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もう終わりか?

 限界突破と禁域解放の両刀使い。それは今まで誰もしてこなかった技だ。


 例えば今までの魔王軍幹部。リボーンは純粋な悪魔族故に限界突破は使えなかった。

 ソルセルリーはトリスト王子の身体を乗っ取ったが、あれはいわば憑依だ。魂はソルセルリーであるため、使えるのは禁域解放だけ。限界突破は憑依した時点で技能から消滅されている。

 グロルは怪人族に体を改造された。故に種族は既に人間ではなくなったので禁域解放が使えなくなった。


 だが、ヘクトール皇子はどうだろう。なぜ魔王軍幹部シュラーゲンが同化することを許したのかは不明だ。だが、それでもヘクトールの中には2つの魂が入り混じっていることになる。

 2つの魂が1つの器に入り込んだ。しかもそれが別の種族同士。それが限界突破と禁域解放の両方の技能を使うという奇跡に繋がったのだ。


「見ろ!この圧倒的な力を!俺はもう誰にも負ける気がしねぇな!」


 そう言うヘクトールの威圧感は、確かにこの世界の人間どころか、異世界から召喚された勇者である光すら怖気付くだろう。だが、


「なんだ、その程度か」


 椿には通用しなかった。


「その程度、だと?」


「そうだ。いくらお前が限界突破と禁域解放の2つを使おうが、他の幹部と比べて多少変わった程度だろう。そんなもの誤差でしかない」


 椿にとってはグロルの方が厄介だったと言えるだろう。


「そんな無駄口は………」


 だが、バカにされたと感じたヘクトールは


「俺の全力を受けてから言え!」


 無策に突進してきた。


「うおおおおお!」


 椿の顔面に向かって打ち出される拳。その拳を


「はっ!」


 椿は真正面から打ち返した。


「ぐっ!」


 拳の威力も速度も椿の方が上。故にヘクトールが苦悶の表情を浮かべるのは当然。ヘクトールが勝てる道理はなかった。


「みと、めるかぁ!」


 そうして至近距離から足をあげて顔面に蹴りをはなとうとしてくる。


「ふん」


 だが、椿はそれを蹴りで打ち返す。


「まだ、まだあああああ」


 そうして足を地に置くと、回転して回し蹴りを放った。


「おっそ」


 その足を椿は手で受け止める。


「な!?離せ!」


 足を掴まれたことによる不便さ故にもがいて椿から逃れようとヘクトールはもがき続ける。


「はいはい。わかったよ」


 ヘクトールが鬱陶しくなった椿は丁度離したら後ろに倒れるタイミングで手を離した。


「うわっ!」


 勿論反応できるはずも無くヘクトールは後ろに倒れてしまう。

 なんという醜態だろう。

 折角力を手に入れたのに弄ばれているだけではないか。


「この、やろう!」


 その事実に直ぐに気がついたヘクトールは反撃をするために立ち上がり、


「ふんっ!」


 椿が横腹に向かって側面から拳を叩きつけた。

 本来ならそのままヘクトールが吹き飛ぶはずだったが、今回は少し違った。

 椿はヘクトールの横腹を震源として地震を空間に引き起こしたのだ。


 ヘクトールの横腹あたりの空間がひび割れ、爆発する。


「があっ!」


 地震の衝撃をもろに受け止めたヘクトールは、そのまま至るところから血を流しながら床に倒れる。


「がのやだう」


 既に呂律も上手く回らなくなってきたヘクトールは、それでも足掻き、魔力を込めた拳を椿の顔面に向かって放とうとした。


「"重力拳(グラビディ・パンチ)"」


 しかし、ここで手を抜かないのが椿スタイル。重力加重を施した拳でヘクトールの動体を殴りつけた。

 自分の渾身の攻撃を避けられ、さらに重い一撃を与えられたヘクトールは無様にも地面に這い蹲る。


 そんなヘクトールの前に椿は立つと


「で?もう終わりか?」


 そう、問いかけた。

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