四十二話 宗教国家ジパンヌ王国爆誕〜何故来た正義。青春かよアンネリーネ!
「真希達がこの都を救えたのは偉大なる存在シュフ様のお力があったからなんだ!
シュフ様は誰も知らない所で人々を助けている!
そう!今回のこの都を覆った結界のようにね!
それでも彼女の絶大な力は多くの人々を救うんだ!キョートエド!君たちがその証人だ!
彼女は決して何かを要求しない!何も言わない!
だから勇者であるこの僕が言おう!!
彼女に!偉大なる存在シュフ様に感謝を!
そして広めて欲しい!
彼女の偉大さを!その力の凄さを!そして何よりも彼女の優しさを!
偉大なる存在シュフ様ありがとう!!!!」
なんでいんだよ!
( ꒪Д꒪)( ꒪Д꒪)( ꒪Д꒪)( ꒪Д꒪)
そして何で真希さん達を落とした!
なんだ!真希達が救えたのは助力があったからってなんだコラ!やんのかコラ!
(#`Д´)ノゴルァァァァァ!!
正義!お前はなんにも!なんにもしていない!
逆に何をしてるんだ!そして何故いる!地名だけを投げかけてコンサート気取りか⁉︎
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賢者無双、聖女無双の後、すぐに王と宰相、騎士団総長、第三騎士団団長が天守閣に大慌てでやってきてそこからの景色に絶句。
そのまま真希さん達を連れ王と宰相は執務室へ、他の騎士団関係者は現場の確認、素材の確保に乗り出した。もちろん警戒も忘れない。
どうやら真希さん達の魔術で都キョートエド全体、というか聖女桃香さんの場合はユニークスキル聖魔術で都と魔物達がいる所までを覆うようにして全部がサンクチュアリの中に入ってしまっていたらしい。
これには訳がある!ちゃんとした訳があるのだ!
真希さんの光魔術はただのスキルな上に、どちらかと言うと攻撃的な天罰的なイメージの広範囲殲滅型魔術である。アンデット系魔物にその効果は絶大!
だが、まぁ攻撃だから都の外、魔物達がひしめく全体を範囲に発動した訳だ。
うん、私間違ってない!
ただそれには私の力も混じっていたので、都全体にもその威圧?雰囲気?が伝わったわけだ。
うん、都らへんにいたすべてのものに伝わっちゃったわけだ。、、、うん。
そんで桃香さんの場合は使ったのがユニークスキル聖魔術サンクチュアリ。その魔術はユニークスキルなだけあって圧倒的。
聖域を作って不浄なるものには永遠の眠りを、ただの人なら普通は特に何もない。
うん、普通なら。
、、、俺のせいかよ‼︎щ(((´༎ຶД༎ຶ`щ)))
今回桃香さんにも、もちろん私の力を貸していたわけで。
都キョートエドの中、周り一帯を含んでサンクチュアリは発動された。
だってほぼほぼ人には、ただの清らかな結界なんだぞ!
なんかデバフ的な効果は消せる体にいいだけのものなんだ!普通はな!
だがしかし!今回は普通じゃないのだ。残念なことに。
サンクチュアリ内にいたすべての人に神聖かつ絶大で圧倒的絶対者の気配が伝わっていたのである。
まさに悲劇としかいいようがありません。ええ!
、、、まぁそんな事があった後に何が起きたかといえば、王と宰相による国を挙げての総改宗宣言である!!!
え?俺のせい?俺のせいかよ!
Ʊ”-ʓ(;´༎ຶД༎ຶ`)Ʊ”-ʓ
『肯定否定。確かに、自称神すら小物に感じる主人の絶大な強者の存在を感じてしまえば宗教せざるを得ない、しない方がおかしい、と考えるのが自然です。
しかし、その決断をしたのは本人達であり、その決断には主人は責任を負えません。』
うん?難しい!わからん!
『簡単にいうと、決断した本人にしかその責任は問えない。または自己責任です。』
わお!めっちゃ簡単になった!
ほお、ほおほお!うむうむ!自己責任!素敵な言葉だ!❁.*⋆✧°(●´ᆺ`)
それを心の拠り所にしていこう!
合言葉は、その人達の自己責任だ!
自己責任な王と宰相の改宗宣言だった。
だがしかし!
殲滅翌日の朝に民衆の前で王による説明とモンスタースタンピート収束宣言が行われた。
そしてそこで王によるジパンヌ王国総改宗宣言が行われ、都キョートエド全都民の賛成をもってその宣言は実行に移された。
うん、その中には大貴族とかも普通にいてね、重鎮勢が勢揃いしててさ。全都民に彼らも入ってます、ええ。
偉大なる存在シュフを崇める国、宗教国家ジパンヌ王国の誕生である!
、、、なんでやねん!Σ( ꒪□꒪)‼
まぁ、基本シュフは何も言わずにただ時々人族を救う存在なので、ジパンヌも何かを強制したりしないし勿論何も言われないので強制されたりはしない。
なんかシュフ的に迷惑な事とか嫌なこととかをしたらその限りではないが。
シュフは静かに、こっそりした存在なので、その存在感がたまに凄まじくとも、隠れる事こそ至上な存在なのです!
だから誰かにシュフの偉業の話はしても改宗を勧めることは絶対しない、匂わすことすらもしてははいけない。
というか偉業の話も盛ったり執拗に話すことは禁止される。
ただほわっと話す程度が望ましいのだ。
いや!話さなくていい!私的には話す必要性を感じていない!
まぁ国の宗教が偉大なる存在シュフに向くだけで他は特に変わらないみたいだ。
本当に安心した!まぢで全国民の記憶の捏造も視野に入れた!
そしたらキュートに、今更では?的発言をされ、よーく考えると今更だった!
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
そんなこんなで何故か正義が来た、ジパンヌの都キョートエドに。
もちろん正義だけではない。なぜなら奴は一人では馬に乗れないからだ!ホント努力して!
アンネリーネを含めた全員が殲滅の3日後には都についたのである。どうやらアンネリーネの強い希望でそこそこの強行軍で来たらしい。
まず行われたのがアンネリーネによる土下座である。実に見応えのある見事な土下座であった。
これを教えたのは日本人正義である。ホントに何してくれてんの?
アンネリーネは土下座で真希さんと桃香さんにあの夜、真希さん達にガルド王国の紐をつけたいというような自身の発言について謝罪したのだ。
そして思いっきり本音をぶちまけた。
「確かにガルド王国のための紐でしたわ。
でも、わたくしの初めてのお友達を失いたくなかったという気持ちもあったのですわ!わたくしの自分勝手な我儘ですの、わかっていましたわ。
本当に本当にごめんなさい。
図々しいのは分かっていますわ。でもどうかチャンスをいただきたいんですの!
もちろん一から出直しますわ!失った信頼はそう簡単には取り戻せませんもの!
、、、すごいマイナスからのスタートかもしれませんわね。、、、それでも!もう一度だけわたくしを試してくださいませ!」
この台詞に嘘も裏もない、ちゃんと調べた!本音も本音である。ちゃんと調べちゃった汚れた俺を許してくれ!
わたくしお友達をなくしたくないのですわ!マイナスでもやりますわ!
という心が溢れに溢れかえっている。
そして真希さんと桃香さんからの拒絶への恐怖も溢れかえっていて、てんやわんやである。
真希さんと桃香さんは呆気に取られ、土下座するアンネリーネを眺めていた。
ちらっとキモ気に正義を見たのは気付いたからだろう。
土下座をきちんとその姿勢、その腕の角度にいたるまで教え込んだ犯人が誰かを。
とんだ土下座フェチである。
しばらくして真希さんが吹き出し、桃香さんも釣られて吹き出した。ふたりは大笑いだ。
アンネリーネは笑い声に一瞬身を竦ませたが、それが嘲笑の声ではないことに気づきそろそろと土下座のまま真希さんと桃香さんの様子を伺った。
それでも頭を上げない!額は絨毯が敷かれているが床についたままだ!
どんな土下座教えたよ!土下座フェチ正義!
「私!ここまできれいな土下座初めて見たかもしれないわ!土下座自体見る機会そうそうないけど!」
真希さんの指摘はもっともである。現代日本人が土下座を見る機会などテレビやネットくらいのものだ。
「アンネリーネちゃんごめんね!あまりに土下座がきれいで!きれいで笑うのも変な話だけど、悪気はないんだよ!」
爆笑を謝罪する桃香さんだが、顔はまだ笑っている。
確かにきれいで笑われるというのも変な話ではあるが土下座ならありではないか??
ふたりは笑いながらアンネリーネを土下座から立たせた。
きっと土下座のままでは笑いが治らないほどにツボっているのだろう。
「うん。許せるとは言えないけど試せって言うんなら試してあげるわ、アンネリーネ!でも流石に次はないわよ!
だからしっかりお友達のことを考えて行動して言葉にも気をつけてね。
親しき仲にも礼儀あり、ってね!日本のことわざよ。教訓にでもしなさい。」
名前を呼び捨てにすることでなんとなく許している気がしないでもない真希さんの言葉。アンネリーネにわかるだろうか?
しっかり釘を刺すのも忘れない!さすがな真希さんである。
真希さんの言葉を教訓に頑張れアンネリーネ!
「そうだね、許すとは言えないかな。すっごく嫌な気持ちになったよ?
アンネリーネちゃんは確かに王女様だから色々あるだろうけど。
お友達を作ったら、もうそれだけじゃダメなんだよ?王女様を全部で優先させるなら、もうお友達なんかじゃなくなっちゃうんだから。
王女様な自分と友達な自分をちゃんと両立させなきゃ!
全部優先してくれなんて言わない。でも少しは、ううん!やっぱり多めに私達のことも考えてね?」
桃香さん素晴らしい!そして可愛い!
ジパンヌ救助をアンネリーネがシュフに頼んだ時、真希さんと桃香さんは嫌な気持ちになったけど王女なアンネリーネを尊重して許容した。
つまりそういう風に貴女も私達の心を尊重して許容して欲しい。全てじゃなくて、少しでもなく、多めに。
アンネリーネにはちゃんと伝わったらしく、嬉し泣きの号泣である。
エーリカが慣れた様子で背中をぽんぽんしている。
「ほんとよかったわぁ!落ち込みが激しすぎて謝罪の前も震えてたのよ、うちの姫!」
エーリカの突然の暴露にも号泣中のアンネリーネは気づいていない。
真希と桃香にちらっと舌を出して笑うエーリカはしっかりと三人の友の顔をしていた。
喧嘩別れのようになった三人を心配していたお姉さんなエーリカなのである、仲直りで肩の荷が降りたようだ。
来て早々に青春の一ページを刻んだアンネリーネはエーリカに泣きはらした顔を治してもらい、急いでお供にマックスを連れジパンヌ王国国王にガルド王国王女として挨拶に向かった。
さっきまで嬉し泣きの号泣をしていたとは思えない、堂々とした姿だった。
そんなアンネリーネとマックスが居なくなった部屋の中にいるのは、真希、桃香、カイウス、そして土下座フェチ正義である。
クロエ氏は密偵なお仕事をこなしている。モンスタースタンピート収束後には、それはそれで色々と情報が動くのである。
そう、その部屋にいたのは全員が偉大なる存在シュフを敬愛、親愛、狂信、服従しているものたちばかりだったのである!!
そこからはある種儀式のようだった。
ジパンヌ国の国王&宰相の国を挙げての改宗宣言から始まり、王の全改宗宣言がすべての都民の賛成をうけ、偉大なる存在シュフ様を奉る宗教国家ジパンヌ王国が建国した話までを怒涛の勢いで話出し、皆興奮状態。
ぶつぶつぶつと、素晴らしい力を貸して貰えたからどうの、都のみんなにその尊い存在がどうの、改宗は歴史に残る英断だの、その場に僕がいなかったのが残念だのと全員で額を突き合わせて盛り上がりに盛り上がっている!
、、、最後の正義の発言はただの自分も目立ちたかった宣言である。実に正義である。(最大の侮辱)
そこから何故か冒頭の正義の演説へといたる、というよく分からない方向へと爆進したのである、勝手に。
きっと目立ちたかったんだろう、正義が。
その頃、国王に挨拶に行っていたアンネリーネとお供のマックスも驚愕していた。
いつ用意したのか分からないが、謁見の間では今回のことを本にしたものが配られていた、とても薄い本だ。
国王ミツクニ=ミト=トクガワはその頭に王冠ではなく、ハチマキを巻き両手には光る短めの棒を持っていた。
ハチマキには【偉大なる存在シュフ様】と文字が縫い込まれている。
それは、そこにいた国の重鎮たちとお揃いのものであった。
宰相曰く、過去の勇者様により伝えられた尊いものを崇め称える時の格好らしい。
そういう宰相の頭や手にはもちろんお揃いのものがあった。
みんな嬉しそうである、実に遺憾なことに。
宗教国家となったジパンヌはこのままではヲタクの聖地になるかもしれない。
そして過去の勇者たちよ!
己の真実ではあるかもしれないが事実と異なることを教えるな!
お前のいう尊い存在とはアイドルだろう!
偶像崇拝の方ではなくて歌って踊れる、時には会いにも行けたりする、あのアイドルだろ!
もしくは二次元が2.5次元になる系歌うアイドルか!!!
崇め称えるのかもしれないが!
それはコンサートだろ!アイドルの歌って踊るコンサートだろうが!!!
ひとりで家でパソコン見ながらやってるのかもしれないが!それもコンサートだからな!
だいたいこの組み合わせは一部のファン限定な仕様であって、皆共通ではない!
自分の嗜好を常識とすり替えるな!
そんなツッコミは、誰にも聞かれることなく。
だからジパンヌ上層部のハチマキたちもそのまま。
ツッコミを聞いていても特に答えることもないのかキュートすら何も言わず。
独り言は大事なんだよ?引きこもりには!
ただ一人ツッコミを続けなければやってらんないからストレス発散のために叫ぶだけ叫んでいたのであった!
やってらんねーよ!ヾ(*`Д´*)ノ
宗教国家ジパンヌ王国。
ただ国民が偉大なる存在シュフを宗教している以外は今までと変わらない国だ。
だが、その聖地キョートエドに行くと怪我が治り、敵意のあるものだけを弾く奇跡の結界が張られている。
聖地に入ろうとする重犯罪者などの敵意を持つ人族、敵意を持つ魔物、また魔術や弓矢などの敵意の現れが弾かれる様が、運がいいと見られる。
ついでに怪我もだいたい治る。傷を負ったその経緯による。
弾かれたものは、それが生き物ならぶつかり倒れ行動不能になり、物や魔術ならば倍の威力で元の犯人に当たり始末する。
そんな結界など聞いたこともないだろう!
これがジパンヌ王国の聖地の名所【敵意への結界】である。
都が聖地とされているのは、そういうものだからだ。触れてはいけない。
宗教国家ジパンヌ王国はその都、いや聖地キョートエドが【敵意への結界】で有名なだけの普通の国である。
たまに上層部が奇妙な格好で偉大なる存在シュフを崇め称えるイベントが行われるのは些細なことである。
そのイベントに他国から多数の宗教団体(宗教対象シュフ様)が参加してきても関係ないのだ。
そのイベントが行われるたびに民衆もその奇妙な格好を真似始めていくのだが、国としては些細なことである。
その姿を見たイベント参加のとある国の大貴族(シュフ様信者)が自国でも真似し始めたのも関係ないのである。
宗教国家ジパンヌ王国。
聖地キョートエドの名所【敵意への結界】と偉大なるシュフ様を称えるイベント通称【シュフ会】(名称、通称などでは呼び捨ても可)が各国の信者に大人気!派生して他国でも開催予定!な事以外特に変わりがないはずな王国である。
偉大なる存在シュフ様は他教徒すら救うと有名である。
だから国民(信者)も特に他の宗教を否定せず、それを認め受け入れる姿勢は徹底している。
他人が何を宗教しようと全く気にしない。むしろ関係ない。
相手が目の前でその神を褒め称え、崇め奉ろうと、そうかそうか、と笑って見ていられる国民(信者)なのである。
しかし、聖地キョートエドでは言葉に気をつける必要がある。
偉大なる存在を一度貶されれば怒号が飛び交う戦場と化し、民は完全鬼軍曹化、宰相と第三騎士団団長は鬼となり、王は般若になって犯人が謝罪をするまで監禁という名の説教が続く、しかしそれでも心から謝罪すれば、それ以上は何も言わず、許す。
色々人外に化けた人々も、言葉には気をつけようね、くらいの気やすさに戻り、王達も城に戻る。
そんな寛容で気安い国なのである。言葉に気をつければ。
宗教国家ジパンヌ王国。
聖地キョートエドの名所【敵意への結界】と信者に大人気のイベント通称【シュフ会】の発祥地として有名な国。その聖地では禁句認定されている言葉があることも有名な国である。
その禁句により起こった【鬼と般若の地獄の説教】はあまりにも有名だ。
偉大なる存在シュフが願うのはただ一つ。
あまり目立たず、コッソリと。
それを聞いた信徒がその慎み深さに感激し、その言葉を宗教国家ジパンヌ王国の標語にしようと王に上申するのだが、それはシュフが望んだことなのだろうか。
宗教国家ジパンヌ王国が全然普通じゃない件!!
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