序章
遅刻遅刻!
そしてギリギリセーフ!
だから許して?
椿と皇帝の話し合いによって、平和的に同盟締結が約束された後、エミリーと皇帝が正式に契約を交わした。
その後、椿は帝城内に転移魔法陣を設置。これで、いつでもエスポワール王国と往来できるようにしたのだ。
そうして、2つの国がより仲良くなり、共に戦える環境を椿はセッティングした。
ちなみに、事の顛末を聞いた花恋とリーリエは、自分たちが選ばれなかったことに、嫉妬するのかと考えていたが、そんなことはなかった。
「おめでとうございます。エミリーさん」
「よかったね。エミリー」
と、祝福モード。椿としては、ここで2人に離れられるのも悲しいので、良かったといえばよかったのだ。
「まあ、これでよかったのかもな………」
今現在、椿は珍しくこの世界の地図を広げている。
今のところほとんどの国を周り、九つの試練を受けてきた。
「エスポワール王国は、まだ全部周りきれているわけではないが………」
それでも、残りの試練も少ない。あと3つだった気がする。
「ディグダチュール帝国にも、1つ以上あるはずだ………」
九つの試練は、世界中にバラけさせた試練。バンボラが課した試練なのだ。
「ならば、次に向かう国は決まったな」
ディグダチュール帝国にある試練を攻略した後に訪れる国は決まった。
その国は
「獣人国アルテナ、だな」
次なるターゲットに狙いを定めた。
□■
場所は変わっる。
その場所の空気は禍々しく、とても人間が耐えられるような場所ではなかった。
そして、そんな場所の中でも一層禍々しいオーラを放つ建物があった。
そしてその建物の中で、現在数人の悪魔族が走っていた。
「報告、報告します!魔王様!」
そう言って、悪魔族の男は、部屋の扉を開けた。
「おお。なんだ?また幹部が殺られたか?」
もはや冗談とも言えないジョークに、悪魔族の男は首を縦に振って肯定した。
「そうか………チッ!これで全滅か」
場所は魔界。悪魔族が生息している世界だ。
そして悪魔族のトップである魔王は、またもや幹部が殺られたことに、苛立ちを覚える。
「くそっ!神の差し金か?あいつが今になってこんな真似を?」
数千年も続いた神と魔王の戦争に、ついに終止符を打ちに来た。魔王はそう思案する。
「魔王様。現在魔王軍幹部の4名を倒した人物は、同一人物であることが確認されています」
報告に来た悪魔族から、魔王は1枚の絵を貰う。
「これは………?」
「犯人の男の似顔絵です」
その絵に描かれている男の顔は、一見どこにでもいる普通の男に見えた。
だが、魔王はそれになにかを感じとり、とある水晶を使う。
見通す水晶と、そう名付けられた水晶に。
発動条件こそ面倒なものの、それさえ達成すれば、なんでも見通せる水晶。それで椿のことを見て
「………ほう」
幹部4人との戦い。圧倒的な勝利。最後のシュラーゲンとの戦いに関しては、一方的とも言える戦いだった。
「まさか、な」
そして魔王の目に止まったもうひとつの戦い。
「神の下僕とも戦っているとはな………」
つまり、この男は降りかかる火の粉を払う感覚で、魔王と神の最高戦力を削っているのだ。
これでは、魔王と神が、まるで道化のようではないか。
「久々に、暴れるか………」
そして、魔王は久しぶりに戦う気を見せた。
ということで、四章はここで終了です
最後の幹部との戦闘が思ったよりも一方的だったり、最後の方の更新がくっそ遅かったりして申し訳ございません
残すは5章と6章だけ。残り少なくなってきましたが、最後まで椿たちの物語をよろしくお願いします
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