二十八話 ちょいちょい存在を忘れられる男〜王都のお前の親父には嫌がらせが決定した!
なかなかに濃いメンツだとは思ったが、皆さま和気藹々としてる。
今宵の宿は、そこそこ大きな町の宿屋。
夕食を先にいただきながら部屋割りを決めていく。
真希さんと桃香さんは二人で相部屋を希望。
アンネリーネはそれを少し羨ましそうに見ていたが、まだそこまでは早い!(え?付き合いたてのカップルの父親か?)と1人部屋を希望したが1人じゃ何もできない姫であるからして伯爵令嬢でもあるエーリカさんと相部屋。
エーリカさんは服ならば着させられるし、飲み物をコップにも注いであげれるので大丈夫とのこと。優しいわ、自分も伯爵令嬢でしょうに!
おい!アンネリーネ!暇を持て余してたなら簒奪目論む前に自分で何もかもできるようになっとけやヾ(*`Д´*)ノ
カイウスがひとり部屋を希望したのであとのマックス、正義、クロエはそれぞれひとり部屋となり解散した。
真希さんたちの部屋でお話がしたいアンネリーネだったが、ふたりの疲れた顔を見て断念。
エーリカさんはまたの機会がありますよ、と優しく声をかけている。
ありし日の質問攻めが幻かと思うほどの大人な女性だ。
マックスはクロエとカイウスと警戒体制について話したあと外へ、カイウスはさっさと自分の部屋へ、クロエもそのまま部屋に戻る。
が!まぁクロエ氏は部屋にいるフリしてきっと近くにいる変態ルードのところの情報を秘密裏に集めに行くのだろう。密偵が変態の情報を集める、シュールだ。しかしできる密偵はそんな事に頓着しないのだ!
そして正義だが、どうでもいい。
マックスは1番初めの当番のようで宿の周りを回って見て来るようだ。
逃走経路の確認をし、こちらを攻撃しやすい地点を見つけたらそこにも行ってみるのだろう。
宿屋にいてもそれなりの警戒はしていくスタイルのようだ。
まぁ、帝国の密偵だって平時からこの国にも散らばってただろうからね!領地を虎視眈々と狙ってたなら尚更ね!
勇者御一行の実力を過小評価し拉致る作戦に出ないとも限らない。
うん、そんなお話が帝国の方から少し聞こえてきたこともあったよ?今は静かなもんだよ!
ァ,、'`(.ꏿωꏿ.),、'`'`,、
そんでここまでの間、私は旅路を覗いてみたり、MAPにアラームかけて他のことしたりしていたわけだ。
ひとりの飯はうまい!そして楽だ!特に菓子パンがお気に入りです!
まぁ、引きこもりを満喫している私だがな。
それでも調べ物したり!やる事はやってるんです!
このメンバーでついつい忘れがちになる奴がいる、カイウスだ!
総大将の息子で18!侯爵家のお坊ちゃまくんだ。第二騎士団なんだが七光の方があまりに主張してきて忘れてた。
そんな彼だが、真希さんたちにはまず話しかけない、アンネリーネが邪魔するだけかもしれないが。
正義にはある意味一番話しかけている、興味がないから放置してた(笑)
さすがに総大将の息子だからってだけでこのメンバーに入れるわけないじゃない?
普通は入れるわけないんだよ?
優秀だとか好感度を得やすいとかなんかあるはずなのだ!
なかったら、ただあのお偉方三人衆が馬鹿なんだ!
こっちの機嫌が底辺突き抜けたらこのまま逃亡もなくはないのだよ!
だから出発前に取扱注意の警告をされたはずなのだ!
そんなカイウスくんのステータスがこちら!
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職業:騎士(第ニ騎士団、第一隊隊員)
種族:人間
名前:カイウス=ゴットリープ(赤:猜疑心)
年齢:18
状態:貴族(とある伯爵家当主)から今回のスタンピート収束は怪しいと聞いて勝手に勇者たちへの猜疑心をつのらせている。
そのため戦闘初心者な三人に懐疑的であり、侮っている。
またこの疑惑が本当なら断罪する気でいる。どんな風にかは誰も知らない。
性格:実力主義な貴族主義。親の前では良き貴族、良き息子を演じている。
他所では格下の爵位で実力のない子息や実力のわからない平民出の騎士に無理難題を押し付けたりしている。
このことはマックスは上官として、クロエは平民出の被害者として知っている。
今現在はクロエがカイウスに実力を認めさせたので手出ししないばかりか、その腕を買っている。
今回の参加はカイウスから総大将ヴォルフへの直談判で決定した。
直談判を誘導したのは例の伯爵さま。
旅の間、実力のない勇者への蔑視発言などを当て擦りのように多々しており、マックスとクロエ以外にバレてないのは相手が正義だからだ。
正義は蔑視発言に平然と自慢で返して行く男だ。
LV.35
HP : 2500
MP:2000
生命力:2500
精神力:800
筋力:900
俊敏力 900
知力:700
運:30
スキル
戦闘用:
短剣術、剣術、盾術、槍術、
身体強化、火魔術、水魔法
一般:
馬術、礼儀作法、書類整理、ダンス、剣舞
称号
《侯爵子息》《実力主義者》《貴族?主義者》
《努力の人》《第二騎士団団長のファン》
《考える脳筋》
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うん!誘導されて〜ら〜!脳筋カイウス!
これでこのまま帝国に行って、そこでカイウスが勇者断罪(笑)でもしたら帝国からの囲い込みとガルド王国への批難が始まるというわけですか?
そんなうまくいくわけないだろ!
そしてそれを事の発起人もわかっている。いなきゃただの馬鹿。
だってカイウスに勇者御一行を認めさせるのは簡単過ぎだろう。このまま普通に旅を続ければ解消するよ、その疑心。
すでに真希さんら辺は認め始めてるんじゃないかね?
友人という名の私直伝、武器も体の一部!だから身体強化で強化できる!作戦。
そして呼吸できなきゃいつかは死ぬよ、だから水球で覆っとけ!顔をな!作戦!
うん、どっかで聞いたな、きっとラノベ!なやつです。
ちょいちょい、そういう発想は使わせてもらわねば!命大事にだからねー。
問題は正義だ。
だって確かにスタンピートの収束は怪しい。収束したの正義に隠れたわしだからな(笑)
とある貴族さまの慧眼である。
カイウスの目からしても正義はただの素人にしか見えないだろう。事実素人だからな!(笑)
カイウスくんなのだが脳筋だからなのか、実力の定義が戦闘力のみに偏ってる感じなのだ。
多分、頭の使い方での強さがわかればそっちも評価の対象になるだろう、わかればね!
ゴットリープ侯爵家は武の名門。
多くの実力ある騎士を輩出してきた一族なのだ!
まぁ、軍師とか兵站責任者とかの立ち位置の方々もいるにはいるらしいのだ。
しかし!カイウスくんの見える周りは武力としての力の見本市だ。
父は侯爵家当主にして総大将(頭も良いがその大剣使いはあまりに有名)。
長兄は肥大な大地を持つゴットリープ侯爵領の領軍を率いる責任ある立場(頭も良くなきゃ率いても迷惑なだけ!)。
次兄はその兄の補佐として剣を振るったり命令を出したりする言わば現場隊長(命令が理に適ってなかったら終わりだぞ!)!
しかし今の世は平和なわけだ。
だから大規模な防衛戦だの侵略戦争なんか無い。地図使って地理だのなんだの頭使った作戦を使うこともなく、散漫的な魔物討伐やらの力仕事が主な領軍の仕事。
今回のモンスタースタンピートでは作戦は使っただろうが、そこに肝心のカイウスくんがいない。カイウスくんは王都のゴットリープ侯爵家別宅でひとり震えてた。
勿論長兄殿は領地経営を当主から任された頭脳派だし、次兄も将来その補佐に回るため勉学に余念がない。長兄次兄は普通に作戦が必要になったときの軍運営の勉強もしてるので実力=戦闘力=強さとはならない。実地も今回のスタンピートでちゃんと積めて一安心!
しかし!嫡男の予備の予備たる三男なカイウスくんは王都にて、上2人に何かあった時のため勉強はしているものの実際に領地経営をすることなんて無く、また平和だから頭を使った戦いにも触れずに生きてきたわけです。だから実力=戦闘力。ただの見えやすい価値観のみを信じる馬鹿ともいう。
わかりやすい強さより怖い強さってのもあるんだよ?旅の間にアンネリーネのそっちの強さを見てみればいいよ、しっかり刻まれるほどわかるから(笑)
まぁそんな脳筋カイウスくんですが爵位が下でも実力(戦闘力)があれば認めてるんだよね、平民出騎士クロエがそのいい例だね!
今回カイウスくんを誘導した伯爵家当主さんですが。
本名、ランスロット=ヴェルガモットなんてかっこいい名前なんですよ!
厨二病患者がよくお世話になる名前だわ‼︎
そんなヴェルガモット伯ですが、めちゃくちゃ人生苦労してるんだよ。
出生の秘密編、幼児期編、少年期編、青年期編、ヴェルガモット伯爵当主編と五つできるくらいにね!
そんで青年期には恋愛編も作ることができそうだし、当主編では総大将との友情編もできそうです!
ホント貴族って怖い、闇が酷い、女の怨念がヤバイ!
そんなんが詰め込まれた人生を歩んで60年のヴェルガモット伯爵が、ここに来て極々小さな確率だが勇者との不和の種になりかねないカイウスを同行させたかったわけとは何だろうか?
ということで、調べてみました!
うん、なんだろ。馬鹿ってどこにでもいるんだね!ってだけの話でした。あと親馬鹿?友馬鹿?
まずカイウスくん、18歳。三男だし身分的にも人柄的にも合格ということで幼い時から王太子(17)の側近として育った。
一見貴族主義で権力振りかざす系だけど、実際はノブレス・オブリージュな貴族主義つまり貴族は実力をもってその義務に答えよ!な人間なので実力(戦闘力)のない貴族を蔑視している。(おいおい大丈夫か?)
上位貴族にだけ何もしないのは自分の地位でそこまで上の人間を裁く資格はない、上位貴族を見極める資格は王や王太子のような方々にしかない、逆もまた然り、という精神からなる。(いいこと言ってる風ではあるが、ちょっと。)
よく知ってる人と側から見てる人で全く印象の異なるカイウスくんだが、一つだけ誰もが認める特徴があった。
脳筋で【戦闘力のない地位ある人間への蔑視発言】をすることである。
うん、あかん!これあかんよ!って分かる特徴。
勿論身近な人には脳筋だがいい奴だと知られているから、これを諫める人もいたが本人的には当然の行為であり、やめなければならない理由がわからない。
馬鹿なの?馬鹿だな!馬鹿すぎるぞ!
だって注意しなきゃ努力もしないでしょ?っていう変な精神構造してる。
彼的には蔑視発言=注意、発破なのだ。
まぁ、あながち間違いでもないのか?そういうのは言い方によるけれど。
まぁ今までも問題視はされても問題にはならなかった、らしい。
周りにいるのが、だいたい護身術(=戦闘力)に力を入れる上位貴族のご子息たちだからね。
だがここに来て、勇者御一行が登場するわけである。
地位が微妙なところだが、勇者、賢者、聖女の称号は安くない。
まぁ建前上、貴族と同等以上とされている。
ここでとある貴族派のお馬鹿な貴族は考えた。
総大将の末子で王太子の側近の脳筋で蔑視発言が目立つカイウスを使って国王派の力を削ぎ、勇者たちを囲い込めないだろうか、と。
カイウスに公の場で勇者御一行を断罪(笑)させようと画策していたのだ。
このお馬鹿な貴族は、お馬鹿なだけあって謁見の間の重鎮組ではなかった。
つまり【絶対遵守の契約魔法】外、しかも王と言葉でやり合える存在としての真希さんのことも知らなかった。
たが計画はお粗末すぎるが途中までなら、ほぼあり得た未来だ。
確かに王都にいた頃のカイウスなら人がいるところで勇者を愚弄くらいした。
だって正義、口が軽すぎて自分のステータス言っちゃってるからスキルに魔法しかないのとかバレてるんだよ!
カイウス的には本当に大勢の魔物を倒したかも怪しい勇者を騙る者だよ!
まぁ上層部には、
「偉大な存在シュフさまが人々の危機には答えてくださるんだ!より大きな力となるよう助力してくださるんだよ!!」
と本気で言ってるから虚偽を見破る魔術でも嘘じゃないって証明されてる。
ある意味ホントに嘘じゃないしね!
あと真希さんたちは戦ってすらないから普通に責任から逃げたと蔑視発言はする。絶対する。
そう思われたのでお馬鹿貴族が動いた。
ヴェルガモット伯もお馬鹿の動きに気づいたのもあるけど、このままじゃ友の末子がいろんな意味でヤバイ!ということで下手に人前で暴言吐く前に王都から追い出しにかかったわけである。
父である総大将も視野を広げるためにいつかは王城から離そうとは思っていたようで友の案に乗り、カイウスくんは勇者御一行の同行者として王都を出たのでした。
おい、なに御荷物押し付けとんじゃわれ!!!
( ꒪Д꒪)( ꒪Д꒪)( ꒪Д꒪)( ꒪Д꒪)
総大将には後で嫌がらせをすることが全私の中で決まった!
あとさ周りのお話をちゃんと聞いて理解しとこうぜ、カイウス坊ちゃん。
今まで散々言われただろうに、18になってもそんなんだから見識を広めに、とか言って側近から外される方向に話がいってたんだろ!言外の言葉がガンガンに言語化して見えるわΣ(⚙♜⚙ )
外聞も憚らない蔑視発言など貴族として終わってる。
政治の中枢である王城になど置いておけない。
いつか言質をとられて破滅する。
まだまだ聞こえるよ!どんだけなの!
私にはヴェルガモット伯の今回のその心遣いが、小さな子供に対する庇護に見えてしまうよ!
中身がちっこい子供な18歳の逃亡の隠れ蓑にされた勇者御一行。
洒落にもならんわ!
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┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
まぁ、ここまでするんだ。性格が壊れてもちゃんとした価値観になって欲しいんだろう。
真希さん桃香さんになんか言ったらアンネリーネと私が相手になりましょう!
アンネリーネからは言葉によって心をぐっちゃぐちゃに折られるだろう。相手は片手間に信者増やしてくる手腕をお持ちですよ、平伏しなさい!
私からは文字通り壊して差し上げよう、体中をな!
言葉で分からんなら体に言い聞かせればいい!
こんなのをわざわざ同行者につけたんだ、総大将もそういうキッツイのをお望みなんだろう!
ご希望通り反射で土下座くらいの芸は仕込んでやろう!!
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、