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五十七話 陰謀渦巻くアバロン帝国〜来るのは誰だ!馬鹿貴族か、側近か、皇帝か、自称神か。

女性の結婚についての話、義務として子供を、な話があります。大丈夫な方のみどうぞ!




真希達、勇者一団の修行の旅はとても順調であった。アンネリーネと正義がスキル馬術を覚えたことも大きい。


アンネリーネは、お友達の足を引っ張る自分などわたくしが許せませんわ!と宗教国家ジパンヌ王国で、マックスを師に馬術の猛特訓をした。そして無事スキルを獲得、マックスも太鼓判を押す馬術力を手に入れたのだ。

二人乗りも軽々やってのけるアンネリーネ。流石幼い頃から天才と言われてきただけの事はある。

そして正義だが、なぜか鬼気迫る勢いで馬術の練習をしていた。ジパンヌ王国にいる間、食事と睡眠を除けばずっとやっていたのだ。

正義はアンネリーネほどの才能はない。いや、全く才能はない。

しかし、正義は旅立ちの前の週にスキル馬術を習得した!その時泣き崩れる正義を見ていたのは、教えていたカイウスだけ。

なぜ正義がここまで死ぬ気の練習したのかは、きっと多分誰にも分からない。

理由など関係ないのだ!ただ一人馬で旅をするには十分な技術を獲得したことが重要なのだ!


こうして、すべてのメンバーが一人一頭の馬とともに旅をすることが可能となった今回の修行の旅では前と違って移動速度が断然早い。

しかも召喚者達の戦う練習として態々時間をとっていた前回と違い、今回は襲ってきた魔物を倒すだけなのでより早い。

アバロン帝国までゆっくりのんびり旅して2ヶ月を想定していたが、それなりに大きな街に寄り道しながらも一月半で目的地へと着いた。

半月分の差、やはり馬も二人と一人では疲れも違うのだ。色々な面が向上した結果である。


貴賓として城に入るのが半月後。国境越えの際に身分証を提示しているので、勇者一団のことは既に城には連絡が入っているだろう。

帝都に入る際にも身分証は提示しているので尚更である。


しかし、わざわざ今から早乗りで伏魔殿に行く気などさらさらないアンネリーネは高級宿をとり、真希達と帝都グランドベリー観光をする気満々である。

半月も前に着けたので、宿もそれなりには空いており帝都の混雑も許容範囲だ。


今回は高級宿、全員が一人部屋が取れた。

しかし夜には女子会が開かれる予定である。

場所は一番のお姉さんエーリカの部屋である。お酒を嗜むエーリカ姉さんは、他の部屋で自分が酔って起きれなくなることを心配したのだ。

酔わないようにするのではなく、酔っても大丈夫なようにする、エーリカ姉さんは剛気な酒好きなのである。

前回からずっと一緒にいるうちに騎士クロエを含む五人はすっかりお友達。

例えクロエが密偵であってもお友達なのだ!

真希達のスキル鑑定(極)で確認したところ、クロエはガルド王国国王カントからの仕事なんかよりも真希達を優先していることがわかった。

ついでに宗教対象兼ボスとして偉大なる存在シュフ様を崇め奉っていた。

なぜわかったか、職業欄が変わっていたのだ。


ガルド王国にいた頃↓

==================================

職業: 騎士(第二騎士団の新米5年目)

[密偵(ガルド王国暗部の一)]

=================================


今現在↓

===================================

職業: 騎士(偉大なる存在シュフ様の騎士)

[密偵(偉大なる存在シュフ様の隠密の一)]

==================================


驚きの変化である。ガルド王国のガの字もない。偉大なる存在シュフ様しかいない。

そのため真希達もそこそこ警戒を緩め、お友達の範囲内にクロエを入れたのである。

ここで完全に警戒を解けないのが、ガルド王国のせいで人間不信に追い込まれた召喚者達の悲しい現実だ。


勇者一団が帝都に着いたのが昼過ぎ、宿も確保できたので観光兼昼食にしようと街へと繰り出していく。

護衛としてマックス、カイウスもともに行く。正義は勝手に着いて来る。

なんと言っても、未だに帝国は警戒が必要な国である。

前帝の残党が残っているなら特に注意がいる。窮鼠猫を噛むというではないか、追い詰められた残党が勇者一団に牙を向かない保証はない。


人混みに紛れながら、美味しそうな匂いに誘われては屋台を冷やかし、みんなで少しずつ食べようと別々のものを少し多めに購入していく。

女の子は何故かいろんな種類をちょっとずつ、が好きだ。それ一口頂戴、もよく言う。不思議だ。


立ち食いなんて発想のなかった淑女アンネリーネもすでに串で食べ歩くものには慣れっこである。

なにせジパンヌ王国には勇者が伝え残した、焼き鳥やら串焼きやらのお店がよく並んでいたのだ。

アンネリーネも最初はフォークとナイフで器用に串から外して食べていたが、真希達がそのまま齧り付くのを見て思い切ってマネしたのだ。

お友達ですもの、同じことをしてみたいですわ!という友情だ。

串から外す手間がないためまだ熱く、外す時に溢れてしまっていた肉汁が口の中で溢れて、それはそれは美味しかった。

それ以来、通を気取る素人のようにアンネリーネは串物を好んだ。


真希は元の世界の祭りでよく食べたアメリカンドックに似たものを選んだ。

屋台の亭主に聞くと、中身はソーセージらしい。これで外側が甘味のある生地なら、まさにアメリカンドックだったのだが、蕎麦粉のような香ばしい生地で甘味はあまりなく外はカリカリ中はもっちりしていた。この様子だと膨らし粉は入っていない。

これはこれで美味しいかも蕎麦粉のガレットみたい、真希的にはありらしい。

桃香は甘いものが食べたかった。だから、甘い匂いがするまで待機していた。

真希が食べているアメリカンドック蕎麦粉バージョンを一口もらい、嬉しそうにもぐもぐしている。


エーリカはとにかくお腹が空いていた。すでに昼を回って随分経つ、空腹感ここに極まれり!

主食である米かパン、パスタを狙って目をギラつかせている。

それに気づいた真希がアメリカンドック(蕎麦粉)を与えて落ち着かせた。

ギラギラした目も、口いっぱいに広がる蕎麦粉の香りと肉肉しいソーセージの旨味で緩く弧を描く。

冷静さを取り戻したエーリカは、先程の肉汁を再度たっぷりと味わうためにフランクフルトを選んだ。

少しコゲができパリパリに焼けた皮、肉の油が滲んでテカテカして、見事に美味しそうである。

例え真希のおかげで少しは脱しても、空腹は空腹。

周りの目など全く気にせずフランクフルトに齧り付く。一気に3分の2がエーリカの口へ消えた。

パリパリの皮を噛み切るときの食感、溢れ出る肉汁、ブラックペッパーの辛味とハーブの香り。

暫し、あまりの美味しさに酔いしれるエーリカ。空腹は最高のスパイスというがエーリカの場合、それが効きすぎている。たかが、屋台のフランクフルトである。


通気取りアンネリーネは迷わず焼き鳥を選んだ。ジパンヌ王国以外での初めての焼き鳥。違いを味わってみたかったのである。

色んな種類がある中、シンプルに鶏肉のみが使われた焼き鳥をチョイス!味付けはタレを選んだ。

塩でも種類はあるが、食べ比べがしたい今はタレがベスト!

ジパンヌ王国では醤油ベースに甘みを加えた甘辛ダレであったが、帝国ではいかに!

最初に鼻を抜けた香りはガーリック、ついで生姜が香る。甘みはほんのりとある程度で、ガツンとしたにんにく醤油味である。生姜も効かせることで爽やかさをプラス、肉の臭みもない。

鶏モモ肉のプリプリ感と皮のパリパリ感が両方味わえるジューシーな一品。ジパンヌ王国と甲乙つけがたい!

批評家気取りのアンネリーネ、どちらもお気に入りらしい。


クロエは汁物を選んだ。

腹持ちが良く、尚且つ体が温まる具沢山クラムチャウダーだ。

見るからに野菜たっぷり、彩り鮮やか、人参、玉ねぎ、パプリカ、キャベツ、ジャガイモ、レンコン。そしてソーゼージとベーコン、アサリに小海老まで入っている!

少々値段はお高めだが、この具材の量なら納得である。

クロエは密かに用意していた大きめの木製のお碗にたっぷり注いでもらう。

パセリと胡椒を振りかけて出来上がる、具沢山クラムチャウダー。

まずは汁からすする派クロエは、魚介類の旨味とベーコンの風味、ミルクのコクの大洪水の只中にいた。

うーまーいーぞー!!!!

叫び出したいくらいに美味しい!まだ五月である肌寒い季節には温まる汁物はいい!


そして桃香、とうとう甘い匂いを嗅ぎつけた!

いそいそとその屋台に向かうと、そこにあったのは揚げたスティック状の芋に砂糖がまぶされたものだ。

これ味は大学芋に近いのでは。そのことに気がついた桃香は買った。素朴な甘味に餓えた日本人、川谷桃香は即決で買ったのだ!

大学芋のように表面が水飴にコーティングされていない分、サクサクカリカリしており、砂糖があげられた芋の熱で程よく溶けている。

口の中で砂糖とホクホクさつま芋が合わされば、その味すなわち大学芋。懐かしの味である。


まるで飯テロなろう小説の書き損じ、いや出来損ないだ。食レポ下手は美味しいものはただ美味しいと言えば良いのである。


それぞれが皆の買った物を一口ずつ食べていく。一番人気は大学芋もどき、甘味を唯一買ったのが桃香だった。

甘味は別腹、これは異世界でも言えることらしい。再度、大学芋もどきを買いに行く者もいる。


そんな女性陣を遠くから見ているものがいた。

ただの通行人ではない。ぱっと見では庶民に見えなくもない地味目の服を着ているが、それらが高級品なのは明らかだし何よりあからさまに浮いている整った容姿、品のある仕草、高位の貴族で間違いない。

遠くからと言っても、クロエと真希の気配察知の範囲内。しかし今は街中、相手が害意をもってない限り気配察知では気づきようが無い。

その分、警戒中のマックスはすぐに気づいた。

まず周りを見渡してみればわかる。高位貴族らしい人間に自ら近づく庶民はいない。厄介ごとに巻き込まれたくないからだ。

そのため、その男の周りには不自然なほど誰もいないかった。

マックスもそちらを警戒してはいるが近づかないし、目線もあげない。こちらから、あちらに声をかける機会を与える気もない。

買い食いという形での食事も終わり、女性陣を宿屋へ送った後マックスはそのまま護衛に残り、カイウスと正義はジパンヌ王国からアバロン帝国までの旅で倒した魔物を冒険者ギルドに売りに行く。


真希達とアンネリーネ達は旅費などの負担を自分たちで稼ぐためにジパンヌ王国で異世界テンプレ、冒険者登録を果たしたのだ。

真希達は旅費などで貸しを作ったなどと思われるのが気に食わないからそうした。

たかが旅費、誘拐犯が出すのは当然である。その旅も誘拐犯であるガルド王国の目的なのだから。


しかし大陸会議でのカントの言葉にブチ切れた真希達は、旅費を出すという行為すらさせないように動いた。カントの自業自得である。


なにより自分で稼いだお金なら、あの国を思い出さずに自由にできるのが大きい。もう思い出したくないレベルまでその国はやらかしている。


現在、真希達のランクはC。ジパンヌ王国で戦力的にはその実力は認められており、あとは貢献度を稼いでランクを上げるだけだった真希達はコツコツとランクを上げていったのだ。


アンネリーネ達もランクC。こちらは下手にランクを上げると冒険者ランク上位の者の義務が発生するため、ここで打ち止めである。


ついでに義務とは、緊急依頼などのことである。例えば先のモンスタースタンピート、王都以外の都市では緊急依頼が発動され多くの冒険者が魔物の群れに挑んだ。

緊急事態の時、必ずその依頼を受けなければならない。緊急事態とは、都市の危機など人的被害が拡大しそうなものをいう。

ただし、これに戦争は含まれない。



正義達がギルドに魔物の素材を売りに行ってることなど知ったことではない真希達は、それぞれが部屋でゆっくりと休んだ。

何しろ、今日帝都についたばかりである。前回できなかった観光にテンションがおかしなことになって忘れていたが、かなり疲れているはずなのだ。そしてお腹もいい感じにいっぱい。そんな時訪れるのは、爆睡である。


マックスは大人なので、腹八分目ならぬ腹半分で食事はやめ、眠くならないようにカフェインも摂取済み。

マックスは先程の貴族の男の件もあり警戒を強めていた。


正義達は大丈夫だろう、武力で来るなら無双可能な正義がいるし、地位的にはガルド王国騎士団総大将の息子侯爵令息カイウスもいる。

なにかあったらあったで、この二人ならなんとでもなる。


自分の使命に忠実な男、ガルド王国第二騎士団副団長マックス=ミュリオーズ(47)は現在、明らかに高位貴族に狙われていた女性陣を優先して護衛することを決めていたのである。







そしてそれは当たっていることを私は知っている。

やっぱり来たか、はえーよ!俺も屋台食べ比べを部屋でしたい!


さっきのあからさまな高位貴族の美形男子は帝国の侯爵家嫡男である。

今回仕掛けてくるかなぁ、という貴族で三番目に高位なお貴族様だ。

二番目が彼のパパ、侯爵本人。一番上が、とある公爵家である。


そんな帝国のやらかしそうな馬鹿の中で三番目に高位な彼だが、召喚者達の方が大陸中に認められた高位の地位を持つことをあまりわかっていない。

仕方ないことではある。今までなかっただろうし、成り上がり貴族を馬鹿にする歴史のある貴族はいっぱいいる。

つまり、彼は馬鹿で適応能力が低く視野の狭い歴史のある侯爵家のまだ爵位も継いでいないただの息子君なのである。


そんな息子君が女性陣を見ていたのは、ハニトラのためです。

うん、今更、またも、ハニトラ。

どこぞの乙女ゲームの世界に生まれ変わったヒロイン小説のようなシンデレラストーリーをやりたいらしい。


乙女ゲームみたいと言わないのは、やったことがないからだ。失礼だろ?やってないのにそんなこと言ったら!

生まれ変わり小説は悪役令嬢サイドでざまぁ!をよく読んでいた派な俺氏。


そんな俺氏的には、シンデレラストーリーって(嘲笑)である。


そして、その王子様ポジにいきたい息子君はあの時ターゲットを探していた。

前回帝都でやったパレードは魔道具で撮影されている。つまり召喚者達とアンネリーネの姿はバレバレだったのである、貴族達には。


庶民にまでは行き渡らないくらいには高額な魔道具なので、食べ歩きや観光に支障はない。よかったな!


そんで今回そのターゲットにされたのが、桃香さんである。

前回の会話などをもとに、真希さんよりも桃香さんが狙いやすいと考えたようでーす(棒読み)。

しかし、奴らは知らない。桃香さんはとある黒歴史を乗り越えた猛者であることを!

決して引っかからないと断言しよう!桃香さんの名誉のためにも!


息子君は特にユニークスキル魅了持ちとかではない。

絹糸のようなと言われるさらさらの金髪と深い青色の瞳が印象的な美形である。

その美貌でありながら、さらに自分をよく見せる術を熟知したモテ男だ。女性の扱いも丁寧、かつ紳士的で噂なのだそうだ。


これら全部キュート情報である。噂になるほどにモテる息子君は桃香さんと恋に落ちる役を熱演し、聖女を妻に迎え、囲い込もうと画策中。

しかし!こいつ、婚約者はそのままいるのだ!解消話すらしてない。


お相手は公爵家の三女(17)。こちらの結婚適齢期から考えると婚約が解消になれば、かなり大変なのは彼女!解消ではなく破棄された場合致命傷になるのも彼女である!

伊達に転生悪役令嬢小説を読んではいないのだ!


そしてこの婚約者さんは婚約破棄されるようなことはしていない。普通の貴族令嬢である。

しかも格上の公爵家の娘だ。婚約解消の打診をするならそれ相応の対応をされるか、対価を要求される。

うん、普通ならほぼ侯爵家から穏便な婚約解消は不可能な状況です。相手に何も非がないからね! 


ただ私が調べたところ、公爵家の両親は悪い噂が増え続けている侯爵家に娘をやりたくないらしく、今モテ男の息子君を盛大に叩く材料探しをしています!

その材料で娘に全く非はなく相手の息子君が全て悪いと証明後、爵位は落ちるし年齢もそこそこ上だが変な噂もなく、やり手である伯爵家当主に嫁がせる予定のようです。

私も見てみたが、伯爵は現在35歳、早くに妻を亡くしたが、嫡男として10歳の息子がいるため再婚は焦っておらず公爵家からの密かな打診にも、運良く公爵家の娘さんが嫁に来てくれれば上々、程度に考えている。


こちらの方のほうが幸せにはなれそうです。娘さんも特にモテ男君に恋愛感情があるわけでもないしね。あとは後継問題さえ起きなきゃねぇ。

10歳の子供の今後がかかっているのだが、すでに侯爵家の息子君はやらかし始めているので公爵家の娘さんは、ここの伯爵家に後妻として嫁ぐことになるだろう。ホント仲良くやって欲しい。


そんな中、何故に息子君は召喚者とのシンデレラストーリーなどと血迷ってたことを画策しているのかと言うと、息子君の家が前帝時代の残党だからである。

つまり皇帝ルクレウスの粛清対象です!


それでも当主が罰を受け、格を下げて伯爵くらいの地位で息子君が爵位を継ぐことは可能。でもそれはプライドが許さないらしい。


そんなプライドなどドブに捨てろ!馬鹿が!!

(#`Д´)ノゴルァァァァァ!!



残党侯爵家当主の方は、もう跡がないので隷属関係の装飾品を買い漁っている。どうやらより強いものを探している模様。


親子揃って、召喚者を囲い込むことで価値を上げ、新皇帝からの評価をあげたいようだ。上がるのか???

当主の方は、隷属させて皇帝に献上も視野に入れている。

評価が上がらなかったらクーデターでも起こすのか?馬鹿か?救国の英雄にそんなことしたら粛清される前に断首刑じゃね?


賓客で恩人にそんなことしてただで済む国なら潰れちまえ!!

(#`皿´)<怒怒怒怒怒怒!!!


しかし、現在真希さん達は賓客として城にいるわけではなく、一応一般人として帝都にいる。

アンネリーネと違い、真希さん達が提示した身分証は冒険者のものだ。

これは騒がれたくない真希さん達の判断なのだが、息子君のハニトラ作戦は相手が冒険者の身分証を提示しているのならば不敬には当たらない。

桃香さんを知らないフリして近づき、恋愛に息子君の地位も冒険者という地位も関係ないのだ、と言わんばかりにアピールしてくるだろう。

もしそれで落ちなくとも、その後の即位式やら晩餐会やらで運命の再会(笑)を演出してくるに決まってる。

まぁスキル魅了とか媚薬を入れなきゃ、恋愛アピールくらいなら許される。

そんなもんだ、婚約者さえいなければな!

もちろん強硬手段に出た場合の攻撃は全然大丈夫!殺ってよし!後からでも身分を証明できるしね。


つまり侯爵家嫡男の恋愛アピールが桃香さんに降りかかるのだ。

まぁド神官と比べてしまうと普通だ。なんか比べる相手が悪いかもしれないが。



昔、どうやら乙女ゲームの世界と勘違いした女性の召喚者がいたらしい。あるあるだよね。

勇者召喚できた日本人の一人、その子の職業が聖女。

たまに乙女ゲーにヒロインが異世界からきた聖女ってのもあるらしいし、いきなり拉致られて混乱してたのかもね。

自分がヒロインの乙女ゲームの世界に転移したと勘違いしてしまった。

そんで聖女なヒロイン希望は、当時のどこかの国の王子様と婚姻しました。

それまでの経緯がまさに乙女ゲーム!

王子と親しくなり、その婚約者である公爵令嬢からのいじめ(婚約者に近寄るハエには当然の行為や主張)をうけ、それを乗り越え相思相愛に、その後断罪、からの婚姻である。

でもこれ実は、全てが国によるやらせであった。

それに見事にはまった当時の聖女なヒロイン希望は、婚姻後側室にされ、後宮に閉じ込められることになる。

正妃はもちろん断罪した婚約者の公爵令嬢である。


側室として聖女の力を受け継ぐ子を産むことを義務とされたヒロイン希望は地獄を見たことだろう。

王子様との相思相愛は夢幻、日本人的にはあり得ない側室制度、自分が断罪した女が王妃であり正妻、義務としての子作り、出ることが叶わない後宮。

考えただけでいやだわ!反吐が出るわ!鬱になるわ!!Σ(⚙♜⚙ )


婚姻式の誓いに【絶対遵守の契約魔法】並みとはいかないが、それなりの強制力を持つ魔術が混ぜられていたらしい。故に逃げることもできず、かと言って馴染むこともできないず、子をなすことなく若くして亡くなった。


、、、拉致した挙句、結婚詐欺して隷属させて後宮に監禁、精神崩壊の上、衰弱死ってこの世界は屑かΣ(⚙♜⚙ )

確かに婚約者をとるような常識知らずの馬鹿女ではあったが、そんなことされるほど何かしたか?それに幻想を現実と錯覚させた国の責任は大きいぞ!せめて普通に結婚しろや!


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そういう経緯で、女性の召喚者に有効な手段だと考えられているらしい。シンデレラストーリー的恋愛が。

いや待て、過去の召喚者ヒロイン希望さんは絶対に成功例ではないよ?とはなるが、夢を見させ続ければいいじゃない!って考えらしい。馬鹿でクズだ。


まぁ現在真希さん達はシンデレラストーリーに乗らずとも、地位を持ってるし功績もすごいある。帝国だって救われてるじゃないか!

はっきり言って帝国の残党侯爵家なんかよりも、大陸全土での地位が確立しているのが今の召喚者達である!

そこんとこも実績はなかったヒロイン希望さんとは全く違うわけだが、息子君には自信しかないようだ。

そして落とした桃香さんの地位を使って公爵家三女との婚約破棄を狙っているというわけです。

そこはプライドが許すんだな!都合のいいプライドをお持ちで(嘲笑)!


まぁ、先に息子君が救国の英雄である勇者御一行のひとり、大陸全土に認められた《聖女》に、婚約者がいるにも関わらず付き纏っている、という事実で、公爵家からの婚約破棄と皇家からの粛清が待っているだろう。


(。-ノ-)/Ωチー-ン!!(。-ノ-)ノ彡☆ポクポク!!南無‼︎


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