 モルガンとモードレッドの決意に、マーリンの思惑。


 正直に言えば、共感してしまう部分も多くある。だとしても、それで誰かを犠牲にしていいと思えるほど達観できる人生歩んでいない。


 挿絵(By みてみん)

「平和ボケした日本人の思考回路、少しは見習うっすよこの大馬鹿共!!」


 ホルスターから抜き放った『希望(エスペランツァ)』を結界に向けて構える。


 見据える視線の先、パーシヴァルが遺骸に飛び乗るのに使った長距離移動用である破城杭をもってしても、結界の表面にはヒビすら入っては居ない。


 故に、初手から全力。ここに来るまで死霊をしばき倒して溜まった余剰出力全てを使う。


 挿絵(By みてみん)

「余剰出力解放、射撃形態『収束貫通』、セット!」


 挿絵(By みてみん)

「無駄だよ! 個人で制御できる礼装程度で、概念防御であるこの結界は破れない!」


 マーリンの言葉に、しかし自分は叫びで答える。


 挿絵(By みてみん)

「やる前から決めつけてんじゃないっすよ! ――発射!!」


 直後、光の衝撃波を伴って光弾が放たれる。反動に自分の体が僅かに後退し、銃身を支えていた腕は高く真上に弾かれた。


 けれど視線は外さない。加護によって鈍化した体感時間でさえ一瞬という速度で結界に到達した弾丸は、激しい光の飛沫と共に激突する。


 挿絵(By みてみん)

「いっけええええええ!!」


 結界に阻まれながらも、弾丸は籠められた力を発揮する。その後端から光の奔流を解き放ち、その身を更に加速させていく。


 だが結界は破れない。その事実に自分が僅かに顔を顰め、光弾が力を使い果たして光に解け消えゆく瞬間、


 ビシリッ、と、確かに結界に亀裂が入った。


 挿絵(By みてみん)

「うそでしょ!?」

 

 光弾が消え去り、結界のヒビも即座に修復されていく、けれど、ヒビが入ったと言う事実は確かに残る。


 挿絵(By みてみん)

「あーーくっそ! 惜しい!!」


 挿絵(By みてみん)

「どういう事、この結界に傷をつけるなんて、それこそ――、いや、そうか、その武器、神骸機装か!!」


 得心が行ったと言う様に、マーリンが叫ぶ。


 挿絵(By みてみん)

「僕達神格をこの世界に顕現させた原初の女神。その力の一端を宿した神骸機装なら、概念的に一段上の事象として干渉してくる! たとえどれだけ強固な結界であろうとも、その威力を減少はできても無にすることはできない!!」

 

 マーリンの解説に、アグラヴェインが頷く。


 挿絵(By みてみん)

「なるほど、純粋な強度であろうと概念的な防護であろうと、それが神格に由来する物であるなら、神骸機装はその力を零にされることは無い。どれだけ縮小されようと、その力は確かに届くと言う事か。」


 難しい原理は良く分からないが、つまるところ無敵を無視して最低でもカスダメは与えられると言う事か。


 だとしたら、ここで言うべき台詞はアレだろう。


 挿絵(By みてみん)

「アグラヴェイン卿! ここは私が引き受けるんで、騎士隊の援護に回ってくださいっす!!」


 挿絵(By みてみん)

「大丈夫か? マーリンは結界の向こうとは言え――」


 それはそうなのだが、先程上から見て来た限り、前衛の騎士達の負担がかなり多そうに見えた。


 遠目でも分かる程に士気は高かったが、根性論にも限界はある。どうも此処に居る限りはアグラヴェイン卿は武具を封じられているようだし、あちらの援護に回って貰った方が無駄がない。


 挿絵(By みてみん)

「安心してください、アグラヴェイン卿の分もあの三人をぶん殴っておくっすから!!」


 これに関しては本気だ。通信で聞いていただけだが、正直怒りゲージがモリモリ上がってる。


 そんな思いを込めた言葉に対し、アグラヴェインは頷き、軽く笑みを浮かべた顔を見せる。


 挿絵(By みてみん)

「任せた。――ああ、ついでに陛下も頼む。」


 挿絵(By みてみん)

「え? ぶん殴っていいんすか?」


 挿絵(By みてみん)

「許可する、思う存分やってくれ。」


 なんか結界の向こうでアーサー王がすごい目つきを向けているが、まあ日頃の行いじゃないっすかね?


 挿絵(By みてみん)

「では、頼んだぞ!」


 そう言って、自分が開けた大穴から外へと飛び出したアグラヴェイン卿を見送り、視線を結界の方へと戻す。


 見つめる先、結界の中からこちらを見据えるマーリンが、モルガンに語り掛ける。


 挿絵(By みてみん)

「ごめんね、モルガン。裏切って置いて虫がいい話だけど、彼女を止めてくれ。あの神骸機装なら、もしかしたら僕の結界を破壊できるかもしれない。」


 その言葉に、モルガンは大きく息を吐く。それはまるで、夫の頼みを断れない妻の様にも感じられて。


 挿絵(By みてみん)

「仕方ありませんね。けれどマーリン、私は貴方が裏切ったとは思っていませんよ。」


 挿絵(By みてみん)

「貴方は私とモードレッドを護ろうとした。――ありがとう、マーリン。」


 挿絵(By みてみん)

「別に、ただ好きな相手の悲しむ顔が見たくなかっただけどよ、僕は。」


 そう答えるマーリンに対し、モルガンは何も返さない。ただ、真っ直ぐにこちらを見据えて来た。


 挿絵(By みてみん)

「来なさい、英雄の子孫よ。我が名はモルガン、この国を守護する神格なり!」


 思わず汗が噴き出るほどの威圧感。けれど、あいにくそれに屈する程自分は柔ではない。


 挿絵(By みてみん)

「英雄の子孫じゃない、私は功刀・蜜希っす。――神様だろうが仏様だろうが、誰かを犠牲にしてでも事を為そうって言うのなら、ぶん殴ってでも止めるのが私の結論っす!」


 手には女神の希望を、この身に竜皇の加護を、ならば相手が神格だろうと臆する理由は1つも無い。


 自分がずっと共に居ると誓った相手は、世界すらも救って見せた英雄なのだ。


 挿絵(By みてみん)

「ギラファさんの隣に立つためには、たかが神格程度で止まってられないんすよ!!」


 さあ、一丁優しい大馬鹿共を殴りに行こうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ