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という話  作者: 門松一里
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「刑法」という話

「刑法」という話


何度も罪を重ねる犯罪者がいます。


許せない人も多いでしょう。


少し考えてみましょう。


*****


日本は刑法が甘く、同じ罪を重ねる犯罪者が多いのは事実です。


どうしてでしょうか。


それは、日本の刑法が、犯罪者の更生を願っているからです。


【目次】

《簡単な歴史と思想》

 〈日本は小人の国〉

 〈文治国家〉

 〈儒教の考え方〉

 〈軍事国家〉

《法律とその背景》

 〈憲法〉

 〈刑法〉

 〈転向〉

 〈実際に何か罪を犯していなければ逮捕できないし起訴もできない〉

 〈冤罪〉

 〈弊害〉

 〈解決案〉

 〈更生〉

 〈どうしてこうなった〉

 〈親族間の犯罪に関する特例〉

《参考文献》


*****


《簡単な歴史と思想》

〈日本は小人の国〉

日本という国はその歴史から世界でも唯一の「変な国」です。


日本国はいちおう東アジアの思想で成り立っています。#blackjoke


法治国家なのに、学校で道徳という文治教育をいまだにしている小人の国です。


百年以上も前の教育勅語を復活させる意見もでるような小人の国です。

※教育ニ関スル勅語は1890年 (明治23年) 10月30日発表。


歪んだ道徳を教えるより、子供が「いじめは犯罪」だと学んだほうがよりよい社会になるのにしない小人の国です。

(いじめをどうしてするかというと「楽しい」からです。その無責任で安易な楽しさで人は傷つき殺められます。)



〈文治国家〉

本来の文治国家には、誰もが勉強して優秀な成績を修めたら官僚になれる科挙制度があります。

※建前は正しいが、現実には金持ちしか勉強できないので庶民はなれない階級制度でもある。


誰もが徳を積むことで世界が平和になるという (ありえない理想の) 思想が儒教です。

cf.

修身斉家治国平天下

『大学』


儒教の「ありえない理想」が重要で、これが階級制度になります。徳がある上の人の言うことを、否が応でも徳がない下の人は聞かなければならない訳です。


上の人は文人です。科挙に武術試験はありません。全員が武人 (軍人) ではないのです。

cf.

日本国憲法第66条第2項「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」


なお、「武」の会意は「戈 (ほこ) +止 (あし) 」で、戈をもって歩むさまです。『春秋左氏伝』にある「戈を止むるを武となす」は誤りです。



〈儒教の考え方〉

文治=教化 (または法令) による政治ですから、文人のほうが武人より偉いのです。

文人>武人ですから、文人の言うことを武人が聞かなければなりません。


とはいえ、一文人があまり無茶をやっていると他の文人や武人によって革命になります。

そして、この革命はやってOKだというのが、儒教の考え方です。#本当


「もういい加減どうにかしなければ国が傾いてしまうのですが……」

「上と交替しましょう」

「けれどそれは儒教に反しませんか?」

「上の徳がなければ、徳がある下によって世界は変わるのです」


ただし、下がこんな考え方をしていると、上に捕まってしまいます。ですから、賄賂OKな政治な訳です。もらっておいて反乱するとかまあありえませんから。


賄賂と恐喝は同じところにある。#blackjoke



〈軍事国家〉

一方、日本はというと科挙がありませんでした。根本的にドン底から這い上がるということができなかった訳です。#マクシム・ゴーリキー


平安時代末期 (平氏政権) から、近世まで日本は武家政権です。


武家政権とは聞こえは良いですが、実際は軍事政権です。つい最近まで日本は軍事国家だったのです。


*****


《法律とその背景》

〈憲法〉

日本国憲法の前文に「恒久の平和」が書かれています。軍事国家には戻らないという意味で、第66条第2項にも「文民でなければならない」と書かれています。

cf.

日本国憲法前文「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」


けれど、現在までの日本国は、歪んだ道徳を教えるという儒教の「ありえない理想」を現実にしようとしています。


それでも、日本国憲法で唯一「絶対」と書かれていることがあります。


第36条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

どうしてこれだけに「絶対」と書かれているか知っているかしら?

書いているということはそれまでやっていたということです。「拷問及び残虐な刑罰」を。



〈刑法〉

民法に比べ刑法の項目は極端に少ないです。

(民法は1050条、刑法は264条。)


どうしてでしょうか。


日本は千年近く軍事国家でしたから、そのぶん国家による取り締まりが強力でした。


儒教の考え方で合法な革命をおこされると、国家が転覆してしまいますから、合法に (何が何でも徹底的に) 革命家を処分してきたのです。そうです。「拷問及び残虐な刑罰」を使うことで。


たとえば、プロレタリア文学の代表作『蟹工船』を書いた小林多喜二の死因を知っているでしょうか。


小林多喜二は、当時は非合法だった日本共産党の党員でした。ここに死因は書きません。想像のとおりです。



〈転向〉

当局による強力な弾圧により、転向 (てんこう) する者が多くいました。社会主義者や共産主義者が、主義を放棄 (思想を転向) するのです。この転向という言葉は、転びキリシタン (ころびキリシタン) と関わっています。転びキリシタンについては、また別の機会にしましょう。

cf.

【「沈黙」という話/「東アジアの思想」という話】リスト

https://note.com/ichirikadomatsu/n/n416e39d84b94


こうした国家権力の恐怖は、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に描かれています。

※この本は絶対に読んでおかなければいけない本です。


「思想を変える」んですよ? とても恐ろしいことです。


安易な小説や映画では、愛が世界を変えるように描かれますが、現実に愛だけでは世界は変わりません。


「愛で世界を変えよう」とした人は二千年前に十字架に磔 (はりつけ) されました。#blackjoke



〈実際に何か罪を犯していなければ逮捕できないし起訴もできない〉

こうした歴史から反省して、今の刑法はとてもとても甘くなっています。


なにより、刑法自体が、犯罪者の更生を願っているからです。


そのために、何度も罪を重ねる犯罪者がいるのは事実です。


変な人がいるからと言って、通報しても警察は「実際に何か罪を犯していなければ逮捕できないし起訴もできない」のです。


「疑わしい」「今にも罪を犯しそうだから」という理由では「逮捕できないし起訴もできない」のです。


何故なら、そうやって軍事政権が国家に対して害悪になる者を逮捕して起訴して「拷問」によって証拠の王 (証拠の女王) である「自白」から「残虐な刑罰」を行ってきたからです。



〈冤罪〉

『「実名公表と報道の自由」という話』に書きましたが、情報はすべて公開されないといけません。


実名公表ですが、亡くなられた被害者 (死亡被害者) の実名は公表すべきです。死者に関する情報については、一般的には、個人情報に当たりませんので。ただし、遺族に関する情報は保護しなければなりません。

cf.

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/question03.html

こうした情報はすべて公開されないといけません。行政の判断で一部を隠すことができるのであれば、一個人はすみやかに消されてしまいます。#blackjoke ではなく本当に。


たとえば、無実のふつうの市民の「私」が当局に殺人事件で逮捕されても、亡くなられた被害者 (死亡被害者) の実名が個人情報で保護されていて知らなければ、弁護士は確かめようがありません。


殺人事件なら大きく報道されるでしょうけれど、交通事故なら? 業務上過失致死傷等 (刑法211条) なら報道もされないかもしれません。


拘留中は、家族は一度も「私」に会えません。


裁判は受けられます (憲法37条) が、非公開で誰も傍聴できません (第82条-2) 。

cf.

憲法37条「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」

第82条-2「裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。」


そこに『アラバマ物語』のような正義の味方アティカス・フィンチ弁護士はいません。


冤罪だとしても、証人は証言をしませんし、弁護士も強く出られないのです。何故なら次は自分たちが非公開裁判で有罪が確定するからです。



〈弊害〉

刑法を安易に強めるとこのように、国家による冤罪が増えることになります。それを今は防止しています。


そのために、 (何の罪のない人たちが怯えることになっているとしても) 、変な人がいるからといって「実際に何か罪を犯していなければ逮捕できないし起訴もできない」のです。#blackjoke



〈解決案〉

一番簡単な解決案は、防犯カメラの設置です。治安のよい市町村へ引っ越すのも手です。


他にもいろいろ考えてみてください。



〈更生〉

過って罪を犯した場合はどうでしょうか。あるいは、心から反省して更生している場合は。


刑法が今より強くなると、更生しにくくなります。


懲役は罰ゲームだと考えている人も多いですが、刑務所は更生施設です。

cf.

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律

受刑者の処遇の原則 第30条「受刑者の処遇は、その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。」


行政としては、「更生できる」と考えている訳です。


けれど、日本はどうでしょう。一度逮捕されると、犯罪者扱いです。実際は容疑者ですが、ずっと罪人のように扱うのが現実です。



〈どうしてこうなった〉

「 (無実だとしても) 逮捕されるほうも悪い」という考え方もあります。


「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」という格言があります。


スイカ畑で靴の紐をなおしたらダメですよね。盗んでいると思われても仕方ないです。

モモの木の下で帽子をかぶりなおしてもダメですよね。盗んでいると思われても仕方ないです。


けれど、日本人は極端に罪を恐れますよね? どうしてでしょうか。


今までのことを学ぶと答えがでるのではありませんか?


当局に目を付けられると人生が詰むからです。いつまで軍事国家なのでしょうか。そして、また時計を戻そうとするのでしょうか。


だからこそまた、死刑もなくなりません。犯罪する環境をつくった行政の責任を、犯罪者一人 (あるいは集団) だけの責任にしてしまうからです。


国に言えないからこそ、行政に言えないからこそ、犯罪者だけに死を求めるのはおかしいです。


実際どうしようもない犯罪人も現実にいますけどね。#blackjoke



〈親族間の犯罪に関する特例〉

刑法244条には、親族間の犯罪に関する特例があるのですが、コレちょっと酷いです。

cf.

刑法244条「配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。」


実はその項目が多いのです。


窃盗罪 (235条、244条)

不動産侵奪罪 (235条の2、244条)

上記の2つの未遂 (243条、244条)

詐欺罪 (246条、251条)

背任罪 (247条、251条)

準詐欺罪 (248条、251条)

恐喝罪 (249条、251条)

上記の4つの未遂罪 (250条、251条)

横領罪 (252条、255条)

業務上横領罪 (253条、255条)

遺失物横領罪 (254条、255条)

家族で、これらの罪を犯しても罪は「免除」されます。

※犯罪が「成立しない」ということではない。


前も言いましたが、重大犯罪の多くは顔見知りの犯行です。

(窃盗・恐喝・横領までやれば殺められますよね……。)


刑法ですから、後味は悪いです。



画像2


《参考文献》

駒村圭吾(編)『プレステップ憲法 第2版』 (弘文堂、第2版2018年)

井田良(編)/佐藤拓磨(編)『よくわかる刑法 第3版』 (ミネルヴァ書房、第3版2018年)


#憲法

#刑法

#井田良

#佐藤拓磨

#駒村圭吾


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