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第五話 シーフィルド家の人々

 新しい世界に生を受けて八ヶ月

 やっとはいはいが出来る様になりました。

 エリーお姉様はもうすぐ一歳。

 今日も相変わらず保育室代わりの部屋をはいはいで爆走? しています。

 私は流石に程々のスピードでのはいはいです。


 今日は天気が良く暖かいので、お母様達とメイドさんとお屋敷の中をお散歩です。

 私たちはそれぞれのお母様に抱っこされています。


 保育室代わりのお部屋はお屋敷の二階にあり、二階はそれぞれの家族のお部屋だそうです。

 将来は私たちのお部屋もそれぞれ二階に出来ると、リサお母様が言いました。

 ……エリーお姉様が不満なお顔です。そして私の腕をぎゅっと掴みました。

 もしかして、別々ではなく一緒の部屋が良いのかな?


 一階に降りると、大きなロビーが広がります。

 お風呂とか食堂も一階にあるそうです。

 

 「「「奥様方、おはようございます!」」」


 メイドや使用人の方がすれ違うと、お母様方に挨拶をします。

 お母様達はご苦労様と返します。

 貴族のお屋敷の雇用主と使用人の関係ですが、随分アットホームな感じです。

 特にアンお母様は、いつもニコニコしています。

 

 お外に出ると、大きなお庭に沢山の花木があります。

 庭師さんが丁寧に剪定しています。

 

 「このお屋敷は『花の屋敷』と言われていて、常に色々なお花が咲いているのよ」

 

 私がじーっとお花を見ていると、アンお母様が私に語りかけました。

 今は菜の花が庭一面に咲いています。

 桜の花はもう少し後かな?

 エリーお姉様はお花よりも屋敷の裏側から聞こえてくる音に興味津々です。

 リサお母様の腕を引っ張りながら、音のする方へ指を指しています。

  

 「「えい! えい!」

 

 屋敷の裏側に回ると、二つの威勢の良い声が聞こえてきました。

 お兄様達が、剣の訓練をしていました。

 剣とってもまだ木剣で、型の訓練です。

 ……エリーお姉様の目がキラキラしているのは気のせいでしょうか。


 「二人とも頑張っていますね」

 「「はい、ありがとうございます、アンお母様」」


 訓練が休憩になったタイミングで、アンお母様が二人に声をかけました。

 汗を拭きながら、お兄様達はアンお母様にニコリと笑いながら返答しています。

 ……エリーお姉様がいつの間にかリサお母様の腕から抜け出し、はいはいでお兄様達の木剣に近づこうとしています。


 「エリー、また目を離した隙に……あなたにはまだ早いのよ」

 「あうー」


 エリーお姉様が木剣を触ろうとしたところで、リサお母様が抱き上げました。

 エリーお姉様は木剣を触れなかった事に不満そうです。


 「エリー、もう少し我慢な」

 「大きくなったら、一緒に訓練しような」

 「あい!」

 

 お兄様達がエリーお姉様に大きくなったら一緒にやろうというと、お姉様は元気よく返事をしています。

 それを見てリサお母様が苦笑しています。


 「エリーのおてんばは、一体誰に似たんだか……」

 「あら、わたしは誰に似ているか知っていますよ」

 「……アン様……」


 リサお母様が苦笑したところにアンお母様が笑顔でツッコミを入れたら、リサお母様はますます渋い顔になりました。


 「奥様方、皆様。お昼ご飯のご用意が出来ました」

 「あら、もうそんな時間なのね。二人ともちゃんと手を洗ってくるのよ」

 「「はい!」」

 「あい!」


 メイドさんがお母様達にお昼ご飯の準備が出来たと呼びにきました。

 アンお母様がお兄様方に手洗いをしてから来る様に言うと、何故かエリーお姉様も元気良く手を上げました。


 「エリーまで手を上げて……一体誰に似……アン様、こっちを見て笑わないで下さい」

 「うふふ」

 

 リサお母様が再び苦笑し、アンお母様がそれを見て微笑んでいます。

 シーフィルド家は、今日も平和です。

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