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170 事件は現場で起こっている

 何か被害があったわけではない。騒ぎが起きたわけでも、通報を受けた訳でもない。

 そんな厳しい条件でありながら「事件」なのだと判断出来たのは、公的な職種に就き仕事中であった女が一人、音信不通になっていたからである。

 布袋(ほてい)という名のその女性は部下を複数連れており、その部下までもがどこにいるのか分からなくなった。五名の部下と一人の統括がいなくなり、その行動ログや会話履歴から「意図せず姿を消した」ということがやっと証明できる段階へと進んだのだった。

 そのせいというわけではないが、結果として対応は後手に回った。

「貴様らそれでも公共の人間か!」

 真っ黒なオールバックに上質な黒いスーツを着込んだ壮年の男に、空港運営の責任者が怒鳴られている。客の姿がかき消えがらんとしている、犯行現場のラウンジに鋭く響いた。

「いえ、ですがまだ行方不明だという確証は……」

「なればこそ早急な情報収集、対応が必要だ! 防犯カメラがハッキングされていることに、なぜ一時間も気付かない!」

「それは……しかし上の許可が出ないうちには、警察の方々と言えど……」

「そんな悠長な状況ではない!」

 役所仕事がこんなところにまで侵食しているとは、この優秀な男は夢にも思っていなかった。線の細そうな空港の責任者を口で叱り飛ばしながら、こめかみのコントローラを介して部下に指示を飛ばす。同時思考行動、マルチタスクを駆使した業務の効率アップだ。

 一般的ではないこの手法を早くから取り入れている彼の会社であっても、彼以上の腕はまだいない。フルダイブでリアルタイムバトルをしながら書類仕事が出来るほどに、彼は脳の扱いに慣れていた。

<さっさと来い、緊急だ。電子装備を持てるだけ持参しろ。中二東の棚もだ>

<了解>

 返事は簡潔でスピーディだった。

間隔調整のため短めです。すみません…

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