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何か異様なモノが居る

久々の深夜の外出です。

 深夜。

 死角の道を辿って物干し場に出る。


 元々はここで光学迷彩を発動したかったんだけど撮像装置が邪魔な位置にあるから止めた。

 光学迷彩は結構幅をとるのが欠点だ。その他にも中から外がほとんど見えないとか魔力感知や霊視もほどんど出来なくなるとか色々欠点は多いんだけど。なんとか出来ないかな。


 仕方ないので死角の道から垂直ジャンプ。空中で光学迷彩と紙飛行機を展開し男子寮に向かう。出る分には簡単だけど帰りはちょっと大変かも。死角にきっちり飛び込まないとマズいからね。まあ後で考えよう。


 男子寮に移動、そのまま壁に張り付いて壁側だけ迷彩を解除。中の様子を窺う。




 どうやら四天王は今日は自室にいるようだ。魂は昼間見た時と変わりない。

 全然動かない。寝ているのかな。




 昨日はこの時間四人で集まっていて、そして朝には全員の魂が変形していた。

 彼らは消灯時間後に集まって何かしていた、もしくはされていて、そのせいで変形したんだろう。

 でも今日は何もせず部屋で大人しくしているようだ。




 ふと、オーレイの近くに何か異様なモノが居るのに気付いた。


 それは魂のようなもの。ガンネー様の木に宿っているのと比べてもずっと弱い。近づかなければ分からなかっただろう。

 魔力も無い。

 これだけの特徴なら単なる消えかけの幽霊だ。校舎内でオーレイにそんなのを感じたことはないから地縛霊かな。いや幽霊が“単なる”ってことは無いんだけど。


 問題は魂の形だ。


 魂の形は個人個人でかなり異なるけど、人っぽい形とかクマっぽい形とかの大雑把な傾向がある。因みにガンネー様の木に宿っている魂は人っぽい。西大市場で見た地縛霊の皆さんも全員人っぽかった。逆にクマオの魂はクマっぽかった。クマオって人外転生じゃないのかな。


 しかしオーレイの部屋にあるソレは人っぽくもクマっぽくもない。それどころか今まで見たどんな魂とも異なっている。


 霊視で視えるからには魂なんだろうけどとにかく異質なのだ。


 例えるならダ・ビンチの写実的な絵画「最後の晩餐」の中に一人だけピカソのあの何とも表現しづらいモザイクのような人物が紛れ込んでいるような、そんな違和感を感じる。


 魂が変形する原因はこれじゃないかな。薬物とかが有るかどうかは分からないけどこのナニカは相当怪しい。


 暫く観察してみたけどその異質な魂?は一か所に留まっていて動かない。オーレイの魂も変形しない。

 もちろん他の三人のもだ。


 やっぱり複数で集まっている時じゃないと何も起こらないのかな。




 待っているうちに別の所で動きがあった。


 オーレイの護衛メイドだ。

 魔力を残したまま、彼女の魂が動き始めたのだ。


 こう書くとオカルトっぽいけど何のことはない、魔力偽装の魔導具を置いたまま自分の魔力を隠蔽して行動しているんだろう。

 その証拠にかすかに本来の魔力が魂にくっついているのが見える。




 彼女に魔力を隠蔽した別の人が近づいた。

 しばらく二人で情報交換でもしているみたいだったけど、その後新しく来た方が「護衛メイド」の魔力の所へと移動した。入れ替わったのだ。


 交代した護衛メイド役の人は地下を通って二階の物干し場に出た。そこから壁伝いに地表に降り立ち、建物を離れた。

 なるほどこれが正規の死角の道か。やっぱり撮像装置の死角はわざと残してあるんだろう。




 彼女はどんどん離れて行く。


 追いかけるべきかな。

 四天王の方は今日は何も起こらないような気がする。

 よし、追いかけよう。

 というか監視しやすい位置へと移動しよう。このままだと光学迷彩の死角に入ってしまう。




 そうして魔力感知と霊視で観察した結果、建物から大分離れた所に外へと続く地下通路があることが分かった。彼女は地下に降りてそのまま学園の外へと出て行ったのだ。


 オーレイはこうやって時々人を入れ替えているのか。何の為かは知らないけど。




 その後、しばらく四天王と謎の魂を観察したけど何も起こらなかった。

 魂の変形は毎日起こるものじゃないし今日はこのぐらいで切り上げよう。


 その内学園の外へと続く地下通路の方も調べたいな。




 その後、問題なく女子寮に戻れた。物干し場に戻るのに護衛メイド役の人が通ったのと同じルートが使えた。男子寮も女子寮も同じ構造なんだね、きっと。




 翌日。

 四天王の魂は変わっていなかった。昨日は結局何も起こらなかったという事だ。

 もちろん謎の魂もオーレイにくっついてはいなかった。


 これからしばらくは監視を続けよう。変形する瞬間を見ればあの異質なナニカが原因かどうか分かるかもしれないのだ。何が出来るかはまだ分からないけど。


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