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五話 新たな環境

「おい、起きろ」


下手なアラームよりも背筋が凍る声と共に意識が目覚める。


たいしてデカくないはずの声にその何倍もでかい声で驚いてしまった。


もう苦手意識が深く根づいてしまっている。


そんな自分の驚いた様子を何の反応もなしに鋭い目線を撃ってくるのは間違いなくあの女だった。


「貴様あのまま寝たのか・・・姫様が朝食にお呼びだ、さっさと着替えて出ろ!」


そういうと静かにされど素早く部屋から消えていった。


椅子にはおそらくこれを着ればいいであろう服がかけてあり急いでスーツをハンガーにかけてそれを着た。


慌てて外に出ると


「ふん、身だしなみですら満足に整えられないのか。戻れ!」


直ぐに部屋に押し戻され師匠というよりそれこそ侍女のようにテキパキと自分の身だしなみを整えてくれた。


クドクドクドクド......


小言付きで。


クローゼットの中にある鏡まで連れてこられた。


「いいかこれからきっちりこの通りの身だしなみにしろ!わかったな!」


「ッはい!!」


まるで先生に怒られてる小学生のような声が出てしまった。


さっきがどうだったかはあまり把握していないが明らかにきれいに整えてある。髪も面接の時とは違うがワックスでしっかり清潔感抜群だ。


「メモを許可する、必要ならすぐに取れ。」


机をびしっと指さされる。


直ぐに机の紙とペンをとり鏡とにらめっこになり必要なものを書いた。


「終えたな、では行くぞ。」


長い赤い髪をなびかせながらスタスタと歩いていく。


さっきまで寝起きで気が付いていなかったがそういえば朝食って言ってな・・・


凄い長い時間寝てたんでだなと思う。


そんなことをのんびり考えていると。


「貴様に朝食のマナーについて教える。時間がないから一度しか言わんぞ。」


直ぐにシャキッと頭を切り替えメモを用意する。


マナーに関しては元の世界の西洋で聞くようなもののようだったので簡単に覚えられた。


「姫様はお優しいので細かく気にすることはないが、これからいろんな人と食事をすることになるだろう。こちらの世界では食事の時間は大事なコミュニケーションの時間であり最も尊重されるべき時間だ。そんなとこれで失礼なことのないように今言ったことは今後絶対忘れることのないように。いいな。」


身だしなみの時もそうだがこういうところは正直すごく尊敬できる。無駄に厳しいのではなくしっかりとした筋があるとむしろ頼もしく感じる。


まだ怖いけど・・・


---------------------------------------------------------------------------------------------------


姫のそばにはまた違う侍女と一人の兵士が付いていた。


「では転生者様頑張ってきてください。」


「頑張ってねー」


食事を終えるとそういって二人に送り出された。


緊張にまみれ廊下に出たとたんカバンを投げられる。


「ほら、持っていけ。今日は時間がないから必要なもの入れておいてやった。明日からは自分でやるように。」


「行くぞ」


またあの長くて赤い髪が目につく。


もし姫の護衛も任されていると思うと正直邪魔なんじゃないのかと思うが怖いので聞くなんてことはしない。

まぁめっちゃきれいだし。


訓練について簡単に説明を受けた。


基本すべての訓練を同じメンバーで行う。精鋭は精鋭だけの少人数で部隊を組むことが多いためらしい。


その上昇進後も全員ではないがある程度そのメンバー内で被るように部隊配属をされる。


いわば縁の強めの同期というわけだ。もちろん全員が兵士のなるわけではないので必ずうまい具合になるわけではないそうだ。


そしてまず自分らの新米精鋭は学術魔術を昼を挟み午前午後と行い夕方から肉体訓練を実施するらしい。


通常の新兵はもっと早朝から訓練メニューが始まりその他実務と兼任するそうだ。ここで事前の申告であるらしい夜型と朝型に分けられる。


ちなみに昇進がなければ通常の新兵は新兵の期間が終了しても同じようなルーティーンらしい。


精鋭部隊は新兵卒業と同時にまたその配属でルーティンが違う様だ。


まるで学校のようだ。


もう行くことはないと思っていたがまた行くことになるとは・・・


さて長めの説明を聞いているともう学術室の前まで来た。


「今日は初めてだから一日ついている。普段は付きっ切りではないからな注意しろ。」


そういって扉を開けた・・・・


-------------------------------------------------------------------------------------------------------



中にはすでに四人ほど座っていた。


「こいつが今日からお前らのメンバーになる転生者だ。」


皆が静かにこちらを向く


「おい、名乗れ」


「は、はい。吉川太郎といいます。よろしくお願いします。」


びしっとこちらを見つめる目は少しというかだいぶ怖かった。


「よし、貴様から順に名乗れ。」


「はい!」


2mもありそうな長身の男がスッと立ち上がった。


「私はレオン・トールマンと申します!」


「次!」


「はい」


隣の強面のおとこが答える


「ドット・マイネンです」


「次!」


「はい」


ボブカットの女が立ち上がる


「レイ・ニクスです」


「最後!」


「はい!」


失礼ながらちょっとキャバ嬢のような女が立つ。


「ナオミ・ソーです!」


「以上が第4隊6部全員だ。」


「「よろしくお願いします」」


まだ新兵として1ヵ月もたっていないらしいのにきっちりそろっていて流石精鋭部隊ということか。


こちらもしっかりとあいさつを返す。


「今日は私のほうで一切の訓練を執り行う。」


「まずは国際情勢について執り行う。教本を開け。」


直ぐに空いた席に座りカバンから国際情勢の教本を開く。


「今日はヨシカワに合わせ復習だ。」


全員あの女から目を離さない。


「マイネン!現在大国とされている国をすべて答えろ。」


「はい、本国アズリア王国をはじめに、インシ帝国、、マケド王国そしてメキドア公国の3ヵ国です。」


「よし。次にソーこの三大大国に匹敵する力を持った新しい国について言え!」


「はい!ソモリアス王国です。去年の1月に建国された新しい国でいわゆる転生者を王とする1000人未満の小国であるとされます。」


「ではニクス、ソモリアス国ができる前と後の三大大国について説明しろ。」


「はい、以前は三国の軍事力による差は本国アズリアが一歩リードしており残るインシ帝国マケド王国両国は大差がありませんでした。生産力はインシ帝国がトップであり次が本国で最後にマケド王国です。マケド王国は魔法力が他の二国よりもずば抜けて高い水準を保持することで大国であったといっても過言ではありません。」


「そしてソモリアス国建国後では、軍事力生産力でインシ帝国がトップとなり魔法力に関してはマケド王国がいまだにトップですが他は本国と同じくらいとなりました。しかし魔法力ではソモリアス国が三国よりも秀でているため大国としてはインシ帝国以外は衰退し始めているといって過言ではありません。」


「その通りだ。インシ帝国は転生者に対する待遇が初めからよかったことが大きな要因だといわれている。」


アズリア、マケドは共に出遅れているがマケドに関してはソモリアスほどではないものの魔法力が以前以上にとびぬけたことで実際はアズリアは差が出始めているとのことだった。


元よりアズリアは傭兵国家らしくルーツが様々な人々が暮らしているらしく更に転生者と積極的に増やすには内政が不安定になる恐れが強いとのことだった。


そのあとも国際情勢のほかにも歴史や兵法なども次々に学んだ。


新しいことだらけで直ぐに昼食の時間になっていた


「では、昼の休憩を挟んだらまたここに戻ることだ。いいな。」


「「はい」」


「そしてヨシカワお前はここに少し残れ」


「了解しました」


各々リラックスした様子で部屋を出る中彼女のもとに向かう。


「本来昼食の時間新兵は食堂に向かうのが普通だがお前は城内で強い注目を浴びているから今日はここで食べていろ。」


一体どこに持っていたかわからないサンドイッチと水を出される。


「では時間になったら戻る」


異世界まで来てぼっち飯か・・・・

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