一話 トラックには気を付けて
その日は唐突に訪れた。
俺こと吉川太郎は最終面接を終え一人帰路を歩いていた。ここに来るのももう慣れ始めていたが、帰る頃の人数の少なさにはいつもなれなかった。
はじめこそ多くの人数の人がいても最終面接となれば別だ。回数を重ねるごとに減った人数は今やどこを見ても就活生がいないほどになっていた。
帰り路はもうすでに覚えていたのでログインボーナスをもらうためにソシャゲを開く。
プレゼントボックスを開くと待望の石とメッセージが届いていた。
もちろん石はもらうとして件名のないメッセージが気になった。石のプレゼント文もたいして見ずにOKボタンを押しすぐにメッセージについて考える。
運営からメッセージならいつも件名はかいてあるんだけど・・・
フレンドからならばプレゼントボックスじゃないと思うんだけどな?
気になって開いてみるとそこには
有給取り放題!!初心者歓迎!!給料金塊直ばらい!!
アットホームな職場なのですぐになじめます!!
業務は複雑なものではなく簡単に覚えられます!!
是非!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
なんかどっからどう見ても怪しい求人広告なんですがそれは・・・
てかなんでこんなのが届いてるんだ?今時こんなの迷惑メールでもやらんだろ、てかこれメールボックスじゃなくてプレゼントボックスなんだけど笑いをプレゼントでもした気なのか・・・
それこそサプライズ(驚き)をプレゼントされた俺は手慣れた手つきで元の画面に戻ろうとした。
慣れた手つきで。
慣れた手つきで!!!
スマホからOKボタンをおした景気のいい音が鳴る。やっべと思いつつも声を抑えスマホに何も変化がないことに落ち着く。
しかし、スマホに集中していた俺には認知できていなかった轟音が横から聞こえた。
その間まさに発生1F!
その正体を認知するまでもなく意識とともに体が吹き飛ばされる。
消えゆく意識のなかたまたま頭がそちらへ向く。
・・・・・・・人力車?・・・・トラックじゃないのかよ・・・・
意識は終わった。
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次に目を覚ました時にはピンク色がやけに目に付く天蓋カーテン(高そうなベットにあるカーテンぽいあれだ)が目についた。
「・・・う、ん・・?」
気絶するとすぐには状況を把握できないというがその時まさにそれだった。
眠かったわけでもないけど呑気にあくびをしつつ周囲に目を向けた。すると髪の長い、混乱してる俺ですら一発で魔女と確信するほど魔女魔女しい女と目が合った
「ひ、ひめさま!!!あのお方が目をお覚ましになられました!!」
「なんですってミーシャすぐにお水をお持ちになって!!」
「承知いたしました。」
魔女が呼び掛けていた人がさらに別の人に指示を出すと最早足枷となりつつあるスカートを上品につまみ魔女とこちらに駆け寄ってきた。
「あ、どうも」
勢いがすごかったせいか若干きょどり気味に声をかけてしまう。
しかしさらに勢いを加速させ
「転生者様ご無事ですか?どういたいしましょう何か不調がありましたら!どういたしましょう姫様!完璧に転生させたつもりだったのでおそらく大丈夫だと思うのですがまさか意識がないとは私の失敗です!」
「大丈夫ですか転生者様!お気分はどうですか?どこか不調はございますか?手足はちゃんとうごきますの?目は?目はちゃんと見れていますか!?あぁ転生者様に不調がございましたらどおいたしましょう!申し訳ございません急にお呼び付けいたしまして!とりあえず結婚してください!!」
見事に噛むこともなくものすっごい勢いで心配していただいた。
・・・・ん?結婚?
まだまだ心配マシンガンを撃ちまくる二人組にあっけに取られつつも滅茶苦茶聞かなければならないことができたので少し声を強めに聞いてみた
「あ、あの!自分には一体何があったのですか?そしてあなたたちはどなたなのでしょうか?あと転生者様って一体?」
あ、大事なことを聞き忘れた。