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六十四話 下衆神と勇者(笑)は同レベルだ!〜即位式ってある種の見せ物だよね!

腐女子発言あり!殴る!謝罪の強要あり!

大丈夫な方のみどうぞ!

今回短いです!




その日、アバロン帝国では新皇帝ルクレウス=ルキウス=マーリアンヌ=ヴィ=アヴァロンの即位式が行われた。


この即位式には各国要人が貴賓として招かれ、その儀式により皇帝は大陸全土に公式的に認められることとなる。

そんな大事な即位式であるが、今回の儀式は今までのものとはまるで違っていた。


何故なら、アバロン帝国主神セフィラケトルのみが行うことができるとされてきた皇帝への祝福を、異世界からの《勇者》基山正義がセフィラケトルと共に行ったからだ。

そう、共に、である。

セフィラケトルだけでもなければ、正義だけでもない。2人で祝福を授けたのである。

皇帝ルクレウスのステータスには称号《勇者基山正義とセフィラケトルの祝福》が綺羅星のように輝いていることだろう(笑)。


前代未聞の儀式であったが、誰からも文句は出ず、盛大な拍手と謎の雄叫び(感謝と歓喜の雄叫び(笑))で式は幕を閉じることとなる。

文句が出なかったのは舞台に正義がいても自国の主神が許しているのに文句が言えるわけがなく、また救国の英雄《勇者》に何か言おうとする者は沈黙を強制されていたからである。とある存在に。


この儀式を見た各国要人は、その意味を確と理解しただろう。

してない奴は国で誰か頭のいい人に聞け!そこまで面倒はみらん!


この儀式でアバロン帝国は、セフィラケトルを主神ではなく《勇者》と同格の敬うべき存在としたのだ。

セフィラケトルと正義は同格だと知らしめたとも言える。

《勇者》と同格であるならば、その守護神である偉大なる存在シュフ様の庇護を受ける側ということで、つまり圧倒的格下扱いである。

主神ではなく、シュフ様の下にいる1人扱い(笑)。しかも正義と同格(笑)


アバロン帝国の一番敬うべき存在は偉大なる存在シュフ様であると宣言したようなもので、今後セセフィラケトルの扱いは、明らかにシュフ様以下になる。

そんで《勇者》と同格程度にセフィラケトルがいる。


正義=セフィラケトル=雑魚(笑)。


もちろんその2人よりも《大賢者》稲森真希《聖女》川谷桃香が格上である。


お偉方のみで行われる即位式が終われば、民衆へ正式な即位、神の祝福をアピールするためのパレードが始まる。

そして今回はセフィラケトルの格がめちゃくちゃ下がったこともアピールされる。

だからこそ、いつもならすでに居なくなっているはずのセフィラケトルももちろん参加なのである。

民衆にも正義程度と同格だと知らしめなければならないのだ。

ご本人がいなければ、説明が面倒ではないか(笑)

晒し者にしてやりたいともいう。


セフィラケトルもにこやかにその扱いを受け入れ、パレード用の馬車の上から民衆に手なんか振っちゃっている。

まぁ表面上はね。にこやかですよ。


正義はなにもしなくてもいつも通りに演説を始める。

指示なんてされてないのに。誰も求めてないのに。


隣にいるセフィラケトルが正義の大声に驚き、耳を塞いだ。

神の耳が耐えられないとは、正義の声はある種の武器かもしれない。対神専用の嫌がらせに使おう。


「神の祝福を受けしアバロン帝国よ!

今回その神が僕らの偉大なる存在シュフ様の慈悲を得た経緯を聞いて欲しい!

先のモンスタースタンピートでは何もできなかった無力な神セフィラケトルだが、彼もまた哀れな力無き存在なのだ!

偉大なる存在シュフ様は大罪を犯したセフィラケトルと勇者である僕は同等の存在だとおっしゃった。

だから僕は言おう!セフィラケトル!君は力がないからと、この国を見捨てた!

それは許されないことだ!君を崇拝していた人々の気持ちをなんだと思っているんだ!」


ここで正義の、正義の鉄拳がセフィラケトルの頬にぶち当たった。言いにくい。正義の名前変えたい。

例え正義であっても、そこそこのレベルでステータスMAXにあげてるし、一度馬術を放棄してたから努力しない馬鹿はいらんと勇者剥奪宣言したところ努力もし始めたので、今のセフィラケトルなど簡単に吹っ飛ぶ。空の彼方へ(笑)

しかし、そこはそれ某存在がパレードの邪魔すんな、と飛ばないようにしていた。

セフィラケトルは馬車に固定済み、飛ぶことのできない体はすべての衝撃をうけることになる。

今のセフィラケトルは神族の固有能力を使えない。ステータスも全部数値化されている上にユニークスキルもほとんど使えない。

つまり殴られたらかなり痛いのである(笑)

しかも、衝撃が固定されていることで逃せないから、めちゃめちゃ痛い(笑)。

神セフィラケトルの初めての激しい痛み(笑)。


そんな今までにない痛みを頬に受け、涙目のセフィラケトルなど気にしないのが正義である。

正義はセフィラケトルの肩を抱き、またも演説を始める。


「今のはこの国のみんなの心の痛みだ!

君に裏切られ傷ついたみんなの心の痛みのほんの一部に過ぎない!

さぁ、今なら言えるね?君は彼らの心の痛みの一部を知ったはずだ!

なら、それがどれほどの苦しみかわかるはずだ!」


正義は暗にここまで他人を傷つけたんだから謝れ、と言っている。

そして自分の暴力行為を他人の心情の代弁だと正当化しようとしている。

正義に正論で諭される。なにこれ、すごくムカつく。


セフィラケトルは痛む頬を押さえながら、正義を涙目で見ている。肩を抱かれている関係上、すごく近い。


腐女子な私だが、この2人では萌えない。圧倒的に尊みが足りていない。キモさだけが積み重なったような2人、あり得ない!


セフィラケトルが何故正義を見ているのか、それはなにを言えばいいか分からないからである。

謝る、という発想がないのだ。流石下衆神!


正義は痺れを切らしてセフィラケトルの頭を掴み下げさせる。ついでに自分も頭を下げる。


「みんなを守らず失望させて申し訳ありませんでした!」


神と救国の英雄からの謝罪にどう反応すればいいか分からない民衆。当然である。

どんな反応をしても、罰がありそうで怖すぎる!

そのため辺り一帯は沈黙。仕方ないことである。みんな下手なことして罰を受けたくはないのだ。


そこに救いの手が差し出された。

《大賢者》真希さんのツッコミ?と《聖女》桃香さんのボケ?である。


民衆には見えない的確な位置で真希さんは思いっきり正義の背中を捻る。


「あんた、このあとどうする気よ!みんなドン引きしてるんだけど!」


地を這うような低い声で、正義を詰る。いや、ツッコみを入れたのだろう。

摘まれた背中は未だに捻られていてかなり痛そうだ。


桃香さんはセフィラケトルの顔を覗く。そんなゲスに近づくと汚れますよ!いや、聖女だもの汚物相手でも大丈夫だろう。


「謝れて良かったですね!きっと許してくれますよ!」


心の清らかな桃香さんが言うのだから、きっと嫌味なんかじゃない!

でも下衆神には嫌味に聞こえただろう。奴は汚れきってるからね!


もう収集がつかない。何故わざわざ謝らせた正義!

放置でも良かったのだ!

お前が散々、力がないだの、無力だの言ったから奴の自尊心はボロボロだ!罰ゲーム的にもそこで終わりでも構わんのだ!

パレード自体がすでにプライドを抉ってきてるんだ!

足りなくとも今後ガンガンに奴の心は折られに折られていくイベント満載なのだから!


ここである存在がもう面倒なので、後光的な神聖感満載な光で民衆を、アバロン帝国を包んだ。

正義とセフィラケトルは範囲外、入れる価値すらない。


そこでチャチャっと、セフィラケトルはモンスタースタンピートで国を助けなかった件の責任を取って降格され、力も削がれたので、《勇者》正義並みの扱いで全然OKですよー、と。

力削がれて心配でしょーが、そこは《勇者》正義と皇帝ルクレウスがフォローするから大丈夫!という具合に皆様にご納得いただいた。


誘導したとか、洗脳したとかいう苦情は受け付けません。このまま民衆困惑、沈黙のパレードよりはマシやろ。


偉大なる存在シュフ様の光に包まれたアバロン帝国では皇族、貴族、民衆、全てがその存在に圧倒され、その心遣いに感激し、シュフ様への宗教心は狂信者レベルまでレベルアップしていた。

罪を犯したものにさえチャンスを与える慈悲深さ、民の気持ちさえ心配する優しさ、他宗教の国の今後を憂い、そのフォローをする寛大さは全ての人々の心を鷲掴みにしたのだ!チョロすぎる!


すでにアバロン帝国はシュフ様を宗教する国となったと言っていい。今まで隠れとしてシュフ様を宗教していた多くの者達も、これで堂々と宗教できると安堵した。その数アバロン帝国の人口の8割を占めた。

元々あまりなかったセフィラケトルへ宗教心など消え去った。もはやゴミ屑!

一部のセフィラケトルの狂信者や皇族至上主義者の話はなんかネタになるかもしれないし、ここでは放置する。あの一家についてはまた別である。


国の宗教が変わろうとそんなん知らんがな、今更気にしませんが?と開き直り後のことは約束通り皇帝ルクレウスに丸投げである。

御膳立て終わったよ!対価よろ!ってなもんである。


光が治り、パレードが再開される。

未だに正義の演説というか、独り言?は続く。隣には肩を組んだセフィラケトルがいる。そんな事など忘れているのだろう。回した腕が外れることはない。


「偉大なる存在シュフ様の光を浴びるなんて羨ましい!

シュフ様はなんて慈悲深いんだ!何も言わずに皆を癒しの光で包むなんて!

僕もシュフ様の光で満たされたい!!!」


馬鹿正義がまた馬鹿なことを言っている。

どこを見て慈悲深いと思ったのか。

そして光といえば癒しでしょ、という安直さ。

癒しの光ではない、正義のせいで収集がつかなくなった後始末だ!

そしてちょいちょい願望が出ている。こちらには浴びせる気も満たす気も全くない。

光で焼く事はあるかもしれないが、その時は消す時だけだ。

だって正義に痛みはご褒美なんだ(遠い目)。


某存在の投げやりなフォローにより、恙無くパレードは進んでいき、すべての民衆の認識は正された。


シュフ様〉超えられない壁〉〉大賢者、聖女〉超えられない壁〉正義=セフィラケトル


アバロン帝国の常識となり、今後の宗教界でも常識となる神セフィラケトルが偉大なる存在シュフ様へ絶対服従を示した瞬間である。


今まで神は誰しも対等であり、優劣はないものとされて来た中で起こった、この出来事はすべての者に神という存在を考えさせる契機となった。


今まで国が宗教するから、周りがそうだからと神の本質を見てこなかった人々が変わったのである。

ここから国に主神がいれば、その本質を見極め自分の住む国を変える者も多くなっていく。


例えば、時は違うが聖エルリアナ神国が最も顕著な例といえる。

モンスタースタンピートが大陸中で起き、それが静まった頃に起こった、神国民の大移動がそれに当たる。

エルフの援軍を含む多くの神国民が神エルリアナを見限り、宗教国家ジパンヌ王国へと移住したのである。

宗教国家ジパンヌ王国は、いち早く偉大なる存在シュフ様を称え宗教国家となった国だ。

その宗教対象はもちろん偉大なる存在シュフ。


大移動して来た神国民がジパンヌ王国入りした理由もまた彼の存在を崇拝していたからだとされている。

事実、大移動に参加し聖地キョートエドに移り住んだエルフやハイエルフは偉大なる存在シュフ様を称え、あまりに有名なシュフ様を称える会通称シュフ会に足繁く通うこととなる。

またシュフ会を見たことで、主宰する側に回ったエルフとハイエルフも多い。


このようにアバロン帝国の主神セフィラケトルの偉大なる存在シュフ様への服従に端を発した、神々への選別はここから激化の一途を辿っていく。

今まで選ぶことのできなかった宗教が、個人で選ぶことが許されるようになった。いや、選ぶという選択肢に気づいた民衆が、その思いに突き動かされた結果と言える。

またそれは民衆に留まらず、各国の貴族や王族も今まであまりの大きさに従う他ないと諦めて来た神との関係を見直す機会となった。


すべての国で宗教の何たるかを考えさせられる大きな一因となった偉大なる存在シュフ。

いつ現れたのかも謎な彼の存在は、大陸中を巻き込みすべての人々にその存在への崇拝を焼き付けていくこととなる。



( ゜Д゜)ハァ?ナンデヤネン!



















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