終わりの始まり
戦争とはと問われると思いつくのは何だろうか。
第一次世界大戦、第二次世界大戦、大東亜戦争、独ソ戦、黄作戦、ダンケルクの戦い、缶詰作戦、アシカ作戦、レニングラード及びスターリングラード攻防戦及びモスクワ攻防戦、ベルリン陥落......
すべてに共通と言っても過言ではないのは、多大な犠牲が生じ、物ごとが完遂することである。戦争が愚かしいことだと思い多くの世界線は争いをやめた。しかし、この世界線、天上界は違う。数多くの世界よりも技術と文化が発達しようとも国同士の争いは日常茶飯事だ。幾千、幾万の国が亡ぼうと、幾億の国民と兵士が死のうとも、戦争の歩みは止めない。争いが絶えないこの世界、天上界に、ある少年が何もかもを変えてしまう。
少年が生まれ、少年が朽ちるまでの冒険談。
平和は剣によってのみ守られる。 アドロフ・ヒトラー
轟音が鳴り響き各地で火柱が上る。兵士達は切りあい、打ち合う。本来、真っ白の屋敷が敵と味方の血で紅蓮に染まり美しい花木が生い茂る庭園では、山を連想させられる程の死体が積もっている。早くこの地獄から解放されたいと彼は考える。
紅蓮の屋敷で彼と彼の師が、自分達を殺しにくる人達から逃げていた。数名師に襲いかかるものの師は、敵を薙ぎ払い自分達を正門まで連れ行こうとする。自分達と言っても道中、襲いかかる敵から殺され、還らぬ人となっているが。
影から一人の男--否、天空神ゼウスが駆けてくる。ゼウスは、彼に切りかかり彼は、死を悟り目を瞑るが、ゼウスの重い斬撃を師は軽い身のこなしで受け止め目にも留まらぬ速さでゼウスと剣を交わす。両者の剣が当たると周囲に突風が起こり、敵と味方が地面に足を付けるのに必死だ。戦況は次第に師、有利に進みゼウスは、一歩ずづだが、着実に後退していた。
敵味方関係なく誰もがゼウスの敗北を予期し、敵は絶望し、味方は歓喜の声を上げようとした時、彼と師の周りに魔法陣が展開する。体が動かせない。ゼウスもいない。上を見上げると赤い光が見える。光は、屋敷を覆っている業火よりも赤く、圧倒的な力を感じさせる。抵抗も許さない、と。今度の今度こそ彼は、死を悟りゆっくりと目を閉じる。
右肩に痛みが走る。浮遊感にさいなまれ彼は、足元を見ると飛んでいた。飛んでいるといても突き飛ばされたと表現したほうがいいだろう。痛みがした右肩を見ると師が彼を押していたことが分かった。そして、師は、最後に「お前は、生きろ。そして、世界を平和にしてみせろ...」と言い残し神の国、神界の戻らない魔力となった。師、ルークス・ガイゼルは今日死んだ。彼、スフレ・フォン・オクターニ別名ライク・フォン。オクターニは、本当の意味で生きる希望を失う。