第3回 《あるべーの疑惑の散歩》
~あるちゃんとべーたそ(本人がそう呼んでほしいそうなので・・・)は、夜中の12時に外に飛び出し、散歩を始めたよ!~
ある「私、やっぱ夜が苦手なんだわ」
べー「でしょうね、呼吸よりも光合成でパワーが発揮されるから、それは致し方ない」
ある「あと、なかなか気づかれにくいというのもね・・・」
べー「僕はそれほど辛くはないかな、むしろ日中のほうが周りに怖がられるのよね」
ある「ボディがね、筋骨隆々で強面ならもうなおさらでしょ?」
べー「それもまあ、そうなんだけど強面というのはやっぱり言いすぎなんじゃない?」
ある「私、最初に会ったときはそうでもなかったけれど、徐々に馴れだしてきてから、ちょっとこの人怖い・・・って思うときがあったよ、けっこう」
べー「そうなん?しかめっ面が多いのは、あまり他から舐められないようにしているだけども」
ある「それが怖いんよ。一般人にとっては」
ベー「あるちゃんを最初に見たとき、『大丈夫かな、社会でちゃんとやっていけるのかな』とはね、思ったことがあるし、それが第一印象だったんだよね。でも、現在に至るまでしっかりと生きているのだから、僕としても一安心だけど」
ある「こうなってしまった以上、出荷した同期の分までしっかりと生きなくちゃって思い続けてるからね。その分、歯ごたえは当時よりは強くなっているけれども」
べー「まあ、歯ごたえが強くなくちゃ生きていくことは大変になるわけで・・・」
ある「そうね、お互い原寸大だと食べられたりつぶされたりするから、巨大化は避けられない事象だったのかもね」
べー「僕らがこうして夜中に散歩してるのは、昼間だとどうしても人間離れした性癖(?)を発揮してしまうからね、最近はしっかり慣れて鳴りを潜めているけれどさ」
ある「そうね、私は無意識に光合成をしてしまうときがね・・・。半径数十センチ界隈の酸素量を突然増大させて違和感を生じさせてしまうという現象が起きてるから、極力満員電車に乗るときは、地下鉄に絞っていくようにしているかな、地上走行だとどうしても太陽に当たった時がまずいからね」
べー「そう考えると昨今の距離をとるトレンドは、あるちゃんにとっては追い風になっているんだね」
ある「あんまり追い風が強すぎると吹っ飛んじゃうけどね」
べー「ただ、夜間の活動が多くなってくると、あるちゃんもそれはそれで苦しくなってくるんだよね?」
ある「それはまあ、でも最近はベランダでひなたぼっこしてるから、どうってことなくなってるかも」
べー「特に昼間は、太陽もカンカン照りだから、もってこいだよね」
ある「できることなら天然芝か培養土だといいんだけどね」
べー「今度、ホームセンターで買おうか。ちょっとお値段は嵩むけれど」
ある「いいね、買っちゃおうよ」
べー「とりあえず、もうすぐ公園に着くから、たっぷり砂遊びしようや」
ある「私たちは人間基準だといい歳こいた年齢になっているそうだから、本当は真昼間にやりたいけどね、でもそうしたら主婦層を中心にとんでもない目で見られるからね、夜な夜なやるしかないってことよ・・・」
べー「ママ友と公園に行くときは、疼かない?大丈夫?」
ある「正直、やばい・・・、だからなのかその憂さ晴らしとして、こうしてべーたそとお散歩デートに付き合ってるわけじゃん」
べー「散歩コースに公園が組み込まれているんだよな、必ず」
ある「ほら、もう着いたよ」
~そこは、そこそこ大きな公園であった。人間の手によってしっかりと整備されている公園で、しっかりと砂遊びもできる広場もしっかりと。ここで、行われる遊びとは一体・・・~