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という話  作者: 門松一里
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「認知」という話

「認知」という話


認知は、事象を知る知覚より高次の認識ですが、これが社会と異なると大変です。


少し考えてみましょう。


*****


まずは、知覚です。知覚は外部の事象が何であるかを判断して、意識することです。


たとえば、知らない部屋に案内されて「あちらの時計を見てください」と言われて、壁の時計を見たとします。


次に、質問です。


「何時でしたか?」


どうでしょうか。

答えられない人は多いのではないでしょうか。


これは意地悪な質問です。


素直に「あちらの時計の時刻を教えてください」と言えば、ほとんどの人は答えることができるはずです。


最初の言い方では、時計を見ても時刻を意識しないように故意に (わざわざ) 言っています。



スパイの試験を受けるとしましょう。


「この封筒を8階の受付に渡して受領サインをもらったあとで、3階に届けてください」と封筒を渡されたとします。


ほとんどの人はまず8階に行くでしょう。


正解はどうでしょうか。そのまま3階に届けるのが正しいのでしょうか。それとも、封筒の中身を見たほうが正しいのでしょうか。


スパイになるにはそうした素質が必要になります。



「時計を見る」という簡単なことでも、意識しないとその情報を逃してしまいます。


前提として、けっこう人は何も考えていないのです。


ですから、本当に何も考えられない人との区別がつきにくいです。



立命館大学産業社会学部の宮口幸治教授の『ケーキの切れない非行少年たち』という著書では「ケーキを三等分に切れない少年」が登場します。


宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』 (新潮社、2019年)

https://www.amazon.co.jp/dp/4106108208/ref=cm_sw_r_tw_dp_JNDJWVMGSZQNG7B3RSV9


帯の図を見てください。本当に切れないのです。



実は私も小学生のころは切れませんでした。正四角形を三等分するのはできましたが、いざ円を三等分することができませんでした。


想像ができなかったからです。


そして、角の三等分問題は1837年にピエール・ヴァンツェルが不可能であると証明しています。


その知識もあったので「絶対できないものだ」と考えることを止めてしまったのです。


しかし、隣の同級生は解いていました。


どうして解いたのかを聞くと「ベンツのマークだから」と答えました。


車好きならドイツのダイムラー社のメルセデス・ベンツのスリー・ポインテッド・スターを知らない者はいません。


私自身はその同級生をバカにしていました。けれど、根本的なことで自分が過ちを犯していることに気づきました。



まずは、意識して見ることです。そうすることで、知覚が養われます。


たとえば、メルセデスの車がいっぱいあったとしても、知っていれば「これはW124の500Eだ」といったように詳しく言えるようになります。


そのころになれば、メルセデスという名前がどうして名付けられたか知っていなければおかしくなります。



どんどん知覚が豊かになれば認識も高くなり、認知もできるようになります。


空間の把握ができなかった私は一つ一つの物の大きさを身体で経験することで、空間を認知できるようになりました。


引越のときに便利なので段取りをするのによく呼ばれます。


物の価値もあるていど知っているので、夜逃げするときに故買屋に流されなくてすみます。#blackjoke



社会には、あるていどの認知の幅があります。


認知が低いからといって知覚できていない訳ではありませんし、逆もそうです。


ヒトという生物の社会は、認知をどれだけするかで優劣が決まってしまいます。


ただ、知らないほうが幸せという場合もあります。

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』のように……。#blackjoke


けれど、知らないよりは現実を知って生きるほうが人間らしい生き方ができるのではないでしょうか。


とはいえ、毎朝起きて寝ぼけていると時計を読むのが私には困難ですが。




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