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異世界召喚〜勇者(偽)を用意して隠れて私が殲滅する!私は引きこもり主婦ですが?なにか?  作者: 抹茶きなこ
第一章《各国を襲うモンスタースタンピート編》
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三十三話 話が通じないのは血か?〜アンネリーネの激怒が止まらない!



まぁしばらく皇宮の離宮の奥の奥で、元凶マルクスとその子供達と孫(成人済み)が言葉の殴り合いか、本当の殴り合い(結界によりダメージなし)をやってるでしょ!しばらく放置です。


残りのオーガエンペラーは普通に魔物なんだよねぇ、ならこの間と同じでいいかな?


『肯定または否定。残りの2体のオーガエンペラーに元人間を思わせるところはありません。

また前回と同じように正義に意識が移ると意識を失う可能性が高いです。

また真希さんや桃香さんにも見せ場を与えなければ立場がありません。』


ぬ?!確かにΣ(⚙♜⚙ )

いや、でもあれ多分その後がダメだったんじゃね??

正義の後にオーガエンペラーの前まで行ったんだよな、、、。

真希さんたちのことは確かにな!

目立つのは危険だが使えない認定もされたくないし、返り討ちにする力はあるぞ!ってとこは見せときたいよねー!




日が沈み、夜が来る。空では星が瞬き月が大地を照らす。

月明かりの下に魔物たちが犇いている。


しばらく様子を見るために小高い山の中腹の野営地にテントを置き、非常事態につき一つのテントで寝起きすることとなった。

空間拡張がなされたテントのため広さに問題はない。

淑女であるアンネリーネだが今が非常時であることと、ここから帝都へ連絡を入れる時メインになるのが王女である自分なため何も言わない。

決してお友達とお泊まり会などと浮かれてはいないのだ!


テントの中で机を囲み椅子に座った七名、主だった話はアンネリーネがするのだが、最大戦力は正義なのだ。

彼に話をさせて大丈夫か、それは正義とカイウスを除く皆の総意。

しかし彼以外が話すとなると彼と同程度には魔物を倒さなければ話にならない。


そして初めてモンスタースタンピートを見た真希と桃香二人は魔物の群れに恐怖し萎縮していた。


「では、今からアバロン帝国へ連絡を入ることになりますわ。

おそらく相手は皇太子と宰相、軍部の上層部の誰か。

もしかすると皇帝陛下もいらっしゃるかも知れませんわね。

不用意な発言はしないこと、なるべくならばわたくしに任せていただきたいのですが。

戦い方に関してはやはり正義さんの話を聞かれると思いますの。」


真剣な表情でアンネリーネが話し出すが話が正義のことになると苦虫を噛み潰したかのような顔になる。

当然である。

馬鹿を帝国貴族と話させたらコロコロコロコロ勝手に掌の上で踊り出すのが目に見えている。

ここで相手に転がされず自分で勝手に踊り狂うのが正義なのである!相手もびっくりする残念な逸材!

ここで正義が周りの空気も読まずに話し出す。


「偉大なる存在シュフ様は今回真希や桃香にもそのお力を貸してくださるそうだよ!

前回は僕とシュフ様で全てやってしまったからね!」


前回の自慢は必要なかった。ちょいちょい自慢を入れてくるウザいやつ、それが正義だ!


「え、どういうこと?私には正義みたいにそのシュフさま?の声とか聞こえない、、、!?」


懐疑的な表情で正義の話に待ったを掛けようとした真希だったが、途中で声を途切れさせてしまった。

そしてそのままぶつぶつと一人で話し込んでいる。

それは隣に座っていた桃香も同じで、側から見ると少しヤバイ人のようだ。

しかし最初から話を聞いていたアンネリーネ、マックス、クロエ、エーリカは二人が偉大なる存在シュフと話しているのでは、と考えた。

エーリカに至っては周りに何か魔術の片鱗でもないかとキョロキョロしている。


しばらくして、真希と桃香は顔を上げうなずいた。

「いけます!ええ、確かに私にもシュフさまのお声が聞こえたわ!」

「うん!あたしにも聞こえたよ!すっごく優しい声!だから頑張る!」


二人の顔は決意に満ちていて、さっきまで怯えていたのが嘘のようだ。

ここで冷静に今後の話を切り出せるのがアンネリーネだ。

仲間外れなんかじゃありませんわよね?とかそんな疑惑など思いもしていないのだ!


「それは、どのように?」


その質問に真希と桃香はそれぞれ答える。


真希の雷魔術にシュフ様が力を与え、オーガエンペラーを感電させ脳を破壊。その後まだ動くようであれば水魔術に同じように力を与えてくださりその属性を氷としオーガエンペラーの血を凍らせる。

真希の役割は統率者であり変異種であるオーガエンペラーを鮮度を保って確保することである。


桃香は水魔術に力を与えてもらい高圧洗浄機の要領で水を高圧力で放出しオーガとその上位種の首を切り取る、その数は無数といっていいため、その対象の選別はシュフ様任せである。

そして正義はすべてシュフ任せである。 


真希が相手の頭脳と言えるオーガエンペラーを討ち、桃香と正義で残りのオーガとその上位種を減らし、帝国側と合流する事となる。


その時!クロエがテントの外へと走り出した。

一応、テントの外ではカイウスが警戒している。

だがクロエの気配察知の方がカイウスと比べるなどおこがましいほどに優秀だ。

つまり、カイウスは立ってただけの木偶の坊だった。


ズッッッッドォォォン!!!!!

物凄い音がしてクロエの声が聞こえる。

「すでにシュフ様の加護はここにおられたようですね。」


皆の頭には疑問符が浮かぶ。

マックスが外の様子を見に行き、すぐに戻ってきて報告する。


「現在、帝国の軍部に所属していると思われる輩10名を捕縛しています。

クロエの先ほどの言葉はここが偉大な存在シュフの加護で守られており、近づいて来ていたその者たちを確固撃破されたことを言っていたようです。

どうやら、勇者一団の拉致を目的としていたもののようです。」


マックスの目がどうしますか?とアンネリーネに尋ねてくる。

アンネリーネは目を閉じてしばし考え、真希に目を向ける。

「真希さん、今シュフ様はここにいらっしゃる?」


真希は強く肯く。真希には見えていた。

クロエが縛っている奴らを、シュフ様が真希にお手本を見せるように雷魔術なんかよりも強力な雷で感電させる所を。

しかし脳は守ってあるようだ。事情聴取のためだろう、実にわかっている。


「そう、お礼を申し上げなければならないわね。

真希さん彼の方にお伝え下さい。

ガルド王国王女アンネリーネ=アレクサンドリス=エリザベト=ガルドから深い感謝を、そしてその感謝は必ず形にしてお返しします、と!」


強く見つめられた真希は背筋を伸ばした。

これは誓いだ、王女であるアンネリーネが自身を守ってくださった尊き方へその身をかけた感謝の誓いをしたのだ。


「真希さん勘違いしてはいけませんわよ?

わたくしはわたくしだけの命ではなく、わたくしと大切な友、部下そして国の恩人の命を助けてくれた方にその重みの分の感謝を形にすると言ったのです。その言葉の重さはわたくし一人の時よりもずっとずっと重い!」


わたくしのお友達の命は安くはありませんのよ!というのが本音なアンネリーネだ。


「マックス、尋問は可能?」


マックスは肯く、まさに尋問しやすいように綺麗に倒されていたのだから笑ってしまう。

シュフ様とは気の利く方のようだ。


「クロエと共にしばらく時間を頂ければ、おおよそのところは吐かせることが可能かと。」


任せました、ただ一言つげアンネリーネはマックスを見送り部屋の中にいる正義以外と話をする。

正義は適当な言い訳をして追い出した、今頃カイウスと宗教の話でもしているだろう。


アンネリーネはまずは、おそらくここから起こるであろうことと、こちらから起こすであろうことを話し出した。

今回の襲撃(未満)が帝国全ての意思である可能性は低いこと、もしこちらを攻撃するならば全てが終わったあとが最も安全かつ効率的な事、そして未然に防げたことでこちらの切れるにカードが増えたこと、マックスとクロエの尋問によりその内容もまた変わることを告げた。


「よく分からないわ。助けに来て襲われるのは気分の良いものではないわね。

シュフ様のお陰で前向きになれた気持ちを潰された気分。」


真希がそう呟くと、まさに!というように桃香も話し出した。


「真希ちゃんのいう通りだよ!折角シュフ様が優しくお声をかけてくれて、よし頑張ろう!ってなってた時だもん。

でも、それがあいつらの狙いかも!あんまりへこんでちゃいけないよね!」


真希は桃香の言葉に驚き、そして嬉しそうに笑った。

こちらにくる前は誰かに助けてもらうことが当たり前だった桃香がすっかり大人になって自分を励ましてくれたからだ。


三人の少女たちが皆それぞれの思いを新たにしていた時に丁度クロエの声がかかる。

返事を聞くとクロエがテントに入ってきた。マックスを見張に残しクロエだけが報告に戻ってきたようだ。


クロエの話の内容はこうだ。

まず相手が持っていた荷物は、帝国軍第三騎士団の標準装備であったこと。

しかし、この時期に魔物の専門家と言える第三騎士団が帝都の守りを固めず外にいるわけがない。ここでこの荷物は偽装だと判断した。

偽装をして、わざわざ勇者を有する援軍を襲う理由。

明らかに面倒な話しになりそうで時間もない。


「なるほど、真希さんたちにお願いに来たのね。正しい判断だと思いますわ。

わたくしからもお願いいたします。

先ほどの下郎たちの鑑定を頼まれてはいただけないかしら?」


アンネリーネが察して真希たちにお願いする。

真希も桃香も全然構わない、というか。

さっさとこの話を終わらせて、帝国との話も終わらせて魔物の殲滅に移りたいのだ、やる気に満ちている間に。


そして鑑定の結果。


================================

職業:騎士(第一騎士団隊長、公爵家子息)

種族:人間

名前:サージヴァル=カルナス=アグニ=オクタヴィアル(赤:害意)

年齢:35

状態:軍務大臣の命で第三騎士団第三部隊と偽って勇者一団を強襲、しかし何者かから攻撃を受け全員捕縛、今も隙があれば殺す気満々

性格:自己中心的、血統主義、上に媚び諂いつつ心では馬鹿にし、下には罵詈雑言あびせ責任を押し付ける。つまりクズすぎるクズ。

LV.30

HP : 2000

MP:1000

生命力:2000

精神力:500

筋力:900

俊敏力 800

知力:700

運:20


スキル

戦闘用:

剣術、槍術、盾術、格闘術、

身体強化、水魔法

一般:

生活魔法、料理、礼儀作法、ダンス、帝王学


称号

《魔法剣士》《公爵家三男》《嫌われ者》

================================


まずオクタヴィアル公爵家子息が第三騎士団にいるはずがない。他のものたちも似たり寄ったりの貴族の息子達だ。

全員が第一騎士団と思っていいだろう。

オクタヴィアル公爵家は先代のとき皇女が降嫁した家、皇女を母に持つ現公爵は一応の継承権を持っている。まぁ一応、ではあるが。

勇者の身柄を取りに来ていることから権力争いの延長、またはガルド王国からの宣戦布告を期待した蛮行であろう。

今の危機を危機とも取れない愚か者の行為だ。

まぁ今回は有用に使わせていただこう。

アンネリーネは極上の笑顔で相手をどんな目に合わせるか計算していた。


テントの中に先ほどの連中の代表だと思われるオクタヴィアル公爵家子息サージヴァルを連れてこさせ(もちろんエーリカにより声も出せなければ動けもしない、魔法も使えない、視線もうざいので目隠しをつけてある)、帝国との魔道具での連絡を始める。


先程までこの連絡は援軍の到着そしてそ後の作戦の為の連絡であったが、今は違う。


援軍に来て、その助けようとしている相手に後ろから刺されようとしたのだ。


この連絡は、取引。しかもこちらが圧倒的に優位な状況での取引だ。

アンネリーネはお友達を襲われそうになって激怒しているのだ!

その喧嘩言い値の10倍で買ってやろうじゃねーか!状態である!


まず相手との受け渡しはマックスが担う。

「こちらガルド王国からの援軍です。コード7180x2の5y×××。」

「了解、確認した。こちらアバロン帝国帝都皇城執務室にて、皇帝閣下、皇太子殿下、宰相殿、軍務大臣殿、第一騎士団団長殿の5名がいらっしゃる。心して話されよ。」


偉い奴がいるからひかえおろうーーー!!!ときやがったようです。

アンネリーネの極上の笑顔のきらきらがマシマシになっている!


「控えよ。

ガルド王国第一王女アンネリーネ=アレクサンドリス=エリザベト=ガルド様のお話、静かに聞くがいい。」


マックス副団長様もお怒りです。押し殺した低い声で王女の話に傾聴を呼びかける。


マシマシなアンネリーネは口角がめっちゃつり上がってる笑顔で仰いました。


「ガルド王国第一王女アンネリーネ=アレクサンドリス=エリザベト=ガルドと申します。

ここでご機嫌ようなどとお声がけしたかったのですが、こちらにも事情がございまして。

今現在帝国第三騎士団を名乗る複数の騎士に襲撃を受けたばかりですの。

援軍に来てその救援相手に背後から刺される、なんて、こんなにこちらの好意を無碍にし侮辱する行為が他にありますかしら?わたくしには思い浮かびませんわ。

まずはその弁明をお聞かせいただきたいですわ。

どなたでも構いません。何かおっしゃりたいことがあれば、どうぞ。」


アンネリーネ潰す気満々である!言い訳したいなら聞いてやる、聞くだけだがな!

罠もポイポイ落としていく、踏んだら即アウト!

魔道具の向こうがガヤガヤ騒いでいる。

演技なのか寝耳に水なのか。

問いに答えたのはなかなか理知的な耳障りのいい声。


「私は皇帝ルキウス=マルクス=クインタ=ヴィ=アヴァロンである。

そちらの状況は理解した。その騎士達が第三のものだと言うのは確認できるか?」


皇帝の名乗りも偉ぶらず、時と場所を分ける知恵はあるようだ。そして決して頭から否定せず確認を促す。


「これは皇帝陛下、今は非常時ゆえ直答失礼しますわ。

その者らの装備が第三のものでありましたの。まぁ彼らのお一人は第一騎士団隊長のようですけれど。

お名前はサージヴァル=カルナス=アグニ=オクタヴィアルと申されるそうですのよ。

わたくし達は帝国のお家事情などどうでも良いのです。

今の未曾有の危機を退けたいか、そうでないか簡単なお話ですわ。

しかし、背後から刺してくるような相手に、助力の必要がどこにありましょう。」


ひとり公爵令息、口割ってますよ、という匂わしと、そっちの事情に巻き込むなという警告。

ここまで来たのに攻撃してきた、それを答えとし義理は果たしたこととする、という宣言。

このまま帰るがそれでいいか?という問いかけと助けてほしくば対価を用意するなりなんなりしなさいな、助けるかはわかりませんが、という要求と嫌味、牽制だ。


むこうはなんかおっさんががなり立ててる。

第一騎士団団長が何様のつもりか、たかが王女が、どうせ嘘ばかり、とか聞こえていますよ。

あんまり煩いもんだから外に連れ出されたようです。


ここで、ぼそりとアンネリーネが、刺激してから帰ってやろうかしら、といつもの極上の笑顔で呟いていたが誰にも、いや クロエ以外には誰にも聞かれていなかった。

敢えて何を刺激するか言わないところがアンネリーネらしさである。


「申し訳ない、臣下の1人が無礼な物言いをした。

その様子からどうやらその者も関わっているようだ。

まぁ第一騎士団のものならば、そうであろう。

そのもの達の引き渡しは可能だろうか?」


大きな話は脇に置き、確認のためにこちらの捕縛者が欲しいようだ。


こいつ知ってやがったな?

アンネリーネの形のいい眉が一気に吊り上がる。

しかし、ここでこれは言えない。証拠がないからだ。

下手なことを言って有利を不利に変える愚策などアンネリーネは選ばない。

顔には不満がありありと伺えるのは顔の見えない通話越しではご愛嬌だろう。

顔を合わせているならば、アンネリーネは顔に心情を出したりは絶対しない!そこにはきらきらマシマシMAXの極上の笑顔が鎮座していた事だろう。現に声だけ聞けば鈴を転がすようなとつくような可憐な声である、内容は別として。


「そうですね、わたくし達が帝国に援軍として行くことがあれば渡すことも可能なのではないですか?まだそちらの返事は伺っておりませんのでなんとも。」


もし行くなら渡せますよ、ええ行くならね、そちらはなんの対価も提示してないので帰りたいのですがね、という愚痴っぽい嫌味である。


「であるな。こちらはずっと変わりなく援軍を待ちわびていた。

ある程度数が減ればこちらも打って出る。」


スルーしてくる皇帝。本気か!こいつ!

襲った奴らとは無関係な無垢な我ら(笑)はずっとこの時を待ち望んでいた!

そっちが大体片付けてくれたら、後こっちがちょっと出て良いとこはもらうから、と無関係を装い、いいとこ取り宣言をしてきた!


「お話になりませんわ。再三の問いにもお答えにならないことがなによりも不実な証拠、わたくしそう考えますの。

こちらの援軍はそちらが追い返した、こちらを背後から刺すという不実で卑怯な方法で。

そう全ての国の方々に連絡差し上げますわ。証人としてオクタヴィアル公爵子息たちにもご同行願いましょう。

それでは皇帝陛下、ご機嫌よう」


ぶちっと切られる前に誰かが叫んだ。


「すまない!申し訳ない!皇帝陛下の無礼ひらにご容赦願いたい!私の首で済むのならばこの首を差し出す!どうか援軍をお願いしたい!」


実に実直な発言であり誠意も感じるが、これをしたのが皇帝でないのなら意味がない。

あと誰の首かは知らないが、たかが首ではお友達を襲った罪には見合わない!

しかし、あそこにいた面子に話しかけられてシカトするのは淑女としてあり得ない。


「名前を」


しかし!アンネリーネは激怒しているのだ!ぼそりと名前の催促である。


「失礼しました。ルクレウス=ルキウス=マーリアンヌ=エル=アヴァロンと申します。アバロン帝国にて立太子されております。」


ルクレウスが名乗った後に扉を開ける大きな音とともに人が雪崩れ込む音、悲鳴、怒号、誰かを引きずる音が響く。


「ルキウス陛下は退位されました。そして今から私がその帝位を継ぎ、皇帝となります。

ガルド王国王女殿下並びに勇者様方にはこちらの騒ぎに巻き込んでしまい本当に申し訳ない。

まず、私が帝位を継ぎ皇帝になったことを各国に通達いたします。そこでやっと貴女方への謝罪もできるというもの。

本当に申し訳ないが一刻ほど周りの国への名乗りに時間をいただきたいのだが、よろしいですか?」


一気に話が進んでルクレウスは冷静に宣言し、こちらにそれの対応を求めた。

もちろん下手に出るのも忘れない。

ルキウスを引き摺り下ろし、自身が皇帝になる事で謝罪の対価となる。

ここでアンネリーネが先ほど言った通りその首よこせと言ったらそれなりに国を整えてからの毒杯を賜るのだろう。

まぁこれもまたお家騒動だ。彼が各国に連絡し名実ともに皇帝になるまで待ってやろう。

簒奪の手際の良さ、危機に乗じることで正当性を担保し、また援軍が帰ってしまう前にと敢えてこの場でのやり取りを聞かせてくる卒のなさ(現皇帝の傲慢さ、危機の中、援軍さえ政敵を潰すための駒とする思慮のなさ、その後でも助けてもらえると信じて疑わない浅慮さ)。

確かにあの屑皇帝よりもマシに思えますわ!

アンネリーネは自身で相手の手の内を予想しながらも、その効果に納得していた。

なかなか手際がよろしい、と批評家気取りである!


「わかりましたわ。ではそうですわね。2日待ちましょう。

その間に自身こそがアバロン帝国皇帝であると各国に認めさせてみてくださいませ。

ではご機嫌よう。」


それでもアンネリーネは帝国自体に後ろ足で砂をかけたいくらいに帝国嫌いで、この茶番にも激怒していた。

だからこそ、2日待つといったのだ。

一刻なんて短い時間で各国が納得するわけありませんでしょう?

2日は必要ではなくて?足りますかしら?間に合うとよろしいわね?と嫌味を盛大に混ぜながら健闘を祈ったのだ。


ここに来てツンデレ要素を増やしてきたアンネリーネだった。



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