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W  作者: maow
4/175

W 第一部 第一話 4

先ほどとは打って変わって、静まり返った会議室で

中央の椅子に座った金髪の美少年、春樹が今回の議題について話し始めた

「今回の議題は昨日起こったオーシャンネットワーク社長、海原悟さんの失踪についてだ」

「あ~そういえばダーリンが朝、ご飯を食べてる時にそんなこといってた」

さっそくうちのバカがのんきな声で班長の出鼻をくじく

さっきの全力ダッシュで疲れたのか、机に体全部を預けて、ばんざいをしている

「優、会議中だしっかりしないか」

この女性陣の中で一番のしっかりものの秋が注意をするけど

「それはわかってるんだけどさ~、もう疲れちゃって~」

効果なし

「あんた、まだ、きたばっかでしょうが、そんな調子で夜中まで体力もつの」

「え~、定時で帰りたいー」

「あんたねぇ」

「公務員が定時で帰って何がわるい!」

いや、そんなこぶしを握り締めて抗議されても

「わたしたちはー、ふつうの公務員じゃないんだよー、はいどうぞー」

冬華が入れた紅茶をみんなに渡してくれている

「そうだけどさぁ~理不尽!」

そしてまた机の上でばんざい


まったくもって、このバカ、ではなく、相棒にも困ったものである

私たちは、国家防衛特別警察

平たく言ってしまえば公安警察の内のひとつ

通称000課(三つの0が信号機みたいだから、まわりはシグナルと呼ぶ)

国家に重大な危機を引き起こしそうな事件を未然に防ぐのが仕事である

まぁ公安の仕事は大体そうなんだけど

そのなかでも特に危険性の高い事件を担当する

つまりは何でも屋

その精鋭が私たち

見た通りの問題児

クビにはできないけど傍には置いておきたくないからという理由でできたのがこのシグナル


「うぅん」

春樹が咳払いをして俺を忘れるんじゃないアピール

「さて続けるぞ」

自分の話を中断させた優に対する注意はなし

秋がさっきしていたし(全く効いてないけど)

ここは女ばかりの女社会、変な波風は立てたくないのだろう

「とりあえず今回の事件の概要を話す、詳しい情報は後で渡す資料で確認してくれ」

「今回、行方知れずとなっている海原さんだが、警察に通報してからすでに18時間経過しているがいまだに行方は分かっていない」

春樹は黒板に一枚の写真をはりつける

がたいがいい割には色白で、短髪、好青年という印象である


「なんで失踪事件をぼくらが捜査しなきゃいけないの」

まだばんざい中の優が聞く

「確かに、我々が担当すような事件ではないと思うが」

「別に、これ自体特に危険性は感じられないけど」

「お門違いだよー」

みんな、シグナルがこの事件に対応することに違和感がある

「実は今、国内の大手IT企業スカイプログラム、グランドネット、そしてオーシャンネットワークであるコンピュータウィルスを開発している疑いがある」

「それで」

コンピュータウィルスの開発なんて今時、珍しい話じゃないと思うけど

「そのコンピュータウィルスは世界初のAI型らしい」

「えーあいがた?」

なんとなくわかるが、いまいちどう危険なのかピンとこない

「つまりー、そのAIウィルスに一度攻撃命令が出されるとー、あとは自動追尾ミサイルみたいにずっと攻撃してくるってことですかー」

「そういうことだ」

「それは、あらかじめ複数のパソコンに同じプログラムをいれておいて、攻撃対象になったパソコンを壊してしまえばよいのではないか」

「だめだ、このウィルスは、攻撃対象と同じプログラムが入ったパソコンすべてに攻撃する」

「な・・・」

「しかも、このウィルスは感染した後どんな動きをするかはAIが勝手に決めるらしい」

「それって、国の防衛システムが止まるどころか、自分たちのミサイルが飛んでくるかもしれないってこと」

「そうだ」

場の雰囲気ががらりと変わる


「最後に目撃されたのは昨日の1時頃、昼食をとるため、会社を出るところを受け付けをしていた貝殻瑠奈さんが目撃している」

「その後、いっこうに戻らない社長を心配した秘書の魚和周平さんが警察に通報、すぐに会社近辺と捜索するも、いまのところ手がかりすらないそうだ」

「監視カメラは確認したのですか」

秋が初歩的な質問を春樹にする

「会社近くのカメラを設置している店やビルに手当たり次第に確認したそうだが、いまのところ映っている映像はない」

「はー、今時カメラに一回も映らないなんて」

「誘拐ですかねー」

「もしくは殺人」

一瞬の沈黙

春樹が手をパンとならし指示をだす

「ここで考えても埒が明かない、彩夏と優は失踪した社長の会社で聞き込み、俺と秋はスカイプログラムとグランドネットにウィルスの開発についての探りも含めて話を聞きに行く、冬華はいつもどおりここで待機、解散」


「はーい」

冬華だけが間延びした返事をしてあげてた


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