七十五話 宴〜アンネリーネ独壇場!
久々の更新。
ご都合主義は続きます。短いですがご容赦を。
脳筋王レオンは混乱していた。
何故このようなことになったのか。
事の始まりは、勇者一団を歓迎する宴の席のことである。
いつもは正妃マルタが侍るであろう王の側には、その時側妃であるメルニーチェがいた。
もちろん、自分の煩悩を優先させたために正妃を排して寵妃メルニーチェを置いたわけではない。
マルタには勇者一団の歓待をまかせたのだ。
すでに脳筋の国はやらかした。招いたその日に虫入りの食事を出すという、あまりの稚拙で幼稚で意味のわからない暴挙を、である。
悪意が丸見えな上に、物証(虫入り食事)ごとドンっと叩きつけた感じだ。誰だって喧嘩売られたと思うだろう。
脳筋王がそれを知ったのは、一団の責任者である王女アンネリーネが背後関係やら何やらをすべからく実行犯から聞き出し、責任の所在(物証他含む)を明らかにした後だった。
正妃マルタから先触れと共に大まかな流れを聞いて、他国でそんなことが出来る王女、ナニソレ怖い!と脳筋王は戦慄した。
その後、そんなナニソレ怖い!な王女様とご対面したわけだが、脳筋王は気づかなかった。
笑顔マシマシな上にさらにマシマッシになったナニソレ王女アンネリーネが爪を研ぎ研ぎ、脳筋王とその寵姫メルニーチェ他を、まな板の上の鯉の如く捌く気満々だったことに。
だから、今回の暴挙を許す対価としての極々一部にしれっと宴の席での(本気の)無礼講をアンネリーネが望んだというのにあっさり許可した。というか、無礼講!願ったり叶ったり!と喜んだ。
流石は脳筋の王、KINGオブ脳筋、種ばら撒き放ったらかしアホ王、去勢待ったなし!である。
そんな脳筋王がのほほんと宴を楽しんでいたときにことは起こった。
ことを起こしたのは寵妃メルニーチェである。
脳筋王は確かに脳筋だが、一応は王である。ついでに笑顔マシマシでマシマッシな王女にもコッテリと絞られた、王なのに。
なので、勇者一団への対応は懇切丁寧に!模擬戦希望は我慢しろ!後で俺が相手してやるから!となるほど脳筋らしく家臣、使用人、妃達にも分かりやすく指示したのである。
そう!ちゃんと指示したのに、メルニーチェはガン無視して脳筋王レオンにおねだりを始めた。
『王太子と勇者の模擬戦が見たい』と。
脳筋王は軽く、何を言っているのだ、と笑い飛ばした。まだことを軽く見ていたのである。
しかし、日頃から寵妃を甘やかしてきたツケがここで回ってきた。当たり前である。
宥めにかかる脳筋王のことなど知らぬとばかりに自分の要求を吐き出すメルニーチェ。
その要求が跳ね除けられることなど考えてもいないようだ。
その時、脳筋王は恐る恐るアンネリーネを見た。見てしまった。
ソレは狙った獲物が罠にかかった時の捕食者の顔であった。
そこから脳筋王の予想し得ない展開となったのだ。
そう、寵妃メルニーチェ(黒豹獣人)VS王女アンネリーネ(普人)の戦いの火蓋が切って落とされた!
脳筋王にしなだれかかり、それなりに大きな声でおねだりをしていたメルニーチェに、軽いジョブとばかりに嘲笑が浴びせられる。
そう、もう色々と吹っ切れてしまった我らがアンネリーネである。
「ふふふ、なんで躾のなってない女でしょう。」
嘲笑も暴言もこの場で咎められることはない。
宴の席は、アンネリーネによって本気の無礼講、国も身分も関係なしのバトルロワイヤルの場として整えられている。
「模擬戦模擬戦とうるさい蝿のよう。しかも、自分は影に隠れてその模擬戦とやらをするつもりもないのでしょう?ホント笑わせますわね」
アンネリーネは鼻で笑った。
明らかに嘲笑され侮辱されたメルニーチェは、普通にキレた。キレやすい老人のようにすぐさまキレた。
先程まで、これぞ大人の色気の見本です!とばかりに脳筋王にしなだれかかっていたのが嘘のように、アンネリーネに食ってかかる。
まぁ、ぎゃあぎゃあと他国の王女を指差しながら色々と叫んでいたが、要約すると『たかが普人の国の王女ごときがこの国の正妃となる私になに様のつもりなの!ひれ伏して詫びなさい!』ということである。
そんな本音丸出しのメルニーチェの言葉にアンネリーネは目をスッとすがめた。
「正妃?」
ぞわぞわぞわ。
ここにきて、やっと獣人らしくメルニーチェの本能が危険を知らせてきた。遅すぎである。
「ねぇえ?いまの発言が正妃であるマルタ様への宣戦布告である事、理解してらっしゃる?」
理解してなくても結果は変わらない。
獣人の国アクア・アルタの正妃はマルタただひとり。その他が国の上層部の許可なく正妃を名乗れば、それは立派な反逆である。
今まで脳筋王の無能や運の高さでなぁなぁにされてきた諸々が、呆気なくぼろぼろと出てくる出てくる。
「ふふっ!マルタ様如何なさいます?」
脳筋王を丸無視して、アンネリーネは正妃マルタにことを預けた。脳筋王レオンは能無しとしてアンネリーネから戦力外通告を受けたのだ。
他国からの客に上記のような言動をするなら、メルニーチェをさっさと会場から追い出すなり何なりすれば良かったのである。流石能無し無能の脳筋王、もはや処置なし!
さて、事を預けられた正妃マルタは壮絶な笑みでそれに応えた。
「メルニーチェ殿、それでは死合おうてみましょうか」
質問ではない。決定事項として、メルニーチェとマルタの正妃の座をかけた死合い(試合)開始のゴングが鳴り響いた。
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そんな宴を覗いている私だよ(๑• ̀д•́ )✧+°ドヤッ
まぁ死合いはすぐには開始されないが、ゴングは鳴ってたよねー(笑)




