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あなたはどこ?

 サン達は襲いかかってくるアマゾネス達を返り討ちにしながら先へと進んでいく。


 本来、サン達では少人数という理由もあり300近くのアマゾネスを倒すことはできない。いや、100人も無理だろう。


 だが、今のサン達は武器を装備している。剣、槍、斧。

 近距離戦も行いながらも、遠距離から隠れていた同士が敵へと矢を放つ。


 拙いながらも連携が全くない相手にはこれが刺さった。


 しかも相手は全員素手。幾ら気功術が強くとも、同じく気功術を用いるものが武装すれば、これほどの脅威になるということを教えてくれた。


「侵入者だ!殺れ!」


 何人ものアマゾネスが襲ってくるが、先頭を走るものは矢に射抜かれ、それ以外は剣や槍によって殺されていく。


 サン達は、元々日常的に殺しあっている国の住民だ。殺すことに忌避感はなかった。


「さぁ、進むぞ!我々の新たな一歩のために!」


 サンが仲間にそう言葉を投げた瞬間、外から膨大な量の魔力を感じた。そんなことができるのは、サン達が知る限り、一人だけだ。


「頼んだぞ、リーリエ殿」


 一方その少し前、リーリエはイズモと対峙していた。


 リーリエはイズモのことを慎重に観察する。初対面の、得体の知れない敵。なにをしてくるのか分からないからだ。


 リーリエは、気功術というものは知っていたが、それがどんな技なのかまでは完全な理解には及んでいなかった。


 一方、イズモもリーリエのことを最大限に警戒していた。リーリエは背から羽を収納していない状態。つまり、誰がどう見ても妖精族なのだ。


 古来より、女戦士族の天敵は妖精族。接近戦最強と言われる女戦士族にとって、遠距離戦最強という呼び声高い妖精族は、対局にして天敵。本来ならば、勝てる要素が見つからない。


 だが、イズモは肌で感じていた。リーリエは、椿よりは弱い、と。


 それは本能故の判断だった。圧倒的強者を見てるがゆえの傲慢。それがイズモの弱点となる。


「随分と、暴れてくれたな?妖精族の娘よ………」


 イズモのその瞳には微かな殺気が宿っていた。

 だが、それは同胞を倒したことに対する敵討ちの精神ではない。純粋な、興味だった。


「………」


 だが、リーリエはイズモの質問には答えずに、静かに万能感知を発動させる。無論、椿を見つけるために。


 だが、リーリエの万能感知では、幾ら探しても椿の姿を捉えることはできなかった。


「ほれ、よそ見をしてると、殺されるぞよ?」


 凶悪な笑みを浮かべながらイズモはリーリエの頭上から蹴りを下す。

 だが、それをわかっていたかのようにリーリエは華麗に回避をする。


 リーリエは静かに目を開くと、イズモの姿を捉えて


「ねぇ、椿はどこにいるの?」


 何も感じていない、表情のない目でイズモに問いかける。


「椿………?あぁ、あの男か。あやつならば、今朝この国から出ていったぞ?」


 あまりに速い出国に、リーリエは思わず絶句する。椿なら、もしかしたらなんやかんやこの国に残るかもしれない。気功術を習うかもしれないと、そう考えていたのに、予想は外れてしまったのだから。


 最も、椿が速くみんなに会いたくて………という理由ならば、リーリエも喜んだだろう。


「わかった。じゃあ、私はもう行くから………」


 椿がこの国から去ったのであれば、リーリエがここにいる理由はないはずだ。

 故に、はやいところ帰ろうと思案したのだが、


「まあ、待たれよ………我とお主の勝敗がまだ決してはおらぬぞよ?」


 瞬間的に移動してきたイズモが、リーリエの顔面に蹴りを放った。

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