extraordinary
初めて短編で小説を書きました。感想もらえたら嬉しいです
「久しぶり、元気してた??」
SNSが発達した現代でも顔を合わせればみんなそう言ってしまうもの
高校を卒業して10年、久しぶりに再会した友達は立派な大人になっていて同い年の自分もこう見えてるんだろうなと少し寂しい気持ちになった。
会社のこと
他の同級生のこと
最近のこと
いろんな話を矢継ぎ早にして一息ついた頃、話は昔話に変わっていた。
「あんたはずっと片思いだったし、もったいないよねぇ」
友達の言葉に苦笑いしか出来ない
マンガや小説の様なラブロマンスに憧れながらも私はあの時1人の背中しか見えていなかった。
部活中の真剣な顔
笑うと目尻による小さなシワ
たまに見せる小さな優しさ
告白してフラれたのに諦めきれなくて思い続けて
「若かったからあんな恋ができたんだよ」
少しお酒の力を借りなきゃ笑い話には出来ない程の大きな片思いだった。
部活を引退した後も一緒にいる時間は多くて
苦しい思いに蓋をするように受験勉強に没頭した事も
卒業式の前日にじゃあね、と短いメールをした事も
全てを昨日のように思い出せるのは
今の私を作るのに彼との出会いが必然だったのかなとかロマンチックに思ってしまう。
「そういえばさ、あいつの事呼ぶ時あんたなんて呼んでたか覚えてる?」
友達の一言に悲しい気持ちは一旦抑えて
「覚えてるよ、友達の呼び名なんて忘れるわけないじゃん」
特に気にしていないようにメニューを見ながら答える
。男友達なんていなかったから余計なんて呼べばいいか分からなくて適当に付けた呼び名はそのまま三年間続いてしまったのは少しおかしな思い出
「あの呼び方さ、あいつアンタにしか許してなかったの気付いてた?」
ふと、友達が真っ直ぐこっちを向いているのに気付いて首をかしげながら そうなの?と聞く。
「そうだよー、ほかの人が呼ぶとすんごく嫌な顔したの!私一度呼んだら他の呼び方にしてくれって怒られたんだから!」
お酒の力もあるんだろう。
友達は力説する。
へぇ〜と言いながら思い出すけど今までそんなこと気にしたことは無かった。
「あいつなりにアンタのこと特別に思ってたのかもねぇ」
もう時効な話だからわかんないねも二人で笑いあった。
部活を引退して少しだけ化粧をして学校に行った時似合わないなと笑った顔
ほかの男子と話していると気付くといつも隣にいたこと
なにかと用事をつけては卒業までメールをくれたこと
今まで思い出せなかった優しい思い出がふと蘇ってきた。
「…そうだね、確かに私だけだったかも。」
小さく笑いながらそう答えると友達はなんで付き合わなかったかなーと不満を漏らした。
10年経ったから笑えるんだよ
10年経ったから思い出せたんだよ
その言葉は心の奥にしまっておいた。多分それはもう少し時が経たないと言えない言葉だから。
「まぁ、アイツが結婚するっていうんだから時間もたったよねぇ」
再会のきっかけになった出来事をやっと友達は言えたような顔をした。
はじめに聞いた時はびっくりしたけど
彼ならきっと素敵な家庭を築けるって思えた。
「案外肝っ玉小さいから、カカア天下になったりして」
私の方からこの先の話をしたら
彼女はやっと心からの笑顔を見せてくれた