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ディグダチュール帝国

謝罪

すごく遅れました

明日は時間通りにしますのでするしてください!

「エミリーさん!着きましたよ!」


 花恋が走ること数時間。二人はついにディグダチュール帝国に辿り着いた。


 現在の時刻は夕刻。そろそろ日が沈み始める時刻だ。

 森の中で二人で話した後、テントの中で仲良く就寝して朝早くからエミリーが花恋の背に乗って出発。


 この道のりをたったの二日で踏破する花恋もさすがだが、何よりも


「………………………」


 寝起きから許容量を少し超える圧倒的暴風をその身に受け続けたエミリーも讃えるべきであろう。


「ご、ごめんなさいエミリーさん!今回復魔法をかけますから!」


 花恋は慌てて回復魔法を行使すると、エミリーの目に光が戻ってきた。


「ぁ………あ!すみません花恋さん。ありがとうございます………」


 意識が覚醒したエミリーは、謝りながらすぐに花恋の背中から降りた。


 今現在、花恋とエミリーの前には壁がそびえ立っている。

 ディグダチュール帝国の首都を守るための外壁だ。これを登れる人物なんて世界に数人しかいないだろう。


「では、どうしましょうか………登りますか?」


 だが、花恋はその世界に数人しかいない例外の一人であった。


「………花恋さん。一言目が壁を登るだなんて、椿さんに似てきましたね」


 エミリーはジト目で花恋を見、花恋はその視線に気がついて目を逸らす。


「それに、態々侵入しなくてもきちんと正規の入口があるので大丈夫ですよ」


 何度か帝国に訪れたことのあるエミリーはそのことを知っていたので、花恋の手を引っ張って正式な入口まで辿り着いた。


 ディグダチュール帝国は、基本的に人の出入りが少ない。

 理由は単純明快。外に出る必要があまりないからだ。


 住民は態々危険な外に出ようとしない。出るとすれば帝国の兵士か冒険者だが、兵士なら国の見回りを目的とし、外に出ない。鍛えるのであれば中でも充分だからだ。


 冒険者は外には出るが、最初の低ランクの内は外に出ても無駄死にするだけだとわかっているので、十分にステータスを上げてから外の依頼に行く。

 そして高ランクの冒険者になると、一度の依頼でかなりの額を稼ぐことができるので一度依頼で外に出たあとは金が無くなるまではあまり外に出たがらない。

 それが帝国だった。


「身分証明となるものを提示してください………」


 入口では、いかにもやる気のなさそうな兵士が欠伸をしながら門番をしていた。


 エミリーはそれにいい顔をしなかったが、花恋は集落を出て始めて訪れた街を思い出していた。


「はい。わたくしのはこれで………」


 エスポワール王国で発行した冒険者カードを花恋は提示する。エミリーも、ルリジオンの冒険者ギルドで発行しておいた冒険者カードを提示し、許可を貰って街に入った。


「それで、エミリーさんはどうやって皇帝のところに?」


「皇帝は基本的に訪れる人に寛容です。他国の重要人物がお忍びで訪れても不満そうな表情一つとせずに対応してくださる方です」


 そもそも、帝国は強さこそが正義。皇帝はそういうところもあり、政治こそ案外きちんとしているが、国のトップとしては足りないものばかりだ。


「善は急げとも言います。花恋さんには申し訳ないのですが、今から一緒にお城まで同行してくれないでしょうか?」


「もちろん大丈夫ですよ。わたくしも護衛として来ている以上、何もせずに帰る訳にはいきませんしね」


 ということで二人は仲良く皇帝がいる城まで。

 道中、不良に絡まれそうになったが、面倒に感じた花恋が魔力を放出して威嚇。花恋とエミリーを狙っていた不届き者はあっさりと気絶してしまった。


「ごめんください。急ぎの要件で来ました。至急ダクデュール皇帝と直接話しをさせてくれませんか?」


 エミリーが城の前に立っていた二人の門番にそう話しかけると、一人はそのまま立っており、もう一人は奥に引っ込んで行った。

 おそらく魔法道具(マジック・アイテム)で皇帝に連絡するのだろう。


「ダクデュール様から許可が降りました。さぁ、こちらへ」


 花恋とエミリーは扉が開いたので、門番に先行し、その後ろに着いて行った。


「さて、ついに対面ですね………」


 花恋は少しだけ嫌な予感を孕ませながらエミリーについて行った。

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