作戦02 少女藤藁天皇
武崎の報告を聞いたその上司は城内の天皇の部屋で土下座して、10歳ほどの少年、伊江達将軍と一段高い所の、すだれの向こう側に座る神童と呼ばれるほど素晴らしい技術者の12歳と思わしき少女、藤藁天皇に一揆の首謀者と思わしき僧侶を捕獲した事やシンタに協力して貰ったこと、客間にシンタを通した事など大体シンタの事を報告をしていた。
「はい、南蛮からの旅人との事です。」
「そうかそうか、是非朕も会うてみたいものじゃのう。」
「天皇様、皇子殿も居ない中で身元も解らぬ者に会うというのはいささか危険ではないでしょうか?」
皇子、摂政と呼ばれる役職につく天皇の補佐を務める人物だ。
「そんな事を言うとっては誰とも会う事は出来まいよ、それに西の藩の武崎と謙遜の無い働きをしたのなら南蛮でもそれなりに有名な御仁なのだろう。」
藤藁天皇は天才的な設計技術を持っているがまだ子供だ、好奇心には勝てない。
「それもそうですね、では呼んでみるとしましょうか」
「いや、それでは失礼だろう、朕が直々に行く」
「そうですか、では私も同行します」
「駄目じゃ、朕が一人で行く」
「なんでですか?」
「なんとなくじゃ、それと朕の帰りが遅かったらその旅人を捕らえるのじゃ」
「解りました」
そして天皇は客間へと足を運んだ。
女中は襖の外側からシンタに話しかけた。
「飛田様、天皇様がお会いしたいとの事です」
「天皇が?そうですか、今向かいます」
「もうこちらにいらっしゃいます」
「入るぞよ」
(いきなり過ぎるぜ。)
「はい、どうぞ」
勢いよく襖を開き少女、藤藁が入った。
「これはこれは天皇様、ご機嫌麗しゅうごさいますかー?」
シンタは天皇にかける言葉を思いつかなかったので適当に丁寧語を使ったのだが、藤藁には気になる言葉が有った。
「おー?よく朕が天皇と一目で解ったなー、朕に会った者は大体「で、天皇様はどなたですかー」とか「子供の戯れに付き合ってる暇はない」とか言うのに。」
シンタは別にゲームで見たから知っていた、と言う訳にも行かないので適当に流したた。
(今度はチンか、女の人はワラワ(笑)じゃねえんかよ。)
「諸説ありますがまあ気にしないでください。」
「そうかの、ではお主はどこから来たのじゃ?」
「さあねぇ?知りませんよ、強いて言うなら夢です。」
「ほう、お主病院に行った事が無いのか」
当然、ある。
「いや、そういうki☆ti☆gai☆的意味ではなくて夢から覚めたらここにいたってことですよ」
「フム、夢遊病か記憶喪失かの、記憶喪失は在り来たりじゃし、夢遊病の方が良いの」
「夢遊病ではないっすけどそれが一番合ってますね」
「それが合ってる?」
「いや、変なやつに連れてこられたらしいっす、と言うかそこには余り突っ込んで欲しくないっす」
そもそもその変なやつがまごう事なくもない自称神様の超能力者なので始末におえない。
「そうかの、では一揆鎮圧の褒美の話なのじゃが」
(神って結局なんなんだ?人間を都合良く助けてくれる凄い何かか?あるいは世界を造った何か?)
「………なんじゃ、って聞いとるのか?」
「はっ!すいません」
(しまった、つい癖で余計なことを深く考えてしまった)
「仕方ないの、もう一度言うわ。よーく聞け!褒美をとらす。大体のモノなら何でもいい、何が欲しい?」
「褒美っすか?今は何も欲しいモノは有りませんけど」
「今決めい!朕は忙しいのじゃ!」
先程失礼が無いようにとかどうのこうの伊江達に言っていた割には彼女は失礼だった。
(ええっ!今欲しい物かよ、今欲しいモノ今欲しいモノ今欲しいモノ…そんなパッとは考えつかねえな、そうだっ!これなら渡せないだろ)
「愛がある結婚をしたいです」
事実である。
「はぁ?何を言っとるんじゃお主は、そんなのわしが知ったこっちゃないわい、他のにせい、他のに」
「他になら、うーん。じゃあ北の連邦国に行くのでトラックとその運転手と旅費が欲しいです、トラックは機構兵器運搬用のを」
今度は真面目に考えた、すると急に贅沢になった気がする。
「ほーほー、そうきたか。わかったわかった、手配してやろう」
「ありがとうごぜえますだぁ」
「ふん、汚らわしい愚民め。ありがたく思えよ。って、何言わしとんじゃ」
(……演技がうまいな)
少女が着物を着てシンタを侮辱する様子は意外と様になっていた。
藤藁天皇はヒロインではありません。シンタはロリコンでも無ければ天皇と結婚するような勇気も無いです。
そしてwikiによると伊江達のモデル、徳川家達はゲイです、口止め料を払ったこともあるとかないとか。YARANAIKA☆
今日初めて御家人が将軍に会えないと言う事を知りました、同じ領主でも旗本は会えるのに理不尽ですね。