二話 謁見の間までの移動中は愚痴〜奴はすで害悪と言っていい!
正義=奴の言う通り、姫は私達3人と奴の四人をそれはそれは豪華な部屋へと案内した。
正義なんて名前はいらないのだ!奴は奴で十分だ!他のふたりも奴と呼んでいる。
だってすでに移動中だからね!奴のせいでな!
ほぼほぼ独り言ですが、聞かれたときに名前だと奴は絶対に話しかけてくる!そんなの嫌だ!
鈍感なあの馬鹿は自分のことだとは夢にも思っていない。馬鹿だからな!
謁見の間に着くまでは、地下室からなのでそれなりの時間がかかった。
その道中の真希さんや桃香さんの独り言はこうだ。
「奴のこういうことだけは話が早いところがムカつく」
「向こうでは頼りになると思ってたところが全部クソに見えてきたー奴は私の黒歴史だー(涙)」
いやー納得するくらい、ですよね感がすごいよね!
真希さんと桃香さんの独り言という名の呪詛は延々と続くのだが、割愛させてもらう。
うん、ほら2人の将来のことを考えると殺害予告とかの犯罪になるものは載せられないやね(笑)ってことで。
奴的には誰の事だろう?くらいの鈍感さである。
いや自分が悪く言われるはずがないという自信?というか傲慢さかな?
何故か奴は謎に自信に満ち満ちているからね。
2人の意見聞いてないの忘れてんじゃね?いや、聞かなくても俺について来い!なのかも知れないけどね。
誰もついていかないよっていうね(笑)
もうカオスだった。
周りを騎士に囲まれ、近くには奴と姫がいる空間で話し合いなんてできない。
奴と姫のはしゃぐ声と動くたびにする鎧のガチャガチャいう音に紛れて、彼女たちは愚痴っていた。
毛長の真っ赤な絨毯は足音を吸収して音を立てないが、足音以外はなかなかにうるさい。
まぁこの鎧とか剣とかがたてる音も、きっと私達への威嚇も含まれてるんだろうなとは思う。
だからこその小さな小さな独り言だ。
威嚇しやがって、拉致誘拐犯が!対策もできなかったじゃないか!という感情が漏れたとも言う。
私は、というと話し合いが出来ないのには怒髪天をきた。
奴の笑顔をボコボコにしても治らないくらいにはキレた。奴にも、話を進めたこの世界の人間にも。
だが、まぁまず私の紹介をするには話が長くなりすぎる。時間が全然足りない。
だから、私のことを聞かれたら彼女たちの顔見知りだ、と答えてもらうことにした。
だってさっき顔見知りになったわけだから嘘ではない。←ここ重要、嘘はバレたら怖いからね!
あと知らない人と言われた場合、下手すると勇者御一行とは別、つまり使えないから死すべしとならないように。
あとは個別に対応しようということとなった。
てか、それしかできなかった、時間的にな!てか奴的にな!くそが!
なるべく話さず、情報を与えないように。
すぐに答えは出さず、なるべく返事は後日に持ち越すことを互いに決めたのであった。
三人笑顔で奴の今後は奴に勝ち取ってもらうこととなった(笑)
奴の今後と私や彼女らは別枠だよ、もちろん!
奴が言ったことには奴だけが責任を持つべきだ。
さて、もう奴が勇者だろうがなんだろうが奴を生贄にするのは決まりだ。奴も大喜びしてくれることだろう。
でもね、奴はきっと二人が当然自分についてくるとか思ってるよね。
話をサクサク進めてる時点でその可能性がめちゃくちゃ高い!この短時間で知った性格的にもね!
優先順位の絶対的一位は私で確定だ。命も今後の保証も最善をいただいていきたい!
奴の巻き添えになるくらいなら奴を仕留めて、再度の話し合いに持ち込みたいくらいである。
まぁ真希さんと桃香さんのふたりも気にはなるが、ある意味では彼女らの存在も奴のあのご都合主義の優しさ(意訳)を増長させてきたとも言える。
ここに来る前まで関係が続いていたということはそういうことだ。
真面目な真希さんは奴のフォローをして来たんだろうし、桃香さんなんて奴が元想い人(笑)だ。
私は博愛主義者では決してない!というかそんなもんになる気はない!キモい!
でもね、偽善者ではあるのだよ。目の前で嫌なことはなるべくあって欲しくはない。
今のところは2人に幸多からんことを祈るだけだがな!
それにしても何故だろう。今のところ全く目立ってない。奴以外の二人と同じ扱いだ。
視界に入る自分の髪の色が黒い?なに?異世界補正で元の髪色か?
、、、あとは異世界人にはのっぺり日本人は、みんな同じに見えるとか?
うむ、相手の対応からいって特に見た目で違和感がないらしい!
びば異世界補正!
異世界補正で髪って元の色に戻るのか、ラノベにはない設定だな。もしや他の人らも?
しかしホントに異世界に来たんだな。実感するとますます面倒くさいわー!