4:魔王城の初来店者の力は……
ゴーレムの顔の下に空洞ができている。これはわかるぞ。あまりの事に驚いているのだ。だが、この後に来る客のためにもしっかりとしてもらわねば。
「俺は今から初の来店客の案内に入る。お前はこのまま客を待て。また、もうすぐ連絡係のハーピーが来るから、各種業務はそのまま続けるように言ってくれ」
城門は、ゴーレムが2体同時に通れる大きさがある。少女には魅力的に映ったのだろう。はしゃぎながら、中へと入った。
「ようこそ、魔王城へ」
「はい! よろしくお願いします」
「ふふふ、俺に任せておけ。城の魅力を余すことなく見せてやろう。おお、そう言えば初入場者特典の指輪だ。悪いもの(人間)から、身を守ってくれるぞ」
「え! ……こんな高価そうなものいいんですか!? 入場料よりずっと高そうですけど」
「気にするな。記念品なのだ。それに、お前が楽しんでくれれば、他に客も来るだろう」
少女は嬉しそうに指にはめた。指は少し荒れている。
彼女等の家も農作業は辛く、給金は少ないのだろう。
……本当に来たかったのだろうな。俺も嬉しく思う。
以前の魔王城では城門の後に堀があって水を流していたのだが、現在は未建設だ。想定よりも金がかかる。
だが、その分扉に少しおもしろい仕掛けを施してある。
「さて、扉を自分で開けてみるか?」
「はい! やってみます」
重量級ボストロール一匹分の扉だ。それこそ、門番のゴーレム以上の力がなければ開けられない。もっとも混雑時は魔法で軽くするつもりであるが。
「えいっ!!」
「な、なに……」
「開きました! 開きましたよ、魔王様!! 扉って重いんですねえ」
魔法をかけていたのか、と確認してみたが本来の重さだ。どうなっているのだ?
「力仕事は得意なのか?」
「はい! よく農作業の道具を壊しちゃって怒られてます」
「そ、そうか……」
下手をすると、勇者パーティーの戦士より筋力があるのではないだろうか? 俺は少女の腕をじっと見る。この細腕でどうして……?
「ま、魔王様? どうしたんですか? 何か壊しちゃったでしょうか……」
「い、いやまったく問題ないぞ。魔王城は頑丈なのだ。そうでないと勇者が簡単に入り込んでしまうからな」
「確かにそうですね! すごいなあ」
満面の笑みを浮かべて扉を開け閉めしている。