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loves  作者: 伊原叶羽
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プロローグ



リア友との合作です。設定を交換し合いました



高梨蒼良たかなしそら ……主人公

               控え目なタイプ

                頭がいい

永安海帆ながやすみほ ……メインヒロイン

               主人公と対照的に明るいタイプ

               転校生

柏田薫 (かしわだかおる)……物静かで感情を表に出さない

               行動に出やすい

井手柴渚いでしいな  ……積極的なタイプ

               主人公の親友

伊波紘喜いなみこうき ……中心的人物。

              国民の弟ならぬ五人の弟のようなもの


仲良しの定義ってなんだろう。僕はいつもそう思う。例えば、目の前にいる3人は僕から見たら『仲良し』。もっと行けば『親友』と呼べるものでもある。でも、3人からしたら僕はどう見えているのだろう、なんてことをよく考えたりする。こんな事を考えるなんて僕はどうかしてるとも思う。そんな事を考えるのは僕がただ単に彼らを信用していないからではないか。今も仲良くファストフード店に来てるというのに?そう考えるとぐるぐると嫌な感情がこみ上げてくる。思わず顔を歪めると、目の前にいた僕の『親友』の井手柴渚が心配そうに声をかけてくる。

「おい、蒼良。お前いつにもまして喋んなくないか?せっかくの夏休みとは思えない面してんぞ。ほら、ポテトさまるから。」

ああ、こんなふうに僕を心配してくれる彼を信用しないなんて僕は失礼な人間だな。そう思いながら、最善の笑顔をはっつけて僕は努めて平然に返す。

「心配ご無用。僕は君とは違って脳みそにモノがいっぱい詰まってるんだ。考え事くらいするさ。それと、もうポテトは食べていいよ。」

僕の皮肉たっぷりかつ愛情たっぷりの返答に柴渚は満足したように頷いて、

「いや、お前の元気が戻ったようで何よりだわ」

と女子ウケ万点の爽やかな笑顔を僕に向けてきたので、こいつは本物のマゾヒストではないかと少し引いた。

「……高梨くんはいつも何かを溜め込んでるから、みんな心配なのよ。」

3人のうち、唯一女子の柏田薫がシェイクの入った紙コップを口から離してポツリと呟く。彼女にまで心配されるとなると、僕は相当ひどく顔を歪めていたらしい。表情を顔に出さない彼女だけど、優しいんだよな。僕は彼女にはにっこりと笑みを浮かべ、

「全然へーき」

と言った。すると薫はぐにゃりと口元を歪めた。彼女の精一杯の笑顔だってのはここにいる全員が知っている。ああ、こんな彼女を信用できないわけがない。彼女はこんなにも信頼を表に出してくれるのだから。

「この後どうする?」

 僕は湿気てしまった空気を乾かすように、いつもよりいくらか大きい声を出して問いかける。

「オレはいつもの場所。ほらあそこ」

いままで黙ってハンバーガーを食べていた伊波紘喜がパッと顔を上げて提案する。もう高2だってのに未だに中学生のような面影を残す彼は僕らの弟みたいな存在だ。そのせいもあってか、僕含め3人はいつも彼の提案を優先してしまう。

「……私もあそこ行きたい。」

カバンから財布を取り出して、催促をするように柴渚を見つめる。

「じゃああそこいくか。ほら、蒼良行くぞ。」

僕ら4人のリーダー格の彼は僕の腕を引っつかんで会計へと引っ張っていく。強引なその行動に若干イラつきながらも、僕は少し安心する。こうやって僕のことを気遣ってくれる3人を、僕は『仲良し』だと思っている。それが今日も確認できて、僕は安心した。




 彼らが『あそこ』と言っている場所は学校のすぐ近くにある。その昔人工で作られたと言われている標高30メートルほどの、山というか丘というかなんと言えばいいのかわからないところだ。そこには木が結構植わってて、結構涼しい。それに、人が少ないからなんでも話せる。あの山は僕らの『秘密基地』みたいなものだ。


「あそこいくの久しぶりじゃね」

「そうかもね。最近雨多かったから……」

「それに最近蒼良ちゃん塾多かったしねー」

「紘喜、ちゃんづけやめてくんない。しょうがないじゃん、僕だって勉強は好きじゃない」

嘘つけガリ勉、なんて僕以外の声が揃った時に、山が見えてくる。

「……うるさいよ」

「緑、濃くなってるね」

「7月だもんなー。今年も早いよ」

「しぃちゃんもうジジィでっか~」

「うるせぇ」

僕の発言をみんなはスルーして、ケタケタと紘喜が笑っていると、山の入口が目の前に迫っていた。山の入口は、なぜか鳥居があってちょっと神聖な感じがして僕は毎回ドキドキしているんだけど、3人はそうでもないみたいだ。その証拠に、紘喜はずんずんと鳥居の真ん中を通り、何してんの、と僕を見てくる。

「いっつも言ってんじゃんか、真ん中は神様の道だって……」

「高梨くんってそういうところあるよね。嫌いじゃないよ」

「細かいこと気にすると体に悪いって偉い人言ってたぞ」

「偉い人って…僕知ってる?それ」


 くだらない話をしていると、いつの間にか頂上についた。そこにはお粗末な東屋が一件だけ。それしかないけれど僕らの住んでいる街が一望できるし、静かだしで僕らは好きなのだ。

「今日何するか決めてる?」

「オレ、トランプ持ってきた」

「ここまできてインドア派のもの持ってくるとか……」

「いいじゃない、トランプ。私嫌いじゃない」

「大富豪やろうぜ」

「私負けないよ」

こうして、僕らはまた、日々を食いつぶしていく。




 大富豪が薫の一人勝ちで終わって、思い思いに4人で過ごしていたとき、柴渚がおもむろに喋りだす。

「夏休み明けたら、転校生とかこねーかな」

「……前も言ってたよねそれ。そうそう来るわけないでしょ」

「だって俺達クラス替えないじゃん」

「それもそうだけどさ」

僕らは高校の英語科に通っている。英語科は1クラスしかない為、クラス替えはないし、出会いも少ない。絆は深まっていると思うんだけどな。

「あーーー。かわいい女の子入ってこないかなーーー」

柴渚がいつものように東屋のベンチに寝転がり、手足をジタバタして叫ぶ。校内1のイケメンと噂されている彼のこの姿を見た女子はどんな顔をするか想像すると、結構笑えてくる。

 薫は興味なさそうに本をパラパラとめくり、長い黒髪の先をくるくると弄んでいる。ぐうぐうと息が聞こえてきたと思い、隣を見ると、紘喜が寝ていた。これは僕が相手をしなきゃいけないやつなのか。

「……かわいいかどうかは置いといて、賑やかになるのは好き」

「だよなぁー!スタイル完璧のボブヘアー美人とかこねーかなーうへへっ」

「うっわー、趣味丸分かり……ドン引きだよ」

彼の趣味は前々から聞いているけど、理想が高すぎてウンザリする。ほら、薫がイライラしてる。指先で机をトントンしているから、すぐにわかる。薫は表情に出ないだけで、結構行動に出やすい。今は話しかけない方がいいと思う。



 しばらく柴渚の趣味に付き合ってると、明るかった太陽が橙色に染まってきた。そろそろ、帰ろうか。

「おら、紘喜起きろ」

「ほら、薫行くよ。本の世界から出てきて」

僕らは2人に声をかけ、名残惜しむように静かな空間から離脱する。

「…2人ってほんと仲いいよね。好きなタイプをよくまあそんな簡単にいえるの」

薫の軽蔑にも似た眼差しを背に受けても柴渚は気にもしないで、呑気に鼻歌を歌ってる。

「明日何する?」

「図書館で課題。早めに終わらして遊ぼ」

「うひー、さすがガリ勉の蒼良ちゃんですねー!!オレも賛成だけど」

「高梨くん、私たちに教えるの頑張ってね」

また、日々を食いつぶす予定を立てる。明日の約束って作るときが楽しい。ウキウキとした気分は好きだ。

 こうして僕たちはだんだんと日々を食いつぶしていった。





 夏休み明け初日。柴渚と共に学校へ来た僕は、ふっと教室の違和感に気が付く。

「席、1個増えてない?」

「あ、ほんとだ。転校生!?」

柴渚のテンションが一気にハイになる。もちろん僕のテンションも。

「……嬉しくない?」

「おお!お前もテンション高いな!!超楽しみ!!」

かくして僕らは、『転校生』という1人の存在に僕らは心を躍らせることになった。





「お前ら、今日は転校生がくるぞ、席に付け!」

担任の声が聞こえ、皆が席に着き、息を呑む。先生の後から入ってきたのは…女子だった。ガタッと柴渚の方から音がする




「永安海帆です。よろしくお願いします」

なんてかわいい子なんだろう。それが僕の彼女への第一印象だった。






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