5/156
自省吟
衆言以英雄為善者、歴史之本質不可不知也。
●●●○○●◎
每讀汗青懷俊雄
●○○●●○◎
慨嘆先者擧英功
●○○●●○●
萬書皆曰象人鑑
●●○○○●◎
當世誰評其行崇
●●○○○●●
足下方橫屍累累
●○○●●●◎
令名常帯腥血紅
○○●●○○●
稱揚起正桑田變
●●○○●●◎
呪詛沈于轉化中
【句形】
七言律詩、仄起式
【押韻】
上平1東(雄、功、崇、紅、中)
【訓読】
汗青を読みて俊雄を懐ふ毎に
先者 英功を挙げしに慨嘆す
万書皆曰く 人を象る鑑と
当世誰か評せん 其の行崇しと
足下方に横たはる 屍累累
令名常に帯ぶ 腥血の紅
称揚起こりて 正に桑田の変
呪詛は転化の中に沈む
【訳】
史書を読んで英雄たちをしのぶたびに、
先人があげた功績にため息をつく。
どの本も人間の鑑とは言っているけれど、
その頃は誰が崇高なことをやったなどと思ったろう?
足元には屍が幾重にも積みかさなり、
美しい名前の陰にはなまぐさい血の赤色がまとわりついている!
そんな奴らをほめるというのは桑田の変というべきか。
呪う声は時が経つうちに薄れて行ってしまった。