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プロローグ2

その後復旧が進み、国家が力を取り戻していくと、冒険者は新たな職の1つとなった。


 さらに国連では、ダンジョンやそれ由来の物を管理する組織、世界(World)(Par)(anor)(mal)管理(Management)(Organi)(zation)が設立。


 各国の冒険者組織と連携していくことになる。


 日本では、冒険者管理支援組合組織──通称冒険者ギルドと呼ばれるものがそれにあたる。


 そして、今日へと至るわけだ。




 これが、大まかな人類とダンジョンの歴史である。

 当時冒険者という職は、世間では民間軍事企業や警備会社の延長線、またはそれに資源採掘の業務が加わったようなもの、という認識だったし実際そのようなものだった。

 国家所属の実力部隊との連携や、研究者の警護などもやっていたのもそういう認識につながったのだろう。

 しかし昨今の冒険者は違う。

 ダンジョンのモンスターを間引き、ダンジョンから資源や便利な道具を持ち帰り、有事の際は人々を守る。それだけが冒険者ではない。

 自分の冒険者活動をSNSにあげたり、冒険者同士で強さを競う大会が催されたり、メディアへの露出も頻繁にある。


 ヘタな芸能人より知名度がある者も少なくない程だ。

 ここ数年は、小中学生の将来なりたい職業ランキング1位になるほどその人気は高い。

 テレビや動画投稿サイトで見る、冒険者同士の戦いやダンジョンでの活躍に胸を踊らせ、憧れる子供は多い。


 そして、俺もその一人だ。


 小学校の頃は友達と、あの冒険者のスキルがかっこいい。あんな武器を使ってみたい。あのモンスターよりこっちのモンスターの方が強い。なんて話で盛り上がった。

 大会でそれぞれの力を競い合わせる冒険者やモンスターを見て、熱狂したりもした。


 だけど俺が焦がれたのはやっぱり、高ランクのダンジョンに潜り、強力なモンスターを倒し、希少なアイテムを手に入れる、そんな王道を行く冒険者だ。

 そして、一度自覚してしまうといてもたってもいられなくなった。

 早く、少しでも早く、とにかく早く冒険者になりたかった。なれるものなら今すぐにでも。

 けれど当時中学生だった俺が冒険者になるには、現役冒険者からの推薦が必要だった。もちろん俺にそんな伝手は無い。だから中学卒業後すぐに冒険者ライセンスを取得することをめざした。


 まず、勉強をがんばった。親に冒険者になるための資金を出してもらう条件が、偏差値が60以上の高校に受かることだったからだ。

 そして無事、俺は目標の高校に受かり、冒険者になることができたのだ。

 できれば中学卒業と同時になりたかったが、諸々の理由でこんな入学式間近になってしまった。



 まず大前提として、冒険者は資格制である。まあ当たり前だ。危険な武器やスキルなどの所持使用を許されるのが冒険者なのだから。

 そしてその資格を手に入れるためには、いくつかの講習と試験を受けないといけない。しかしこの講習、半分ぐらいの過程が中学生は受けられない。

 そのため、卒業式を終えてからもやることがたくさんあった。

 けれど先日ようやく全ての講習を受け終え、試験を通過。冒険者ライセンスを得ることができた。

 そう俺は、ついに冒険者と名乗ることができるようになったのだ。


 しかしそれだけでは、肩書だけで冒険者としての活動は何もできない。何の力も無い一般人と変わらず、ダンジョンへの侵入許可も降りないからだ。


 そう、本当の意味で冒険者になるには、資格以外にも必要なものがある。

 むしろそっちの方が重要なくらいだ。

 それは、モンスターを倒し、ダンジョンを踏破するための力。

 その力にはいくつかの種類がある。大きく分けて、スキル、武器、モンスターの3つ。

 どの力を使うかによって戦闘スタイルが変わり、それぞれに呼び名がある。

 ただ手に入れるには、どれもそれなりに金がいる。


 まずスキル。これは、ダンジョンで手に入るスキルオーブを使うことで身につけることができる、超能力のことだ。これを使う者は、スキルホルダーと呼ばれる。

 多種多様なスキルがあり、その中でも強力なもの、見栄えするものほど人気が高い。

 しかしどんなに安いスキルオーブでも、100万はする。学生が手を出すには、なかなかハードルが高い。


 武器は、魔装と呼ばれるダンジョンから手に入る特殊な武器。

魔装と呼ばれるそれらは、持ち主に恩恵をあたえたり、敵を撃滅するための様々な効果を持っている。

魔装を使って戦う冒険者はウェポンユーザーと呼ぶ。

 ちなみに魔装の最低価格は約500万である。

初心者が持てるものではない。


 モンスターとは、サモナーズブックと呼ばれる魔道具を使い、使役するモンスターのこと。

 使役されたモンスターはテイムモンスターと呼ばれ、テイムモンスターは普段はサモナーズブックに収納されている。そして戦う時はテイムモンスターを召還(サモン)して戦わせるため、サモナーと呼ばれる。ちなみに、サモナーは自分自身は戦わないことが多い。しかしバトルサモナーと呼ばれる、スキルや魔装を使い自身もモンスターと共に戦う者達もいる。


 サモナーズブックはだいたい50万、テイムモンスターは最低価格約1万である。




 つまり、サモナーが一番コストが安く、敷居も低い。


 何せ戦うのはモンスターであって自分ではない。サイキックやウェポンユーザーに比べはるかに安全だ。実際、冒険者の中で一番多いのもサモナーだ。


 俺も両親に、サモナーを勧められた。コストのこともあるだろうが、純粋に俺を心配してのことだろう。


 しかし俺がなりたい冒険者は、自ら戦う冒険者だ。派手なスキルや魔装を使い、モンスターをなぎ倒していくかっこいい冒険者だ。サモナーを否定するつもりは無い。ただ俺の理想とは少し違うというだけ。


 両親の説得には苦労したが、無理はせず安全を重視することなどを条件に、なんとか納得してもらえた。




 コストも、冒険者ギルドが行っている初心者支援の一環で、ある程度割引してもらえる制度がある。無茶なお願いをしておいてこういうのも変だが、あまり両親に負担をかけるのも気がひけるので、これはありがたい。







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