172 新バディ誕生
警備を雇った声の主は阿国であり、二人はゲーム内で「友達の友達」である。全く知らない相手というわけではなかった。しかし親しい間柄ではない。
互いにその能力を認めあい、この混乱した現状を打破するために即席の戦友として協力する。その程度の信頼関係だ。阿国はディンクロンの指揮下に入り効率的に、ディンクロンは情報をまとめ、阿国が知らぬ情報を提供する。一時的だが悪くないと考えていた。
「ガルド様を最後までお守りできなかったのは、全てワタクシに責任がありますの。なんとしても、なんとしてもっ! 取り返しますのよ!」
今ここに、執念深い復讐者達が手を組んだのである。
「……それにしてもそんなオジジだとは、ちょっと予想外でしたの」
<お前も、アバター年齢の二倍じゃ足りなそうだ>
「レディを年齢でいじるなんてサイテーですのよ!」
ぷっとんとは毛色の違うその返事に、ディンクロンは一層やるせなくなった。あの女の重要性は分かっていたつもりだが、居なくなるとこうも辛いのかと悔しさを滲ませる。
オールバックをシワの多い手のひらで撫で付けながら、訳ありな経歴を持つ警備会社社長の男は闘志を燃やした。
フロキリ内での、徹底的に巨大な敵モンスターを叩きのめすプレイスタイルの、青年ケットシー種の姿を脳裏に描いた。
ディンクロンとしての活動は全てこの日のためにあった。現に阿国という仲間の協力で形となって現れている。さらわれた同志を、そして狂い始めた田岡のためにも、こんなところで追跡の手を休めるわけにはいかなかった。
間隔調整でまた短めです。大変申し訳ないです…




