W 第一部 第一話 10
スカイプログラムに到着した
秋はずっと押し黙っている
俺のあの失言からずっとだ
昔からの仲間が自分の女友達のことを好いているのだ
しかも人妻を
ショックを受けるなという方が難しい
もちろん、優に対して変なことはしていないが
それでもすこし、いやかなりの嫌悪感があるだろう
すまねぇ
「なにしてる、いくぞ」
それでも、いまは捜査が優先だ
「はい」
いつものはきはきした声とは違い、消え入りそうな小さな声の返事
この事件が終わったら休暇が必要かもな
スカイプログラムは、五階建てでビルのような縦長ではなく、横長で、壁の色は赤みがかった茶色なので、遠目から見たら、レンガをただポンと置いたような感じにみえそうな外観である
入口の前に警備員が配置されており、社員は社員証を見せなければ入れないようである
IT企業なのに、なんてアナログな
とりあえず、中に入るため、警備員に話しかける
「すいません、警察です」
ついでに手帳も見せる
「警察、警察が何の用で」
訝しげに手帳の顔と俺の顔を見比べてから、質問してきた
「昨日、行方不明となった海原さんについて、社長に話をお伺いしたく、やってまいりました」
「アポはとってあるのでしょうか」
「とってません」
「強制ではないんですよね」
「任意です」
ぱっとみ、田舎の大将のような、坊主頭ではあるが、
警備員としては有能なのかもしれない
「わかりました、少々おまちください」
「・・・」
いまだに、秋はショックから立ち直れていないようだな
しばらくして
中へ通された
どうやら門前払いはされなかったらしい
「ここからは私がご案内させていただきます」
青のチェック柄の制服(恐らく受付の制服だろう)を着たおかっぱ頭の女性に
五階の社長室へ案内された
社長室とかかれた、恐らく本物の金でできたプレートがかかっているドアを開けると
「たすけてくれぇぇぇぇぇ」
「え!」
急に小太りのおっさんに抱きつかれた
「ど、どうしたんですか、天木さん」
スカイプログラム社長、天木光之助
いまおれに抱きつき、涙と鼻水をこすりつけてる、(やめろ)
小柄で小太りの趣味の悪い金のスーツを着たおっさん
「ごろされるぅぅぅぅ」
「!」
「ころされる?」
「すみません、天木社長、詳しく聞かせてください」
やっと立ち直ってくれたらしい




