女騎士との恋愛ゲーム『女騎士Days』
恋愛ゲームとは……仮想世界において登場するキャラクター達との会話を楽しみながら、選択肢による好感度分岐で任意のエンディングへ辿り着くゲームである。
……
…………
………………
僕は……
…………僕は3日前に彼女と別れた。
付き合って三年になる彼女。
そんな彼女に未練が無いと言えば嘘になる。
だから僕は笑顔で彼女を送り届けた。
……親友であるアイツの家まで………………。
…………
???「……きて……」
…………
???「…………起きて……」
…………
???「起きてよ!!!!」
僕「!?」
──ガバッ!!
???「いつまで寝てるの!?」
僕「うわっ! なんだ……ヒギィィナか。驚かすなよ」
ヒギィィナ「なんだ、じゃないわよ! いつまで寝ているつもり!?」
僕「別に休みなんだから良いだろ?」
彼女の名は【ヒギィィナ・アヘル・ズッコンバッコン】。僕の幼馴染みで隣の家に住む変わり者だ。
ヒギィィナ「誰が『変わり者』ですって?」
僕「心の声を読まないでくれ……」
ヒギィィナは僕の親が寛容なのを良いことに毎朝僕を起こしに来る変わり者。頼んだ覚えは無いがある日を境に僕を起こすようになったんだ。
僕「で? 休みの日に僕を起こして何をする気なんだ?」
ヒギィィナ「この前一緒に女騎士試験の参考書を買いに行ってくれるって約束したじゃない!」
僕「……忘れてた」
年に一度行われる女騎士試験。それに合格すれば女騎士になれるのだ。ヒギィィナは高校卒業後女騎士になるのが子どもからの夢で、度々女騎士ごっこに付き合わされたのが今では懐かしい。
ヒギィィナ「それじゃ、行こ♪」
僕「はいよ~」
……
…………
僕「やっと着いた……で、どれにするの?」
ヒギィィナ「この【サルでもアヘる女騎士入門】か【女騎士試験完全網羅集(過去5年分のアヘ顔データ付き)】にしようかな」
僕「僕には難しすぎて良く分からないや…………」
僕は悩むヒギィィナを置いといて、お馴染みの漫画コーナーへと向かった。
──ドンッ!
──パサッ……
僕「す、すみません……!」
???「…………」
ぶつかった拍子に若い女の人が手に持っていた参考書を落としてしまった。僕が慌てて拾い差し出すと、女の人は僕の顔を見たまま固まってしまった…………。
僕「あ、あの…………?」
女の人は微動だにせず、その可愛らしい目だけが僕をじっと見つめる。さて……何て声を掛けよう…………
~選択肢を選んでね♪~
☞『んほぉぉぉぉ!!!!』
『ひぎぃぃぃぃ!!!!』
『いぐぅぅぅぅ!!!!』
──ピロン♪
僕「んほぉぉぉぉ!!!!」
???「!?!?!?」
──ダタタタタ!!
僕「あ! ま、待って……!!」
女の人は何も言わず去って行ってしまった…………。
参考書は未だ僕の手の中にある。参考書表紙には【妄想社出版最新アヘ顔集③】と書いてある。今の人も女騎士を目指しているのだろうか、参考書には付箋が沢山挟まれており使い込まれた感じが見て取れた。
ヒギィィナ「どうしたの?」
僕「い、いや何でも無いよ……!!」
僕は慌ててヒギィィナから本を隠した。特に後ろめたい事は何一つ無いはずだが、何故か僕はそれを言えなかった。
ヒギィィナ「……怪しいわね」
ヤバい。流石幼馴染みだ……。
さて……何て誤魔化そうか?
~選択肢を選んでね♪~
☞『んほぉぉぉぉ!!!!』
『ひぎぃぃぃぃ!!!!』
『いぐぅぅぅぅ!!!!』
──ピロン♪
僕「ひぎぃぃぃぃ!!!!」
ヒギィィナ「そう? なら良いけど……」
良かった……何とか誤魔化せた様だ。僕はヒギィィナが見ていない隙を突いて店員に落とし物として参考書を届け彼女の特徴を伝えておいた。
家へと戻り、僕は漫画を読んでいる。
僕「で……何故ヒギィィナが居るんだい?」
ヒギィィナは僕の隣で買ったばかりの参考書を黙々と読んでいる。それが気になって先程から漫画にイマイチ集中出来ないんだが……。
ヒギィィナ「べ、別に良いだろ……! 私が何処に居ようが……!!」
僕「あ、僕の都合はお構いなしなんですね……」
ヒギィィナは参考書に目を落とし、部屋に沈黙が訪れると時計の針が進む音だけが静寂をそれを際立たせた。
…………
………………
ヒギィィナ「……ねぇ」
僕「何?」
ヒギィィナ「アイツと別れて良かったの……?」
僕「…………」
アイツとは最近別れた同い年の彼女……【イグゥゥル・モトカノ・ミレンガマシー】の事だ。
どうしてヒギィィナがそんな事を気にするのか分からなかったが、彼女なりに心配してくれているのだろうか?
~選択肢を選んでね♪~
☞『んほぉぉぉぉ!!!!』
『ひぎぃぃぃぃ!!!!』
『いぐぅぅぅぅ!!!!』
──ピロン♪
僕「んほぉぉぉぉ!!!!」
ヒギィィナ「……それなら良いんだけど。何だかアンタ元気ないし……」
僕「大丈夫だよ……大丈夫…………」
ヒギィィナ「……なら、私にもチャンスがあるのかな?」
僕「え? 今なんか言った?」
ヒギィィナ「な、何でも無いわよ!!」
──ボフンッ!
僕「枕を投げるなよ……羽毛が出ちゃうだろ」
ヒギィィナ「ウッサイばーか! アンタなんか女騎士に斬られてアヘっちゃえばいいのよ!!」
プンスカと怒りながら腕を組むヒギィィナ。さっぱり意味が解らないが昔からこうだから特に気にはしていない。
こうして僕達はその日はダラダラと部屋で過ごした。ヒギィィナはちゃっかり夜飯まで食べていったけど…………。
――翌日――
ヒギィィナ「起きろアホー!」
僕「…………あと五分」
ヒギィィナ「ヒギィィナ様のフィニッシュホールドを喰らっても寝てられるか試してやる!!」
僕「起きます起きます起きてます。起きてますから止めて下さい」
僕は区間新記録で布団をはね除け支度をする。そしてパンを片手に家を飛び出した。
僕「行ってきます」
ヒギィィナ「行ってきますー♪」
──ガチャ!
──ドンッ……
???「キャッ!」
玄関を開けた拍子に誰かにぶつかった…………。
慌てて手を差し伸べると、それは昨日本屋で参考書を落としていった女の子だった。
僕「だ、大丈夫ですか!?」
???「ご、ごめんなさい……丁度インターホンを押そうとしたら……」
ヒギィィナ「誰? 知り合い?」
ヒギィィナがキョトンとしながら僕と女の子の顔を交互に見ている
???「申し遅れました。私……【アヘッティーナ・イグゥゥル・ヤンデレー】と申します。
アヘッティーナと名乗る女性の手には昨日本屋で落とした参考書が大切そうに握られていた。
僕「あの後、戻ったんだね。良かった」
アヘッティーナ「お、御礼も言えず逃げ出してしまって……すみません……男の人とぶつかってビックリしてしまったので…………」
僕「いいんだ。僕もあまり周りを見てなかったから……こっちこそゴメンね」
ヒギィィナ「え? なになに? 何があったの?」
ヒギィィナが僕とアヘッティーナの間に割って入った。
僕「あ、コッチは幼馴染みのヒギィィナ」
ヒギィィナ「ヨロシクね♪」
アヘッティーナ「……よ、宜しくお願いします……」
ヒギィィナがアヘッティーナの手にある参考書を見つけると、目の色を変えてグイグイとアヘッティーナに迫った。
ヒギィィナ「アヘッティーナも女騎士を目指してるの!?」
アヘッティーナ「……え、ええ…………」
ヒギィィナ「それならさ、一緒に勉強しない!?」
アヘッティーナ「えっ!? ええっ……と…………」
まるで差し迫る危機の如くグイグイとヒギィィナが顔を近付ける。ヒギィィナに女騎士仲間が見付かったのは良しとするが……さて、どうしたものか…………。
~選択肢を選んでね♪~
☞『んほぉぉぉぉ!!!!』
『ひぎぃぃぃぃ!!!!』
『いぐぅぅぅぅ!!!!』
──ピロン♪
僕「いぐぅぅぅぅ!!!!」
アヘッティーナ「そ、そこまで言うのならば…………」
ヒギィィナ「やった♪ じゃあ放課後に集まりましょう!」
僕「何処で?」
ヒギィィナ「勿論アンタの部屋よ! 気兼ねなく汚せるからね! ニシシ♪」
こうして、僕の部屋は女騎士試験の勉強部屋と化した―――
※ 体験版はココまでとなります。
続きは製品版でお楽しみ下さい!
~ 主人公の部屋で幼馴染みと謎の女の子が勉強する日々……主人公はとても平穏な毎日に感謝した。
しかし、それは仮初めの平穏だった…………
ヒギィィナ「私とアイツ……どっちか決めてよ!!」
ホモル「あの日までは……お前のこと親友だと思ってたんだ……」
アヘッティーナ「私と貴方は運命の赤い糸で結ばれてるのよ?」
彼女は何故別れを切り出したのか―――!?
イグゥゥル「私、君と別れて後悔してるんだ…………」
別れの裏に潜む人間関係とは―――!?
ホモル「なぁ……俺このまま死ぬのかよ…………答えろよ!!!!」
君は…………
どの女騎士と物語を紡ぐのか…………
『女騎士Days』
Coming Soon…………
読んで頂きましてありがとうございました!