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乙女の戦場

クラスメイト女の子五人の口調とかがぶっちゃけわからん


一章のプロローグから出演してた筈なのに、真面に喋るのも今章が始めてという……

「はぁ……はぁ……」


 翼は、手を出しながら、肩で息をする。


 ヴェンヌを全身氷漬けにしたのだ。これで勝てなければどうしろと言うのだ。


「……どう?蕾」


「うん。今のところ大丈夫。まだ完全に倒せた訳では無いから、感知系の技能に反応するけど、粘性体は、その殆どが水分で出来てるはずだし、こちらから刺激しなければいつかは勝手に倒れるよ……」


 奈々の質問に、蕾はそう返す。


 現状、ヴェンヌが自力で氷から脱出する手段はない。だから、このまま放って置けば解決する。


「お?こん中にもアンデッドがいるのか?」


 と、突然冒険者の男が現れた。


「……?どうかしましたか?この敵は倒したので、もう大丈夫ですよ?」


「それ、本気で言ってるのか?本気で言ってるとしたら、お前ら冒険者やめた方がいいぞ」


 その男は、美桜の言葉に対してそう返した。確かに、完全討伐には氷を砕いてトドメを刺す必要がある。だが、それは通常の敵に対してのみだ。


「いや、この敵は……」


「お前らみたいな三流に見せてやるよ。敵の倒し方ってやつをな!」


 琉奈が止めようとするも、それを無視して男は身体強化の魔法と斬撃魔法を口頭詠唱で発動させ、ヴェンヌを閉じ込めている氷を壊してしまった。


「あっ……」


 蕾がそう言葉を零すと同時に、男はバックステップでその場から離れ、翼達にドヤ顔を見せていた。


 だが、翼達からすると、余計なことをしてくれた……と、憤りを感じている。


 そして、氷から開放されたヴェンヌは、氷から出たと認識した瞬間に、男に向かって殴りかかった。


「!?"風天蓋"!」


 突破に展開した風の結界により、ヴェンヌは男に触れる前に吹き飛ばされてしまった。


「なっ!?」


 男は風に反応して、後ろを向くと、そこには先程まで氷漬けにされていた相手が起き上がっているではないか。


「すみません」


 と、驚いている男に向かって翼は


「邪魔なので引っ込んでいてください……」


 とっととどこかへ行けと言った。


 男は、プライドからか、中々どこかへ行こうとしないが、


『アンイナコウトウニデタナ!イセカイジンタチヨ』


 ヴェンヌが再度攻撃を仕掛けてきた。

 そのヴェンヌの攻撃を翼が剣で受け止める。


 翼には先程琉奈が施した"英雄の導き"の効果が残っているお陰で、なんとかヴェンヌの攻撃を受け止めることができるのだ。


(なにか……なにか作戦は……)


 蕾は、この状況を打破できるだけの作戦を必死に考える。


 現状の戦力で相手を討伐できるだけの作戦を。


(ヴェンヌに氷魔法は通用していた。これが上里くんや、リーリエさんや花恋さんなら力技で突破できそうだけど、それをしなかった。ということはしなかった、ではなくて出来なかったって考えても大丈夫)


 蕾が考えている間にも、翼達はヴェンヌの攻撃に対処している。ちなみに冒険者の男はとっくに逃げている。


(【絶対粘性】って言っていたから、スライムなのはあっているはず。ならば、体の殆どが水分で出来ているのもあっているから……)


 そうして、蕾の中で、一つの作戦が思いついた。成功率は決して高くなく、成功しても、それが通用するのかはわからなかったが、


「みんな!」


 作戦を思いついたと合図をした。


「琉奈!全員に強力な支援魔法をお願い!」


「わ、わかった!」


「奈々はヴェンヌがあまり動かないように牽制しておいて!」


「りょ、了解」


「翼はとっておきの火属性魔法を!」


「氷じゃなくて大丈夫なの?」


「大丈夫!そして美桜!」


「な、何!?」


「美桜は翼の魔法が当たる直前にヴェンヌごと結界で閉じ込めて!」


「え、えー!?それはちょっと……」


「頑張って!"挑発"!」


 蕾は、作戦の概要を説明せずに、そこまで言うと、ヴェンヌに"挑発"を仕掛けた。


 "挑発"は、相手の攻撃の意識をこちらに向かわせるだけの魔法だが、今は、蕾が標的にされることに意味がある。


「"英雄の加護"!蕾、頑張って!」


 琉奈の支援魔法を受けて、いつもよりも速く走り回る。


『コノ……チョコマカト……キサマラテイドガイクラカンガエヨウト、ワレニショウリスルコトハフカノウナノダ!』


「そんなの、やってみないとわからないでしょ!」


 ヴェンヌが離れているにも関わらず、殴るモーションをとった。


 咄嗟に未来感知で予想した蕾は、すぐにその場から回避する。すると、先程まで蕾が立っていた場所に、拳が通り過ぎた。


「ちょっと!このタイミングで新技なんてださないでしよ!」


 そして、再度殴ろうとするヴェンヌの顔に、ナイフが刺さった。


 奈々が妨害してくれている証拠だろう。


『サキホド、ナニカヲサケンデイタガ、キサマデハワレニハカテン!ユイゴンハ、ナイカネ?』


 どこまでも、傲慢に。自分が負けるはずがないと驕っているヴェンヌに、蕾は言い放つ。


「あなたの敗因はその主人に協力したことじゃない。私たちを、相手にしたことだよ!」


 その瞬間、蕾は足元に"風爆"を発動させ、その場から無理矢理離脱する。それをすぐにヴェンヌは追いかけようとしたが、


「"行くよ!もうMP的に余力がないけど、"極滅の業火"!」


 翼が放った最上級魔法。先程"終焉の永久凍土"を使ったおかげで、MPは枯れ果て、今使ったことでMP回復薬も心許ないが、今はそんなことを言ってる場合ではない。


 "極滅の業火"がヴェンヌに直撃しようとし、


『フンッ!ソンナモノ……』


 ヴェンヌは、その場から離脱しようとしたが、


「"天蓋"」


 美桜の結界により、その場から離れるという選択肢は無くなってしまった。


『ナ!?』


 よって、"極滅の業火"の直撃を受け、


「!?美桜!結界をもう1枚!」


「ええ!?"天蓋"!」


 上からもう一枚結界を張り、ヴェンヌは、業火に焼かれ、水蒸気爆発を起こした。


 本来、水を、しかもスライムを燃やしたところで水蒸気爆発は(多分)起きないはずだが、蕾が離脱する際、強敵が現れた時に吹き飛ばせるように椿に頼んで、水素の入った瓶と、粉塵爆発用に小麦粉が入った瓶を用意してもらっていたのだ。


 そして、今回は水素が入った瓶をヴェンヌの傍に置いてから離脱。そして"極滅の業火"で無理矢理水蒸気爆発を引き起こしたのだ。(そういうことにしてください……)


 水蒸気爆発は無事に発生し、ヴェンヌは木っ端微塵となり、結界は一枚目が木っ端微塵となり、二枚目もヒビが入り、今にも割れてしまいそうだ。だが、


「「「「「か、勝った……」」」」」


 五人の少女は、その場で勝利の余韻に浸ったのだった。

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