元旦・百歳・遇野猪・描畫・清氣
元旦
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新年雪重注
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山澤盡蒙寒
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思瓣俟然日
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應窮一命殘
【句形】
五言絶句、平起こり、上平14寒(寒、殘)
【語釈】
元旦…2023年1月22日は旧暦で正月にあたる。
【訓読】
新年雪重ねて注ぐ
山沢ことごとく寒さを蒙むる
弁 然ゆる日を俟つを思へば
まさに一命の残りを窮むべし
百歳
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固後彭殤止大途
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及時彌悟有涯愚
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修身小隱須知慧
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滿百憂愁煩遠無
【句形】
七言絶句、仄起こり、上平7虞(途、愚、無)
【語釈】
彭殤…八百年生きたとされる彭祖と、若くして死んだ人間。晋・陶淵明・述酒「彭殤非等倫」
有涯…荘子・養生主編第三「以有涯随无涯、殆已」
小隱…町中にいる隠者。
【訓読】
もとより彭殤におくれて大途にとどまる
時に及びていよいよ涯ある愚かさを悟る
修身して小隠となるともすべからく知慧をもとむべし
百に満つる憂愁 煩は無より遠し
遇野猪
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有臥原疆吹粉塵
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刹那無暇見其眞
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虞囘不識雙眸正
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淒厲驅行欲近春
【句形】
七言律詩、平起こり、下平11眞(塵、眞、春)
【語釈】
淒厲…陶淵明・於王撫軍座送客「秋日淒而厲」
【訓読】
原の疆に臥して粉塵に吹かるるあり
刹那 其の真を見るに暇なし
虞れては回り 双眸の正しきかを識らず
淒厲駆りて行かしめ春に近きを欲せしめん
描畫
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逸想猖狂使作虚
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趣彌六合極成餘
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未凡才似益蛇足
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執筆唯思被冩譽
【句形】
七言絶句、仄起こり、上平6魚(虚、餘、譽)
【語釈】
彌六合…中庸朱子注「放之則彌六合」
【訓読】
逸想の猖狂 虚をなさしむ
趣は六合にわたり極めて余りを成す
未凡 才 蛇足を益すに似たり
執筆 唯だ思ふ 写さるる誉を
清氣
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夙出回廊拂曉中
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洋洋朝徹灼長蒙
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諠囂廣盪蓋稱我
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驅鳳深林將大穹
【句形】
七言絶句、平起こり、上平1眞(中、蒙、穹)
【語釈】
拂曉…朝早くの時間帯。
朝徹…荘子・大宗篇第六「已外生矣、而後能朝徹」
諠囂廣盪…晋・謝霊運・泛湖歸出樓中翫月「遠視盪諠囂」
驅鳳深林…晋・陶淵明・命子「鳳隱于林」
【訓読】
夙に回廊に出づ払暁の中
洋洋たる朝徹 長き蒙を灼く
諠囂広く盪して蓋し我を称ふるかと
鳳を深林に駆りてまさに穹に大きなるべし