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という話  作者: 門松一里
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「贖罪」という話

「贖罪」という話


贖罪とは何でしょうか。贖 (あがない) とは?


贖 (あがない) は、罪などの「かわり」をすることです。その「かわり」自体も意味します。


少し考えてみましょう。


*****


贖罪の贖 (あがない) という字は、償 (つぐない) と似ていますが、償は返すことに主体がおかれています。一方、贖は交換の意味合いが強いです。そのため、罪に関しては「贖罪」というように贖が使われています。


最大の贖罪は、キリストの磔刑 (たっけい、はりつけ) となっています。

(キリスト教の世界では。)


キリスト教の贖罪は、イエスが私たちの罪 (原罪) のかわりに死ぬことで贖 (あがな) われます。そして、三日目に復活します。奇跡です。この奇跡を信じる人はこの世の終わりの裁判で (神の子であるキリストの自己犠牲によって) 裁きを免 (まぬが) れ (救い主キリストによって) 神の国に至ります。


日本ではキリストの十字架の意味が曖昧になっていますが、キリスト教が支配していた地域では今でも十分影響があります。


簡単に説明すると、原罪とは『旧約聖書』「創世記」でアダムが (蛇に唆されたイヴの誘惑に負けて) 神命に背いて犯してしまった人類最初の罪のことです。


神に「食べるな」と命令されていた〈智恵の樹の実〉を食べてしまったので、人は知恵をつけてしまいました。なお、人 (ヒト) の学名は”Homo sapiens”です。ホモ・サピエンスの意味は「知恵ある人」つまり「知恵の樹の実を食べた人」です。


他にも果実があったにもかかわらず「知恵の樹の実」を食べました。



「善と悪の違いを知ることの何がそんなに悪いのか分からんよ」

テレビドラマ『グッド・オーメンズ』で、神の命でイヴを唆した悪魔クロウリーが理解に苦しんでいます。

cf.

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08BH74TMT/ref=atv_dp_share_r_tw_78964c76ab274


「神も頭が悪いだろう。エデンの真ん中に生やしておいて『触るな』って。うーん、なんで高い山の上とかにしない? 月の上とか。神はどういうつもりか疑うよ」

悪魔クロウリーが言うのも無理はありません。神の意図など知るよしもないのですから。


すべてを見通せる存在をラプラスの悪魔というのですが、それも不確定性原理によって否定されました。


罪については前に書きましたので、別の機会にしましょう。



「神様を信じないオレ達科学者がある意味神に一番近い所にいるってのは皮肉なもんだ」

荒川弘『鋼の錬金術師』 (スクウェア・エニックス、2001年) 第1話「二人の錬金術師」

信仰心の篤い科学者も中にはいるでしょうけれど (信じてはいても) 「神が世界の歯車を動かしている」とは論文に書かないです。


近世では、もっとも神に近い存在は時計でした。


こうしたキリスト教の教義は、一種の装置です。簡単に言うと、『ピタゴラスイッチ』のピタゴラ装置です。#joke


天体の動きなど、動く動作があると人は安心する訳です。それを神の御術 (みわざ) とするのもうなずけます。


星の観測によって、大きな星が惑うとこに気づきます。その星を惑う星「惑星」と名づけました。英語の"planet"はギリシア語の「さまようもの」からです。

(「さまようもの」は日本語では諸国を放浪した西行法師なぞらえて「西行」と言ったりします。)


金星の逆行 (西から東に移動する) が有名ですが、どうして惑っているかというと、太陽の周りを巡っているのは地球も金星も同じなのですが、 (見た目には) 追い越してしまうからです。地球が宇宙の中心だったらいいのですが、最近の科学は地動説なので。

(2008年にようやくローマ教皇は地動説を公式に認めました。)



キリスト教の贖罪の自己犠牲は、普通ではできません。父母が自分を犠牲に子を助けるといった簡単な話ではなく、それには〈ザ・ミッション〉があります。

cf.

「沈黙」という話-4【ザ・ミッション】

https://note.com/ichirikadomatsu/n/n4cc5dd18ffed


カトリック教会において、〈ザ・ミッション〉は命懸けの意味があります。言い換えるなら試練であり、業であり、糧です。そしてその〈ザ・ミッション〉は簡単なものではありません。「絶対にできない」〈ザ・ミッション〉が与えられます。


どう考えても何をしようとも何があろうとも〈ザ・ミッション〉は「絶対にできない」のですが、たまたま運良く何か不思議な全く理解できない事象によって説明がつかないのですが、成功するときがあります。神の導きによるものだと解釈されます。

(途中でたいてい殉教します。)



フランスのビクトル・ユーゴーの作品に『レ・ミゼラブル』があります。

ミリエル司教によって救われたジャン・ヴァルジャンの話です。


罪人ジャン・ヴァルジャンはパンを一つ盗んだだけで19年もの長きにわたり牢獄にいました。ミリエル司教はそんなジャン・ヴァルジャンに食事と宿を与えました。けれど、ジャン・ヴァルジャンは銀食器を盗みます。捕まったジャン・ヴァルジャンをミリエル司教は許します。「私が彼に与えたものです。よく帰ってきてくれました。これもあげると言ったでしょう?」と、銀の燭台 (ろうそくたて) をも渡します。


「この銀食器は、あなたがまっとうな人になるために使うと約束しました。そのことを忘れてはいけません。決して忘れてはいけませんよ」

そんな約束などしていないジャン・ヴァルジャンは茫然としますが、ミリエル司教は厳かにそして強く言いました。


「ジャン・ヴァルジャン。あなたはもう悪の虜 (とりこ) ではありません。善のものです。あなたの魂を、私が贖 (あがな) います。私はあなたの魂を、暗い思想や滅びの精神から取り去り、それを神にささげます」

涙うるうるです。


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