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何も迷いはない

 光とグロルが睨み合う。その間には、何人たりとも立ち入ることはできなかった。


「二人とも、落ち着いてください」


 ただ、一人を除いて。


 その唯一の例外、エミリーは、二人の間に入ると、その空気を抑え込む。


 それに、グロルは仕方なく一歩引いたが、光はそうではなかった。


「教えるって、どういうことだ………?」


 先程までの光の疑問。それに対する答えをグロルは持ってると言う。


「はい。私は、あなたが希望する答えを持っていますよ………」


 グロルは全員に優しげな視線を向ける。そこには、殺意など微塵もなかった。


 だが、光は警戒を怠らない。

 そこへ、エミリーが光の肩に手を置いた。


「光さん。矛を収めてください」


「でも………」


「大丈夫ですよ。グロル様も………今でも民を脅かそうという意思はありますか?」


「いいえ?」


 そのあっけらかんとした回答に、光は絶句する。


「勇者さん………誰も、失わない。それが彼………椿くんが決めた選択なのですよ。私は神でも誰でもない………『彼』の選択を、意志を尊重したいのです」


 光は、それでも少し納得しないように


「誰も失わない………それは、誰をも失う選択だったんじゃないのか?」


「光さんも、勘違いしないであげてください。椿さんは神ではありません。神みたいな、ただの人ですよ」


 エミリーは優しく言葉を続ける。


「大いなる力には責任が………など、そんなことは言わなくてもいいのです。椿さんは、今のままが一番いいのですから。もし、駄目なら駄目でいいのです。その時は、私たちが全力を持って止めてあげればいいのですから。そして、椿さんもそれを期待しています。良く言えば………信じてくださってるのです」


 今、椿がどこにいるのかはわからないが、椿のいるであろう方向を見ながらエミリーは言った。


「実際に、できたではありませんか。誰も失わないで、誰もが笑って明日を迎えられる。そんな、未来にもなったのですから………」


 その言葉で、光の涙腺は崩壊してしまった。そして、己の浅はかな言葉を後悔した。


「グロル様も頑張りましたね………」


「はい。まさか、敵まで頼ってくるだなんて………夢にも思いませんでしたよ」


 そこで、グロルは穏やかな笑みを浮かべる。


「お陰で、もう一度彼女に出会えました………」


 その場にいる、誰もがグロルの彼女のことを知らない。だが、大切なことも、既にいないこともわかってしまった。


「ですが、その剣は、消えないのですね………」


 椿から聞いていた、あらゆるものを浄化する具現化系神聖魔法。


「わかりません。まだ、私の中の霧が消えていないのか………それとも、これから先、私が背負うべき十字架なのかも………ですが」


 そこで、グロルは翔を見た。彼と戦った時のことを。


「あなたは、私に対して、一歩も引きませんでしたね………」


 翔の中にあった希望。それを見れて、よかった。


「全く、あんたはずっと迷ってるな」


 翔は最後にグロルにそう言った。


「はい。ですが、ここに来ることには、何も迷いはありませんでしたよ」


 そう言って、背を向けた時、エミリーはグロルの背に、剣が掲げられているのを見た。


 神聖魔法ではない、普通の剣。だが、それを見た時、何故かエミリーの胸は暖かくなったのだった。

元魔王軍幹部 グロル が仲間になった!


グロルは椿の最後の"大聖極光砲"を受けた時に、魔王軍との繋がりはきれてます


そもそも、グロルにこの戦いの後魔王軍幹部を続けるという意思はありませんでした。そして、魔王軍に入る時も、それを条件に入ったので、魔王はそれを承認


どんな形であれ、グロルが負けた瞬間に、魔王軍との繋がりまきれるようになってました


たとえ勝ったとしても、グロルは人類をより良い方向に導くために、魔王軍を脱退してました


魔王としても、普通にグロルを倒すのは少し手間なので、排除するよりも楽ということもあり、普通に受け入れてました


後、いつ裏切るのかわからんやつなんて普通に怖かった

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