W 第一話 第一部 7
案内された事務室はさっきまでいた会議室と同じくらいの大きさだった
室内には金髪ショートウェーブの子と黒髪ショートの子がいた
「貝殻瑠奈さんはどちらかしら」
「あっ、貝殻はこの子です」
金髪ウェーブの子が黒髪ショートの子を指さした
うわぁ、すごいネイル
今時の会社って仕事中のネイルはOKなのかしら
まぁ私たちはネイルとは無縁の職業ですけど
「あなたが、貝殻さん」
「は、はい、そうですけど」
「わたしたちは、こういうものです」
またすぐに手帳を見せる
「海原さんの件について聞きたいんですけど」
「あっ、はい、社長の」
ちょっと気が弱い子のようね
「あなたが最後に海原さんを目撃したのは何時ごろだった」
「えっと、1時少し過ぎたぐらいでしたでした」
気が弱そうなのに、時間については結構はっきり言うわね
「時計とかで時間を確認したのかしら」
「あっ、いえ」
「じゃあ、どうして、1時、少し過ぎたぐらいってわかるのかしら」
「えぇと、」
貝殻さんが答えに窮していると
同僚の金髪ウェーブの子が代わりに答えだした
「うちの受け付けの子たちは午前か午後に受付をして、受付をしないときは、ここで事務作業をするんですよ」
「ふぅん、それで」
「午前は9時から1時、午後は1時から5時、変わってすぐに社長に会ったから1時ごろって思ったんでしょ」
「あっ、うん、そう、です」
なるほど
以外と仲間思いなのかしらね
「海原さんと最後に会ったとき、なにか言ってなかった」
「ラ、ランチに行ってくるとしか」
まぁ、そうよね
「あなたは社長とランチに行かなかったの」
「い、いきませんよ、コンビニで済ませました」
「冗談よ」
「ちなみに最後に海原さんに会ったとき何か変わったようはなかった」
「と、とくには、少し急いでいたようでしたけど」
「この後、誰かと会う予定だったんじゃないですか」
まぁ、普通に考えればそうよね
「あなたは海原さんに会ってないの」
一応、金髪ウェーブにも聞いてみる
「会ってたらとっくに警察に言ってますよ」
「そうよねぇ、話を聞かせてくれて、ありがとう」
事務室をでて優に聞いてみる
「どう思う」
「ん~、ダーリンはネイルはあんまり好きじゃないと思う」
「誰がんなこと聞いた!」
「うぎゃ」
優の頭をパンっとたたく
テレビのように治ってくれるといいけれども
「他に何があるの~」
治ってなかった
「はぁ、だからあの貝殻って子が1時過ぎに海原さんに会ったって話、もしそれが本当だとして、こんな都会のど真ん中どうやって監視カメラに映らずに海原さんを連れ去れたのかっていうこと」
「あ~それ」
「あ~って」
すると、さっきの受け付けの子がやってきた
「魚和が今なら面会できるということですが」
「そう、なら会わせてもらおうかしら」