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プロローグその2 天界からの依頼

「問題は2つありました。一つはその世界の管理者が転生者に余計な力を与えた事、そして転生者がその世界で好き勝手に色々な事をした事です」


 深刻そうな表情で語り始めました。


「その世界は魔法文明が発達していますが、文明自体は少し遅れていました。前任者は文明を発達しようとして転生者を呼びました」

「転生者は天寿を全う出来なかった人でした。その為に、その世界で生きる為に必要以上の能力を与える様に要求をしてきました」

「我々は、転生者に対して必要以上に大きな力を与えることはありません。しかしながらそれは無視され、転生者は大きな魔法の力を得る事となりました」

「残念ながらその世界の管理人はお調子者で、深く考えずに転生者へ力を安易に与えてしまった様です」

「転生者は次第に大きな力に溺れていくようになり、転生された時の使命を無視し独断的に力を使う様になりました」

「転生者はその世界の全てを手に入れようと、「我に従わなければ全てを滅ぼす」と宣言し、逆らうと大きな魔法の力を行使するようになりました」

「結果、本来は世界を豊かにするべき力が、その世界を滅ぼす手前まで使われる事になりました」


 何となく、理解は出来た。

 今の自分の記憶にも、力を持ったが為に世界大戦につながった物があった。

 自身の戦場での苦悩や悲惨な思い出。

 戦後の荒廃した世界を。

 戦争は、勝者にも敗者にも悲劇の側面が大きかった事を。


「最終的には、その世界の管理者を解任して我々がその世界に介入し、転生者はその世界から存在を抹消されました」

「本来の転生者の仕組みを逸脱した結果は、他の世界にも示しがつかないのもあります」


 転生者は今はいないんだ、それは安心した。


「我々が出来るのは転生者をどうにかするまでで、その世界そのものには関与できません」

「少しづつ復興していますが、まだ荒廃した世界が広がっています」


 確かに戦後は復興するのに時間かかりそうだな……

 

「我々の尻拭いをお願いする形で申し訳ないですが、どうかあの世界の復興に力を貸してください」

「ただし申し訳ないのですが、前の転生者と同じ様にならない様に記憶の一部は思い出せないようにさせていただきました」


 だから、自分の名前とか思い出せないのか。

 でも過去の記憶は残っている。


 戦後、生きるために様々な仕事についた。

 あの頃は生きる事に必死だった。

 今もその世界の人はそんな思いをしているのかな……


 気がつくと、うなづいていた。

 

「ただ急いで全てをどうにかしようとせず、自分の出来る範囲でゆっくり進めてください」

「我々も必要以上の力を与える事はできませんが、可能な限りの協力は行います」


 それは助かる。

 流石に何も出来ないのは困るし。


「こちらの不手際を押し付けるお詫びに、何か一つ能力を授けたいと思います。あなたなら力に溺れる事はないでしょう」


 せっかくのご厚意だ。前の転生者の様にならない様に気を付けないと。

 何がいいかな……


 例えば、一人では何も出来ないけど、複数人なら出来る事も増えるから、そんな縁の力は頂けますか?


「なるほど…良い縁に恵まれるように、加護を与えましょう」


 可能なんだ、ありがとうございます。


「そろそろ時間となります。これから間も無くあなたは新しい世界に転生されます」

「あなたの新しい人生に幸多きことを」


 目の前が眩しくなり、意識が無くなってきた。

 これからどんな世界が待っているのだろうか。

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