そうして結ばれた新たな絆
「はぁ〜〜〜やっと帰れる」
現在、椿は殺戮国改め、傭兵国トゥレチェリイ内の女戦士族の暮らす要塞の屋上に座っていた。
天使族が現れてはや3日。女戦士族とも繋がりを持っておいて悪いことはないと判断した椿は、国のトップの代替わりを見届けサンと話しをするために国を出ずに待っていたのだが、想像以上に時間がかかっており、軽く後悔していた。
「まぁまぁ、もう終わったんだからいつでも帰れるでしょ?」
そう言って椿の隣に腰掛けたのはリーリエだ。
リーリエもサンを待っている椿を一緒に待っていてくれていたのだ。
「でも、これでやっと終わったな!」
そして椿は立ち上がって魔法の構築を始める。
「さてさて、花恋やエミリーも寂しくしてるだろうし、はやく帰りたいな」
独り言を呟きながら少しずつ確実に転移魔法の術式を完成させていく。
「もう、隣に女の子がいるのに別の子の話?」
「ごめんごめんって。今回のMVPはお前だよ」
そう言って椿がリーリエの方を振り向くと、後ろにサンの姿が見えた。
「?どうしたんだ?サン………」
突如として椿たちの元に訪れたサンは、そのままリーリエの隣まで歩いてきた。
「いや、何。少し礼を言おうとな………」
そう言って、サンは頭を下げた。
「ありがとう。あなた達がいなければ、我々の願いも叶えられなかった!」
それはサンからの心からのお礼。
サンはわかっていたのだ。自分たちでは武器を持っていたとしてもイズモにはかなわなかったということを。そして、たとえイズモを倒したとしても、あの強力な天使族にはもっとかなわなかったことを。
「俺はなにもしてねぇよ」
だが、椿はその礼を断る。
「だが、リーリエ殿がこの場に来てくれたのはそもそも………」
「それなら、イズモが俺を召喚しなければ、俺はこの国に来なかった。イズモは勝手に暴れて、勝手に自滅しただけ。そう思っとけ」
サンはリーリエ方を見ると、リーリエも優しく頷いていた。
サンは静かに涙を流すと、その場に跪いた。
「ありがとう!何かあれば、我々は必ず、力を貸す!」
そのタイミングで、丁度転移魔法の術式構築が完了した。
「おう!じゃあ、また会おう!」
「それまで、元気で!」
椿とリーリエはそれぞれそう言うと、手を繋いで、転移して行った。
その光景を見ながら、サンはもう一度、深く頭を下げたのだった。
□■
「やっと帰ってきた!エスポワール王国!」
転移した椿達は、念の為に王都の外に転移していた。
「トゥレチェリイに居たのは四日程度だったけど、ルリジオンも挟んでたから随分長く帰って来てなかったよね」
リーリエはルリジオンからトゥレチェリイへの行き道にエスポワール王国の領土は通過したものの、王都には近づかなかったので、それなりに懐かしさを感じていた。
「さてと、早速王城に帰るか」
そうして意気揚々と帰った二人だったが、
「すみません。上里椿様、リーリエ様………」
王城に辿り着いた際に聞いたメイドの報告によって
「エミリー様は、帝国に嫁がれてしまいました」
事態は急変するのであった。
はい!
ということでこれにて3章は終了です
3章は予定通りそれほど長くなかったので、個人的にはあっという間な気もしています
ですが、途中からはストックが再度消滅し、眠い目をこすりながら書いていたので、何書いたのか案外覚えてなかったりもしますが笑
3章終了。それに伴い、物語も折り返し地点に突入しました
最近は読む人も多くなってきてくれて、感謝感激です!終わる頃にはもっと増えてくれていたら僥倖の極ですね
3章は主にリーリエにスポットライトを当てたつもりでしたが、どうでしょうか?スポットライト、当たってましたか?正直2章以降はプロットも存在せず、精霊憑依なんて技もなかったのですが、存外続きをかけていることに驚愕しています
次回4章はぶっちゃけるとエミリー編です
椿が花恋に行っていた自分の答え。それも4章で出すつもりなので、楽しみにしていてください!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
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ではまた!




